映画『ATOM』海外版声優にフレディ・ハイモア、クリステン・ベルの二人がコミコンに来場!!
日本人にはおなじみの『鉄腕アトム』。実はアメリカでも、オリジナルとなる白黒アニメの『鉄腕アトム』の英語吹き替えバージョンが1960年代、70年代、そして、07年から08年にかけて放送されていた。また、80年のカラー版『鉄腕アトム』は、82年から放送されていた。それゆえ、同作を知るアメリカ人も少なくない。俳優のニコラス・ケイジも大ファンで、長年、映画化を積極的に働きかけていた。そんな彼は、今回制作中のフルCGアニメ版『ATOM』で、テンマ博士の声を担当している。
本作ではオリジナルの要素を踏襲しつつも、新しいストーリー、新しいキャラが登場する。主人公アトムの声を英語字幕版で担当するのは、『ネバーランド』や『チャーリーとチョコレート工場』でキュートな外見ながら素晴らしい演技力を見せた天才子役フレディ・ハイモア。そして、アトムと親しくなる新キャラのお転婆少女コーラの声はTV『ヴェロニカ・マーズ』や『Heroes/ヒーローズ』でおなじみのクリステン・ベルだ。この主人公2人組が、映画『ATOM』の初公開映像を携えてサンディエゴで開かれたコミックとSF・ファンタジーのコンベンション「コミコン」に来場した。
「『ATOM』 は、日本ではミッキー・マウスのような存在なんだよ」とファンを前に語るハイモアは、「日本以外でも彼は有名になるべきだと思う。ぼくらはみんな彼に共感するはずだよ。特に、みんなと違う自分を家族や周りに認めてもらおうと必死になる姿にね。それに、アクション場面ばかりでなく、笑えるシーンもあれば、とても深いことを語り、悲しくなる場面もある。子供から大人まで楽しめる作品なんだ」と熱くなる。
コーラ役でアニメの声優に初挑戦したベルは、「この映画のテーマは、普遍的よ」と付け加える。「劇中、みんなが住んでいるのは、メトロ・シティという街なんだけど、宙に浮いている街なの。というのも、地表は廃品置き場になっていて、公害がひどくなったために、人類はメトロ・シティで暮らし、地表にはロボットを送って働かせている。そう、ロボットは2等市民みたいな位置づけで扱かわれているんだけど、そんなところに、繊細な感情を持つロボット、アトムが登場するワケ。そして、人々は“違い”を受け入れる試練を味わうの」と、物語の背景を明かした。
オリジナルを見たことがなかったハイモアは、アトムの声を演じるに当たって予習をしたかという問いには、「新しいバージョンのアトムが必要だと思ったから、敢えて既存のものにこだわらないようにしたんだ。元々、約50年前にアトムが生まれた時、彼はまさに斬新な存在だった。今回もそうした斬新さを踏襲しようって考えでみんな一致したんだ」と答える。
コーラの役割についてベルはこう語る。「コーラは、今回初めて出てくるキャラだから、私はオリジナルを見て予習をすることはしなくてよかったの。コーラは、アトムの感情面を語るのに大切な存在よ。彼女もアトムも、のけ者扱いされてきて、それで意気投合するの。コーラは一見とてもきつい感じだけど、本当はものすごく優しい心を持っている。彼女がなぜそうなったのかは、映画を見れば分かるわ」
ちなみに、パネルディスカッションの会場前には、着ぐるみのアトムが登場。ファンとの2ショットに大忙しで人気ぶりがうかがえた。
本作は海外での制作となっているが、原作をベースに手塚プロダクション、そして原作者の手塚治虫氏の長男である手塚眞氏とがっちりタッグを組んで制作を行っている。そのため今回の映画版も、自分の力を戦いに使いたくないアトムの葛藤や、父と子の愛についてなど、その世界観が忠実に表現されており期待が高まる。
文・はせがわいずみ/www.HollywoodNewsWire.net
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執筆者
Yasuhiro Togawa