デビュー作『バーバー吉野』(03)や、『かもめ食堂』(06)、『めがね』(07)などで日本映画の新しいジャンルを築き、その世界観から女性に圧倒的人気を持つ、荻上直子監督。5年振りとなる、待望の最新作『彼らが本気で編むときは、』がクランクイン致しました。なお本作は、2017年2月25日(土)より全国一斉ロードショーとなります。

2013年、アメリカから帰った荻上監督は一つの新聞記事を見つけました。「トランスジェンダーの子どもを持つ母親が子どものためにニセ乳を作る」という心温まるエピソードでした。本作は、そこから着想を得て、監督自身が作り上げたオリジナル脚本です。

◆カタチなんて、あとから合わせればいい。
◆彼らが本気で編んでいる理由を聞こうじゃないか。
◆育児放棄する母親に捨てられたも同然の少女が出会ったのは、優しさに溢れた一組の
 カップル。彼らもまた社会に受け入れられない大きな悩みを抱えて生きていた…

トランスジェンダーのリンコ、育児放棄された子どものトモ、リンコの恋人でトモを温かく見守る叔父のマキオ、主人公3人のどんなドラマが繰り広げられるのか。形に囚われない家族の中で、彼らは“何を”本気で編んでいるのか。

トランスジェンダーの主役には、「他は考えられない」という監督たっての希望により生田斗真が決定。生田さん自身も脚本に惚れ込み、難しい役どころに挑戦することに意欲を見せている。その恋人役には目覚ましい活躍を見せる桐谷健太。子役には、数回に渡るオーディションで輝く才能を見せ、本作が映画本格デビューとなる柿原りんか。

現在、順調に撮影が進められている現場から、生田さん、桐谷さん、そして今まで癒やし系監督として女性から圧倒的な支持を得ている荻上監督からも「(本作では)逆に癒やしてなるものか!」という本作にかける衝撃のコメントが到着しました。

◆ 生田斗真さんからのコメント(リンコ役 / トランスジェンダー、介護士)

 荻上監督の最新作ということで、企画書をいただきました。トランスジェンダーの女性を描いていて、荻上監督独特の、かわいくもあるし、優しくもある温かい脚本で、監督の期待に応えたいという思いが湧きました。監督はとてもサバサバした方で、違ったら違う、よかったらよかったと物事をはっきり言ってくださるので、とても信頼しています。

 桐谷さんの存在もとても心強いです。僕のことをたくさん褒めてくれるし、大丈夫、大丈夫って背中をポンと押してくれるんです。もともとマキオさん(※)のように器が大きい俳優さんだし、頼りたくなる存在ですね。

 撮影に入ってみて、難しい役だと改めて実感していますが、こうした役をいただくことはそうないことですし、全力で取り組んでいます。

 ※本作での桐谷健太さんの役名

◆ 桐谷健太さんからのコメント(マキオ役 / リンコの恋人)

 最初はマネージャーから「すごい良い物語だよ。育児放棄した姉の娘を自分で育てていこうと思う青年役だ」と聞きました。

 荻上監督作品は、『めがね』や『かもめ食堂』、『トイレット』などを以前観ていて、ホッとしたのを覚えています。脳みそとか腸とか、内臓が休まる感じのイメージがあって(笑)。荻上監督は、自分で本を書いて、自分で監督されているので、説得力が半端じゃないし、演出の指示が的確で、「なるほど、確かにそれがマキオかも!」って思えるんです。監督の演出によって、俺のマキオは余分なところが削がれ、本物の「小川マキオ」になって、転がり出していく感じです。

 斗真とも「この映画は俺らのターニングポイントになりそうやね」と話しています。自分にとって何かが凄く変わりそうな作品と感じていますし、今までやったことのない人物像なので、自分自身も凄く楽しみだし、肩の力を抜いてマキオとして監督の世界にちゃんと漂えるようにしたいです!

 撮影は映画の現場!って感じで楽しいです!

◆ 荻上直子監督からのコメント

 数日前にクランクインしましたが、私にとっても、生田さんや桐谷さんにとっても、転機となる作品だと思っていますし、そうなるように努力しているところです。癒し系、スローライフなどが、私の過去の映画のイメージでした。ならば言いたい。本作『彼らが本気で編むときは、』では、癒やしてなるものか!もはや、生ぬるいものを作る気など一切ありません。この映画は、私の人生においても、映画監督としても、荻上直子、第二部の始まりなのです。

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執筆者

Yasuhiro Togawa