もう自分の感情を抑えきれない。
あなたの心にすべてをゆだね、運命に従うまでです。

『オネーギンの恋文/Onegin』

☆1999年東京国際映画祭 最優秀監督賞受賞作品
☆1999年トロント国際映画祭 GALA部門 特別招待作品 クロージング上映
☆1999年サンセバスチャン映画祭 特別招待作品 クロージング上映

<INTRODUCTION>
●永遠に交わることのない、恋文に託された秘めた想い−
 愛とその喪失を描いたロシアの文豪プーシキンの最高傑作を映画化

溢れるような想いを恋文に託し、享楽的で身勝手な貴族オネ—ギンにまっすぐに告
白する若き日の田舎娘タチヤーナ。あまりにも純粋すぎる彼女の想いを、拒絶する
オネ−ギン。そして二人はある事件により引き裂かれてしまう。6年の空虚な放浪
を経てぺテルブルグに戻ったオネーギンは舞踏会で人々の注目を集める貴婦人に心
を奪われる。
19世紀ロシアの社交界を舞台に、すれちがう愛の悲劇を描いた一大叙情詩『オネー
ギンの恋文』。ドストエフスキーやチエホフに多大な影響を与えた文豪プーシキン
の最高傑作を『イングリッシュ・ペイシェント』で知られる英国演技派スター、レ
イフ・ファインズが自ら製作総指揮・主演を兼ね、同じく原作に惚れ込んだ実妹・
マーサ・ファインズを監督に迎えて念願の映画化が実現しました。

●レイフ・ファインズ、リヴ・タイラーを始め、豪華実力派キャストが織り成す
 華麗で痛切なラヴストーリー

レイフ・ファインズが演じるのは、偽善と虚飾に満ちた上流社会に厭きはて、人生
の意味を見出せずにいる貴族オネーギン。彼を苦悩へと導くタチヤーナ役には『魅
せられて』『アルマゲドン』などで国際派女優として活躍目覚ましい、リヴ・タイ
ラー。純真な田舎娘から社交界の華へと変貌するタチヤーナを存在感豊かに演じま
した。
ふたりのメインキャストを強力にサポートするのは英米の映画・演劇界を代表する
実力派スターたち。タチヤーナの夫となるニコライエフ公爵を演じるのは『ある貴
婦人の肖像』で全米映画批評家賞を受賞したマーチン・ドノヴァン。悲劇的な最期
を迎えるオネーギンの親友レンスキーに『十二夜』の若手演技派トビー・スティー
ヴンス。また、監督には英国のCM&ミュージック・ビデオ界をリードする俊英マー
サ・ファインズが起用され、本作で劇場映画監督として鮮烈デビューを飾りました。

<STORY>
焼け付くような悔恨が胸を締め付ける。男と女、拒絶された愛の行方。
1820年代のペテルブルグ。享楽的な生活の末、財産を使い果たしたオネーギン(レ
イフ・ファインズ)は、虚飾に満ちた社交界にも、生きることにさえも、すっかり
厭きて嫌気がさしていた。そんな時、田舎の伯父に死期が迫り、オネーギンは彼の
地所を相続するため思いがけなくペテルブルグを離れることになる。

オネーギンは伯父の死を看取り、新しい地主となる。だがこの土地では都会人の彼
は場違いな存在である。田舎の生活にも、そこで暮らす人々の生き方にも馴染めな
い彼は、領地を農民に貸して自分はペテルブルグヘ戻るつもりでいる。しかし、青
年地主レンスキー(ドビー・ステイーヴンス)と親しくなったことから彼の運命は思
わぬ方向へ進んでいくのであった。レンスキーはドイツの名門大学の出にもかかわ
らず、この田舎で詩作に、ふけっているロマンティストだった。
彼はオネーギンを未亡人マーシャ・ラーリン(ハリエット・ウォルター)に紹介する。
マーシャの次女オリガ(レナ・ビーティー)はレンスキーの婚約者だった。普段は何
事にもシニカルな見方をするオネーギンも、このカップルには好感を抱く。

オリガの姉タチヤーナ(リヴ・タイラー)は、洗練された都会から来たどことなく謎
めいた雰囲気のあるオネーギンに、一目見たときから強烈に心惹かれてしまう。眠
れぬ夜、とうとう彼女は熱い想いを手紙にしたためる。

まっすぐで情熱に満ちたタチヤーナの手紙はオネーギンを驚かせる。数日後、タチ
ヤーナの“名の日”のパーティーに招かれた彼は、彼女に愛を受け入れることはで
きないと告げる。彼はまるでタチヤーナの想いを断ち切らせようとするかのように
オリガと親しげに戯れる。だがそれはレンスキーの嫉妬心に火をつけてしまう。つ
めよるレンスキーにオネーギンは、愚かで尻軽な女を誘惑するつもりはないと答え
る。恋人を侮辱されたレンスキーは怒りにかられ、決闘を申し込む。

オネーギンはレンスキーの気持ちを鎮めようとするが、彼の決意は変わらない。早
朝の湖畔に二発の銃声カ響き渡る。親友の亡骸を抱き締め、声にならない鳴咽にむ
せぶオネーギン。心に深い傷を負った彼はこの土地を去り空虚な流良の旅に出る。

6年後、ペテルブルグに戻ったオネーギンは、舞踏会で人々の注目を集める美しい
貴婦人に心を奪われる。それがタチヤーナだと知った彼は、我が目を疑った。彼女
は叔母の公爵夫人エレーナ(アイリーン・ワース)の手引で社交界入りし、3年前に
オネーギンの従兄弟、ニコライエフ公爵(マーチン・ドノヴァン)と、結婚していた
のだった。あまりにも鮮烈で残酷な再会。悔恨がオネーギンの胸を締め付ける。一
方で、すでに貞節を夫に捧げ、守らなければならない義務を背負っているタチヤー
ナの苦悩。かつてタチヤーナの愛を拒絶した彼は、彼女の愛を取り戻そうとするが…。

<STAFF>
監督:マーサ・ファインズ
製作総指揮:レイフ・ファインズ
原作:アレキサンダー・プーシキン
製作総指揮:レイフ・ファインズ
脚本:マイケル・イグナティフ、ピーター・エテギ
音楽:マグナス・ファインズ
衣裳:クロエ・オボランスキー、ジョン・ブライト
編集:ジム・クラーク
美術:ジム・クレイ
撮影監督:レミ・エイドファラシン

<CAST>
オネーギン:レイフ・ファインズ
タチヤーナ:リヴ・タイラー
ニコライエフ公爵:マーチン・ドノヴァン
レンスキー:トビー・スティーブンス
オリガ:レナ・ヒーティー
ザレツキー:アラン・アームストロング
ラーリン夫人:ハリエット・ウォルター
公爵夫人エレーナ:アイリーン・ワース