◆主演は映画、ドラマと幅広く活躍する実力派若手俳優チュウォン。高視聴率ドラマ「ヨンパリ」、「のだめカンタービレ〜ネイル カンタービレ」、映画『ファッションキング』と立て続けに出演し、日本でも抜群の人気を誇る。本作『あいつだ』では、これまでの明るい役柄から一転し、殺された妹の復讐に駆り立てられる孤独でワイルドな若者を演じる。両親亡き後、親代わりとして妹に対し過保護に接したりなど家族思いの一面を見せるギャップもファンにとって注目ポイントである。「これまで演じたことのないキャラクターとジャンルなので、あえて挑戦したかった」と出演理由を明かしたチュウォンは、役作りの為に体重を増やし、方言を特訓するなどの努力を惜しまなかった。

◆共演は、主役を喰う‘シーン・スティーラー(場面の盗人)’として呼び声高い名バイプレーヤーのユ・ヘジン。昨年公開されたファン・ジョンミン主演『ベテラン』での好演や、海洋アクションアドベンチャー『パイレーツ』では第51回大鐘賞映画祭、第1回韓国映画制作者協会賞で助演男優賞を獲得し、その演技の幅を見せつけた。本作では主人公の妹を殺害したと疑われる怪しい薬剤師ミンを怪演。その演技力でチュウォンとの緊張感溢れる神経戦を繰り広げる。

◆また、ヒロインには2014年ミラノ国際映画祭で最優秀作品賞ほか三冠を達成し、世界中から称賛された珠玉の文芸エロス『アトリエの春、昼下がりの裸婦』で主演を務め、2015年韓国のアカデミー賞である第52回大鐘賞 新人女優賞も受賞した新星イ・ユヨン。本作では主人公を助ける謎の霊能力者の女性シウンを演じている。

◆本作は1999年釜山で実際に発生した、ある女子大生の死を弔う(仏教における死者儀礼。魂が極楽に行けるよう道を開く儀式)で起きたことをヒントに作られている。薦度斎の最後の儀式である救魂祭がとり行われている最中、儀式で使っていた赤い布が強く引っ張られた挙句に切れてしまい、使っていた真鍮製の器だけが海に流され、ある青年の前で留まった。死んだ被害者の父親は、直感的にその青年が犯人だと確信し、粘り強く追跡したという。本作はその出来事を元にして、よりミステリアスな独特の世界観に仕上がっている。

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執筆者

Yasuhiro Togawa