先日行われた第65回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で、主演女優賞&脚本賞のW受賞を見事果たしたルーマニア映画『ビヨンド・ザ・ヒルズ(英題)/Beyond the Hills』(配給:マジックアワー/協力:コムストック・グループ)が来年春に日本公開することが決定。

監督は、映画『4ヶ月、3週と2日』(08年日本劇場公開)で、ルーマニア映画初の第60回同映画祭パルムドール(最高賞)に輝いたクリスティアン・ムンジウ。その優れた脚本と演出で、今回は映画初出演のふたりの新人女優に女優賞をもたらし、脚本賞も獲得。過去の最高賞の栄誉が紛れもない本物の才能であることを証明した。また、ルーマニア映画が同映画祭で女優賞に輝くのは初の快挙となる。

物語は、同じ孤児院で姉妹のように育った二人の若き娘たちが、ルーマニアの修道院を舞台に信仰と友情のはざまで揺れ動くさまをスリリングに描いたヒューマン・ドラマ。ルーマニアに2005年に実際に起きた事件に基づいている。カンヌ国際映画祭の受賞式でクリスティアン・ムンジウ監督は受賞の謝辞を述べながらも以下のように語った。
「素晴らしい賞を頂き、本当にまたここに来られたことをとても嬉しく思います。しかし、忘れてはならない事があります。この作品の元にあるのは、現実に起きた事件があるということです。このストーリーの背景には、本当に苦しんだ実在の人間がいるのです。我々はこの映画を通して過去を償い、現在を少しでもより良くしていくことが出来ると思うのです。」
前作『4ヶ月、3週と2日』では、独裁政権下のルーマニアを舞台に、友人の違法中絶を手助けするヒロインの緊張感に満ちた一日を描いた。今回の『ビヨンド・ザ・ヒルズ(英題)』は前作同様に、対照的な二人の女性ヒロインが物語の中心となる。パルムドール受賞監督が贈る新たなる衝撃作、ぜひご期待ください。

映画『ビヨンド・ザ・ヒルズ(英題) / Beyond the Hills』
配給:マジックアワー/協力:コムストック・グループ
2013年春、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

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執筆者

Yasuhiro Togawa