「2日前の夜9時からここで場所取りしてるの」とテントの横に座って笑顔を見せるのは、『トワイライト』シリーズの熱烈な女性ファン。サンディエゴで開催のコミックとSF&ファンタジーのコンベンション、コミコンでは、初日の7月23日に『トワイライト』シリーズの2作目『ニュームーン/トワイライト・サーガ』の出演者が登場するパネルディスカッションが行われたが、場所取りをするために大勢の熱狂的なファンが会場前で泊まり込みをしたのだった。
 『ニュームーン』のパネルディスカッションは、コミコン最大の会場、ホールHで行われた。同会場の収容人数は6,500人だが、それを遙かに上回るファンが集まり、会場近辺にとぐろを巻くように列をなした。炎天下の中、辛抱強く入場を待っていたが、結局、多くのファンが中に入ることなく、開演を迎えた。
 そんなまさに“クレイジー”な状況に、主役のクリステン・スチュワートは喜びつつもとまどいを隠せない。
 「去年のコミコンで、『トワイライト』の人気ぶりを目の当たりにしたんだけど、やっぱり気分がいいものね。『私はこの本が大好き!』『あら、私もよ!』という仲間が集まっているというのも素敵よ。撮影中には想像もしてなかったことだから、こうしたファンの熱狂ぶりはとっても変な感じだけど、とにかく勇気づけられるわ。そして、ちょっとプレッシャーを感じる。コミコン体験は本当にハイなものよ。新作の映像をほんの少しだけ紹介できるだけなのに、みんなすごく興奮してくれる。そんなみんなを見ると私も興奮するの。ものすごくたくさんのファンが集まっているから少し圧倒されてしまうわ。でもそれもいい意味でね」
 そして、テイラー・ロートナーがこう付け加える。
「撮影中は、全く注目されることがなかったから、去年のコミコンでステージに足を踏み出したら6,000人以上のファンが集まっていて、絶叫していた。予想だにしていなかったことだったよ。本当に驚いたんだ。とにかく、こんなに熱狂的なファンを持っているっていうのを実感できるのは、とっても素敵で、また、勇気づけられるよ。こうしてファンにお礼が言えるのも本当に嬉しい。彼らがぼくらを一目見ようとずっと待ってくれているっていうのに圧倒されつつ、感謝の念を抱くよ」
また、前作の公開後、大ブレイクしたロバート・パティンソンは、その変化についてこう語る。
「ぼく自身は変わったとは思わないから、そんなに変化はないって思いこみたいね。ただ、下を向いていることが多くなったけど(笑)。ぼくらは3人とも、こんなにすごいことになるなんて思ってもみなかった。コミコン体験は、本当にびっくり仰天な発見だよ。しかも、エスカレートしている感じがする。そんな状況と渡り合うのはとても興味深いね」
去年も3人を取材したが、その時、パティンソンは各マスコミに叩かれたあのボサボサ頭で現れ、人気作品のスターっぽさは全然なかった。ところが今年の彼は、小ぎれいな出で立ちでスターの風格を少しだけ備えつつもそれにとまどっているという感じ。また、ロートナーは、去年はまったくの無名的存在だったのが、今年は人気若手俳優としての地位をエンジョイしている印象。ただ、気さくな雰囲気と明るく素直な語りは微塵も変わらず、いい人オーラを存分に出していた。一方、スチュワートは、いつものようにファッションはカジュアル・ボーイッシュで、Tシャツにジーンズだったが、去年のほぼノーメイク状態から、スモーキーメイクとキメキメのメッシーヘアに変貌。メイク直しが入らなければ、写真はNGという状態で、人気女優の貫禄が出てきたと言えよう。ただ、受け答えは変わらず、少し緊張しながら真摯に全力投球するという風だった。記者会見でさえ、大勢の警備員を従えていた3人。その熱狂的人気ぶりは留まるところを知らないようだ。

文・はせがわいずみ/www.HollywoodNewsWire.net

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執筆者

Yasuhiro Togawa