小屋丸集落について

新潟県南西部に位置し、旧松代町(現十日町市、2005年合併)の山奥にある集落です。
小屋丸集落がある地域には、600年以上前から人が住み着き、300年前に現在の集落の祖先が住み始めたといわれています。江戸時代中期以降から戸数が増え、明治45年(1912年)には松代小学校小屋丸分校が創立され、昭和35年(1960年)の全盛期には24軒、126人が住んでいました。昭和30年代後半ごろからの高度経済成長期を境に、生活が激変、道路事情が改善され、農業の機械化が進み、米の生産は飛躍的に伸びました。しかし昭和47年(1972年)に国の減反政策が始まると、農業に見切りをつけ、離村する人が急増、10年間で世帯数が半分以下となり、昭和58年(1983年)には小屋丸分校が閉校、その後、3世帯のみが暮らす“限界集落”となりました。平成12年(2000年)に、ブルガリア人の音楽家が移住、2003年にはブラジル人の妻を迎え、現在は先祖代々の土地を耕す3軒と、子供3人を含む音楽一家、計4軒13人が暮らしています。

主な生業は農業。冬季間は豪雪のため稼ぎが減るので、副業として藁細工や竹細工などを行いました。戦後は男性は関東を中心に全国へ出稼ぎに、女性は雪掘り(雪が多すぎるため、雪かきではなく雪に埋もれている中から掘りだす)をしながら、主人がいない子供たちと年寄りとの生活を守ってきました。積雪期が長く、約半年にわって大地が厚い雪に覆われるこの地域では、家を雪から守り、食料を確保し、薪炭や衣類の準備に雪国ならではの様々な工夫がされてきました。人力により田畑を拓き耕し、山の草木を採って食材とし、器物をつくり出す労力と技術により、里山の風景が作られていきました。小屋丸の生活は、現在も自らの力で生きていくための術が息づいています。

本作の今までの上映

●2009年7月
「越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭2009」出品作品として上映。
●2009年10月
 エゾンエルメスにて個展と上映。
●2009年秋
ヨーロッパのテレビ局アルテが放映権を買い取り、フランスとドイツで2回放映。
●2010年3月
フランスの歴史ある国際ドキュメンタリー映画祭「シネマ・ドゥ・レアル映画祭」にて3000点の応募から選ばれ、パリのポンピドーセンター他で上映。
●2010年初夏
続編『小屋丸 秋と夏(仮)』が完成予定。テレビ局アルテが放映権を買い取り決定。
●2010年10月 
FIAC(国際コンテンポラリーアートフェアー)にあわせ、パリ日本文化会館で上映予定
●カルティエ財団で開催中の「北野武展」において、特別上映予定。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=48555

執筆者

Yasuhiro Togawa