“今”を映す、多種多様な自主映画の祭典!

今年も9月13日(土)より25日(木)まで、映画の殿堂である東京国立近代美術館フィルムセンターにて「第36回PFF」が開催されます。メインプログラムである世界最大の自主映画コンペティションである「PFFアワード2014」では、応募総数528作品の中から選出された21作品が賞を競います。
誰に頼まれたわけでもなく、ただつくり手の情熱によってのみ生み出された“純粋映画”ともいえる自主映画は、つくり手たちの眼を通して“今”を映し出しています。PFFをみれば“今”がみえる。映画となって結実した“今”を写す眼差しは、観る者に新鮮な驚きと喜びをもたらし、劇場を出たときに、世界が少し違ってみえる。そんなワクワクするような映画体験となる「第36回PFF」に注目して欲しい。

<入選決定までのプロセス>
本年は15名のセレクション・メンバーが参加
応募された全作品を1作品につき最低3人が、必ず最初から最後まで1分1秒もらさず鑑賞
→鑑賞した3人のメンバーの話し合いを審査員全員の前でおこない、1次通過作品を決定
→1次通過した作品すべてを全メンバーが鑑賞して
→全員で合議のうえ、PFFディレクターが入選作を決定する

<入選作品データ>
【入選本数】21本
【平均年齢】27.0歳
【男女比】男性15名(71%):女性6名29%

<「PFFアワード2014」応募データ>
応募数:528作品
【時間】合計時間:341時間37分 平均時間:38.9分
【年齢】平均年齢:28.9歳 最年少:16歳 最年長:60歳
【男女比】男性(420名):79.5% 女性(106名):20.1%男女混合(2名):0.4%
【上映フォーマット比】フィルム作品(1本):0.2%  ビデオ作品(527本):99.8%

本年のPFFアワード入選作品は、作品のフォーマット、長さ、ジャンル、応募者の年齢、性別、国籍、学歴などに一切の制限のない、「最も自由なコンペティション」ならではの、多様性に富んだラインナップとなった。短編、中編、長編、ドラマ、ドキュメンタリー、アニメーションと、上映時間もジャンルもかつてないほどバラエティ豊かに、入選作品数も1988年の22本以来、2番目に多い結果となった。パソコン一つで容易に編集できる現状や、インターネット上映の普及、カメラの発達、映画映像学校の増加などの環境の変化もあわせ、どこででも映画が作れ、どこででも公開できる環境に近づいている現在、映画への取り組みへの変化が伺える。そんな変化もあってか、本年は、16歳の高校生監督が31年ぶりに入選を果たした。16歳 〜最年長の46歳まで、高校生から社会人まで、年齢も職業も様々だ。また今年はついに、女性監督が応募者全体に占める割合が2割を突破。1995年と並び、歴代最多の6作が入選を果たした。
一方で、昨年は8本あったフィルムでの応募が、2014年はついに1本のみとなった。2013年にほぼ完了した全国の映画館のデジタル化によって、フィルム上映が困難になっていることや、同年、フジフィルムが撮影用フィルムの生産を中止したことなどの影響が見受けられる。
しかし、高価な機材やフィルムを購入せずとも、誰もが手軽に映画を作れるようになったことで、年齢も職業も多種多様な“才能”が次々と芽吹く土壌が整いつつある。
それを裏付けるように、今年は約4か月に及ぶセレクションの期間中に、劇場公開が決定したり、プロとして活躍を始める監督の作品が生まれるなど、20世紀には起き得なかった事象も起こり劇映画と自主映画の垣根はほとんど無くなったと言える。
東京に居ながら、日本全土で起こっている様々な物語を体感できる、今このときを浴びることができる。PFFアワード2014入選21作品が上映される今年の「第36回PFFぴあフィルムフェスティバル」は、そんな場所になりそうだ。

入選した21作品はこちら!
(タイトル50音順/年齢、上映時間は応募時のものです)
http://pff.jp/jp/news/2014/07/pff201421.html

執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa