たばこの煙、拳銃の硝煙、ファムファタール—。かつて映画に犯罪はつきものだった。フィルム・ノワール、ハードボイルド、クライム・サスペンス・・・。危険な香りと大人の魅力が男心を虜にするジャンルである。

そんなフィルム・ノワールだが、香港のフィルム・ノワールと、フレンチ・フィルム・ノワールに今改めて注目が集まっている。8月11日より新宿武蔵野館で公開がスタートした「3つの刺激・感〜ニュー香港ノワール・フェス〜」。「強奪のトライアングル」「コンシェンス/裏切りの炎」「やがて哀しき復讐者」の3作品を一挙に楽しむことができる上映形態だが、連日多くの香港映画ファンや、映画ファンが押し寄せている。

かつてはジャック・ベッケル、ジャン=ピエール・メルヴィル、ジョゼ・ジョヴァンニなどの監督作、もしくはジャン・ギャバン、アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラなどの出演作でフランス映画史の一時代を築いたフレンチ・フィルム・ノワール。近年、『あるいは裏切りという名の犬』、『マルセイユの決着』、『この愛のために打て』など、また盛り上がりを見せている。

そして、9月中旬より、銀座テアトルシネマでは、「あるいは裏切りという名の犬」のオリヴィエ・マルシャル監督最新作の「そして友よ、静かに眠れ」を皮切りに、欲望と裏切りが“パリの夜”を疾走する『漆黒の闇で、パリに踊れ』(9/22より公開)、そしてリュック・ベッソン監督作「サブウェイ」の脚本家が贈る『虚空の鎮魂歌』(10/13より公開)の珠玉のフレンチ・フィルム・ノワールが3本連続で公開となる。

そんな中、今年1月にフランスにて公開され、“これぞフィルム・ノワールだ”“近年稀にみる傑作犯罪映画だ”“マイケル・マン監督作の様だ”など評価が高く、欲望に支配された“パリの夜”を舞台に、終始緊迫感漂う映像と、最後に待ち受ける衝撃のどんでん返しが見どころの『漆黒の闇で、パリに踊れ』と、武器の密輸や、麻薬取引などの裏社会を舞台に、欲望という名の誘惑に迷いながらも、それぞれが“正義”や“仕事”のためではなく、“自らの生き方”を選ぶことの大切さを描き出し、フランスにて今年7月に200館を超える規模で公開がスタートし、公開週には15万人以上が動員、その後もロングランヒットを記録している『虚空の鎮魂歌』の主演を務めるのが、今ノワール作品には欠かせないロシュディ・ゼムだ。『デイズ・オブ・グローリー』で共演者とともにカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞、『ゴー・ファースト 潜入捜査官』や『この愛のために撃て』など刑事役や犯罪者役など、セリフがなくとも強烈な存在感を放つ俳優として、“ロシュディ・ゼムが出演する映画に外れなし”と言われるほどである。

夏も終わりに近づき、今年の秋は映画の闇の悦び耾るのはどうだろうか。珠玉のフレンチ・フィルム・ノワール『漆黒の闇で、パリに踊れ』は9月22日より、『虚空の鎮魂歌』は10月13日より、いずれも銀座テアトルシネマにて公開。

http://www.alcine-terran.com/noir/

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa