アトム・エゴヤンの『カレンダー』を始め、まだ誰も目にしたことがない日本初上映の5本を含む全7作品を特集

 2006年8月11日(金)、12日(土) アテネ・フランセ文化センター
 2006年8月19日(土) アップリンク・ファクトリー にて開催!

■1、開催概要

 名称:アルメニア・フィルム・セレクション
 開催日: 2006年 8月11日(金)、12日(土) – アテネ・フランセ文化センター
      2006年8月19日(土) – アップリンク・ファクトリー
 入場料:
 ○アテネ・フランセ文化センター、アップリンク・ファクトリー共通
     一般:当日1回券 \1,000- 一般:前売1回券 \800-
 ○アテネ・フランセ文化センターのみ
     前売回数券 \2,200-(3回分) 当日回数券 \2,800-(3回分)
     アテネ会員:当日券のみ 1回券=\800- 回数券=\1,800-(3回分)

 主催: 第3回映画上映専門家養成講座[シネマ・マネジメント・ワークショップ]
    「アルメニア・フィルム・セレクション」実行委員会
 共催: 特定非営利活動法人映画美学校
     財団法人国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)
     コミュニティシネマ支援センター
 協力: アップリンク、アテネ・フランセ文化センター
     日本アルメニア友好協会、ユーロスペース
 後援:ロシア国際文化科学協力センター
 企画協力:イェレヴァン国際映画祭 Golden Apricot
 支援:文化庁(平成17年度文化庁芸術団体人材育成支援事業)
—–
*「アルメニア・フィルム・セレクション」は、映画美学校の学生(映画上映専門家養成講座)の修了企画として実施するものです。企画の立案から予算書の作成、国内外からのフィルム借用交渉、会場との交渉、字幕の作成にいたるまで全て受講生自身が行っています。
—–
一般問い合せ先:「アルメニア・フィルム・セレクション」実行委員会
  ホームページ: http://www.fiberbit.net/user/yoshida_m/
メール: armenian-films@hotmail.co.jp
  電話(岡崎):090-7132-8393

—–<<タイムテーブル>>—–

●8月11日(金) アテネ・フランセ文化センター
 12時30分〜 「マリアム」
 15時00分〜 「神よ、あわれみたまえ」
 17時00分〜 「ナーペト」
 19時00分〜 「カレンダー」

●8月12日(土) アテネ・フランセ文化センター
 12時00分〜 「カレンダー」
 13時40分〜 「ざくろの色」
 15時30分〜 「ドキュメンタリスト」+上映後、ゲスト・トーク
 18時00分〜 「リターン・トゥ・ザ・プロミスト・ランド」
          
●8月19日(土) アップリンク・ファクトリー
 11時00分〜 「リターン・トゥ・ザ・プロミスト・ランド」
 13時00分〜 「ドキュメンタリスト」
 14時30分〜 「カレンダー」
 16時30分〜 「マリアム」
 19時00分〜 「神よ、あわれみたまえ」

——————-
■2、企画趣旨
 日本人にとって“遠い国”であるアルメニア。20世紀初頭のジェノサイドによって多くのアルメニア人が世界中に離散したことは、日本ではあまり知られていません。しかし、映画においては、自らの背景にある民族の歴史と文化を追求した作品によって、アルタヴァスト・ペレシャンやセルゲイ・パラジャーノフのような映画監督が日本でも注目されてきました。
 1990年代、アルメニアはソ連邦崩壊により激動の時代を迎えます。アルメニアの映画人たちは、国内外における社会情勢の変化と厳しい経済状況に向き合いながら、作品を製作し続けています。
 本上映会は、アルメニアにルーツをもつアトム・エゴヤンの『カレンダー』を始め、まだ誰も目にしたことがない日本初上映の5本を含む全7作品を特集します。アルメニア映画を代表する作品を紹介するとともに、共和国独立後の新作を上映し、独自の映画史を歩みだしたアルメニアの多彩な映画芸術に迫ります。人間性と世界のありように対する透徹した意識、アルメニアの歴史とアイデンティティのテーマは新鮮さを失わずに繰り返されています。

——————-
■3、上映作品(全7作品、★=日本初上映作品)

「ナーペト」 へンリク・マリャン
(Nahpet/1977/93分/35mm/カラー)日本語字幕あり 提供:ロシア映画社

□ 1921年ナーペトは家族を失い、悲しみとともにアララト渓谷にやってくる。姉一家との再会、同じような運命を背負った女性との出会いにより彼はゆっくりと生きる力を取り戻してゆく。20世紀初頭の民族絶減政策にさらされたアルメニア人の運命をもの語る映画である。当時の全ソ映画祭で大賞と撮影技術賞を受賞、アルメニアを代表するマリャン監督による静溢な感動作。
・日本公開年 1979年 <ソビエトシネマ’79> ヤマハホール

—–
「ざくろの色」 セルゲイ・パラジャーノフ
(The Color of Pomegranate/1968年/72分/35mm/カラー)日本語字幕あり New Print 
提供:ザジフィルムズ

□ 18世紀アルメニアの詩人サヤト・ノヴァの生涯にオマージュを捧げた美しい映像詩。台詞をほとんど用いずに描かれた本作は豊かな詩であり、舞踏であり、全編動く絵画である。日本でも既に公開され人気の高いパラジャーノフの唯一アルメニアで制作された代表作。神秘的で謎めいた儀式性と様式美に彩られている本作は、映画史上で特別な存在感のある傑作。
・日本公開年 1991年

—–
「カレンダー」★ アトム・エゴヤン
(Calendar/1993年/73分/16mm/カラー)日本語字幕あり

□ 古い教会を写真に収めたカレンダーを作るため、アルメニアに赴いたカメラマンと通訳として同行する彼の妻。旅が進むにつれ、アルメニア語で会話する妻と現地のガイドは次第に親密になってゆく。カメラマン夫婦役はエゴヤン本人と妻で女優のアルシネ・カーンジャン。『アララトの聖母』同様、自らのルーツであるアルメニアを取り上げた必見の作品。
・1993年ベルリン国際映画祭フォーラム部門ヨーロッパ芸術映画連盟賞

—–
「リターン・トゥ・ザ・プロミスト・ランド」★ ハルチュン・ハチャトゥリヤン
(Return to the Promised Land/1991年/87分/35mm/カラー) *作品の性質上、字幕を必要としません

□ 難民となった若い家族は安住の地を求め、アルメニア北部の廃村へたどり着く。若い女性の妊娠、牛の出産、開墾、植林…、カメラは日常に向かい、新しい生活を築くさまを映し出す。長い間国家として存在し得なかったアルメニア。国家として再生していくその姿を作家は若い家族に投影させている。現代アルメニア映画を代表するハチャトゥリヤン監督の力作。

—–
「ドキュメンタリスト」★ ハルチュン・ハチャトゥリヤン
(Documentarist/2003年/62分/35mm/白黒) 日本語字幕あり

□ ある映画監督は撮影クルーを引き連れ、映画の撮影をしている。カメラの映し出すものは物乞いをする子供、身よりのない障害者、難民の姿である。これら1990年代に撮られたフィルムを編集することで本作は完成した。“撮る”という行為に思い悩む映画監督をハチャトゥリヤン自身が演じ、激動期の社会的混迷の中から痛々しくも
しい瞬間を見出そうとする。
・2003年ロシアアカデミー賞外国語映画賞ノミネート、カルロヴィヴァリ国際映画祭ドキュメンタリー審査員スペシャルメンション。

—–
「神よ、あわれみたまえ」★ ヴィゲン・チャルドゥラニヤン
(Lord Have Mercy/1996年/101分/35mm/パートカラー) 日本語字幕あり

□ 1990年代初頭のイェレヴァンを舞台に、映画監督である主人公が退屈な日常を抜け出そうともがく姿を描く。なにかを強く望み、なにかを強く避けている彼の生活は、自ら社会から外れていこうとしているようであり不器用といえる。俳優としてのキャリアも豊富なチャルドゥラニヤンは監督の他に主演や美術も担当し、彼自身の力強さが映画全体から伝わってくる。

—–
「マリアム」★ エドガル・バグダサリアン
(Mariam/2005年/126分/35mm/カラー) 日本語字幕あり

□ 聴覚障害児の学校で教師として働くマリアムの周辺では、家中のガラスが割れるなど奇妙な現象が起こる。精神科に通うことになった彼女は…。優れた編集と洗練された色調により、日常の中の不安定さを引き出したバグダサリアンは1964年生まれのアルメニア新鋭の監督。主役に抜擢された当時無名のジャネット・ホヴァネシアンの美しさにも注目。