人間の暗部や格差社会の問題を起点にした社会派アニメーターとして韓国を牽引し、ついに実写映画制作でも大成功を手にした鬼才ヨン・サンホ監督作3作品が、日本で連続公開を控え話題を呼んでいる。ハリウッドリメイクも決定している韓国産ゾンビアクション『新感染 ファイナル・エクスプレス』でその名前は飛躍的に知られることになったが、本作と対をなす前日譚『ソウル・ステーション/パンデミック』、そしてこの度公開される3作品の中では最も古く、長編アニメ2作目にして世界各国の映画祭で好評化を獲得した『我は神なり』もサンホ監督のルーツを紐解く上で見逃すことができない。

生か死かー時速300km超のノンストップ・サバイバル!『新感染 ファイナル・エクスプレス』9/1(土)公開。
第69回カンヌ国際映画祭を筆頭に世界156ヶ国から買い付けオファーが殺到、各国で圧倒的な大ヒットを果たし、世界規模で話題を席巻した超ド級ノンストップ・サバイバル・スペクタクル・アクション。釜山へと向かう高速鉄道の車内で突如起こった謎のウィルスの感染拡大。主人公のソグ親子のほか、妊婦と夫、野球部の高校生たち、身勝手な中年サラリーマンなど、さまざまな乗客たちが、感染者に捕らわれれば死が待ち受けるという極限状態の中で、生き残りをかけて決死の戦いに挑み、それぞれの人間ドラマが描かれる。

驚愕のゾンビ・パニック、すべてはここから始まった―。『ソウル・ステーション/パンデミック』9/30(土)公開。
『新感染ファイナル・エクスプレス』よりも先に企画され、あとに完成された本作は、『新感染~』の冒頭へと連なる前日譚となるアニメ作品。ホームレスの老人に端を発する感染は、人々の無関心や差別意識によって急速に広がっていく。その背景には、弱者がさらなる弱者を虐げる、歪んだ格差社会としての韓国の現実を浮かび上がらせる。正体不明のゾンビウィルスが拡散されたソウル駅周辺を、ただ生存のために逃げ惑う人々、武力で封鎖しようとする政府―パニックサスペンスと映画的要素を積み重ね、現代の病理を批評性をもって描き出す渾身の一作。

“信仰”というタブーに切り込む、衝撃の社会告発アニメ『我は神なり』10/21(土)公開。
ダム建設に伴う立ち退き補償金に目をつけたインチキ教団、不安や弱みにつけ込まれて盲目的に信仰に身を委ねる村人たち、教団に単身立ち向かう荒くれ中年男の人間模様を通じて、“信仰”というデリケートなテーマを驚くべき視点で追及した社会告発アニメーション。“真実を語る悪人”中年男のミンチョルと、“偽りを言う善人”牧師のソンとの対立を軸に、“真実”の曖昧な本質を暴き、強烈な風刺精神によって観る者に究極の矛盾を突きつける。『あゝ、荒野』のヤン・イクチュンが主人公ミンチョルの声を担当。
押井守、大友克洋らの作品を観てアニメーターを志し、自身の作品の絵柄や表現には漫画家の古谷実から大いに影響を受けたと語るサンホ監督。新進気鋭の若きクリエーターの快進撃に、今後も目が離せない!!

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=55266

http://data.cinematopics.com/?p=55368

http://data.cinematopics.com/?p=57772