配給会社ムヴィオラは、今年で15周年。
それを記念し、新宿K’s cinemaのご好意で、11/7 (土)〜11/20 (金)の2週間、“ムヴィオラ15周年特集上映<はしっこでも世界>”を開催する運びとなりました。
ミニシアターの映画興行が年々厳しくなる中で、15年間継続できた感謝の思いを、観客の皆様、マスコミの皆様、作り手の皆様に届けるつもりで特集上映を開催します。

アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ、日本から“ほぼ30本”の一挙上映。
アピチャッポン・ウィーラセタクン、ジャファール・パナヒ、ツァイ・ミンリャン、バフマン・ゴバディ、ワン・ビン、アルノー・デプレシャン、クシシュトフ・クラウゼ、瀬々敬久監督…などなどの素晴らしい傑作が揃っています。
初日には、石坂健治氏、市山尚三氏をお迎えしての無料トークショーも行います。

特集の目玉となる特別上映作品のご紹介:

■幻の傑作ドキュメンタリー!『スティーヴィー』(02)国内最終上映!
大ヒット作『フープ・ドリームス』で知られるスティーヴ・ジェイムス監督の隠れた傑作。
かつて知り合った少年スティーヴィーの、青年となった今を撮ろうとする監督。
しかし、スティーヴィーはその途中で重大な犯罪の容疑に問われる。
撮り続けるか、止めるべきか。監督自身の葛藤が生々しくフィルムに刻まれている。
今回の上映が国内最終上映。ソフト化もされていない貴重な作品です。

■来年公開作の特別先行上映①伝説のマレーシア映画『タレンタイム』(09/原題)
多くのファンを持つヤスミン・アフマド伝説の遺作。
高校生の音楽コンクール「タレンタイム」をめぐる瑞々しい青春映画であり、
涙なくして見られない号泣映画であり、その奥には、多民族国家マレーシアのみならず
世界が直面する不寛容を超えようとする強いビジョンが息づく。
アフマド監督作品は、これが初めての劇場公開です。

■来年公開作の特別先行上映②アピチャッポンの『世紀の光』(06)
タイの人気監督アピチャッポン・ウィーラセタクンの『世紀の光』は、
これまで日本で上映が困難だった幻の傑作。
今年のカンヌで上映された新作「CEMETARY OF SPLENDOUR」公開に併せて来年公開いたします。

■驚きのワン・ビン特集!全9時間『鉄西区』(99-03)&『名前のない男』(09)特別上映
世界映画の最先端にいるワン・ビン監督。
今回は、9時間を越える記念碑的大作『鉄西区』三部作一挙上映、
また配給作ではないですが、フランスのギャラリーの好意で
ファンの間でも人気の高い『名前のない男』も特別上映します。

コメントをいただきました:
ムヴィオラの配給はチャレンジングの一言に尽きる。
アピチャッポン、ゴバディ、 ツァイ・ミンリャン、ワン・ビン(『収容病棟』は製作も)…。
世界映画の最尖端を目撃する興奮。しかもアート系一辺倒ではない。
もう公開は無理かと思っていたヤスミン・アフマドの遺作『タレンタイム』が来年
公開決定とのニュース!これは映画館での号泣必至だ!
—石坂健治氏(東京国際映画祭アジア部門プログラミング・ディレクター/日本映画大学教授)

さすがに商業公開は難しいだろう、と思った映画の劇場公開を
軽やかに実現する……それがムヴィオラという配給会社だと思います。
世界の最先端を行く傑作群をスクリーンで楽しむことができる貴重なこの機会をお見逃しなく。
—市山尚三氏(東京フィルメックス・プログラム・ディレクター)

●15周年に寄せて:配給会社ムヴィオラより
会社も小さく、収益も小さい。けれど、映画の大きさや豊かさには収益は関係ないと思います。
映画のおかげで、小さな会社が、とてつもなく大きく豊かな世界に出会えてきました。
暗闇の中で、大きく豊かな映像や音に包まれていると、どの場所にもどの時代にも触ることができる。
雲南省でもペルーでもテヘランでも。はしっこにいても、世界に触ることができる。
そうして、映画は窓になり、同時に鏡になる。——–そんな思いで。
*権利の関係で上映できない映画もありますが、今回、2005年以降のほぼすべての配給作を上映します。

*全上映作品の情報&タイムテーブルはムヴィオラHPで。 
http://www.moviola.jp

執筆者

Yasuhiro Togawa