2010年に映画化されたベストセラー『武士の家計簿』などの著作で知られ“平成の司馬遼太郎”との呼び声も高い磯田道史氏の近著「無私の日本人」(文春文庫刊)の一編「穀田屋十三郎」を、「ゴールデンスランバー」「白ゆき姫殺人事件」「予告犯」等、今最も注目を集める中村義洋監督が映画化。そんな本作に、今季の「JR SKI SKI」のイメージガールとしても話題の山本舞香さんが、出演されていることを発表致します。

 今から250年前の江戸中期、仙台藩吉岡宿。年貢の取り立てや労役で困窮する宿場町を守るため、知恵と工夫と決死の覚悟で立ち上がり、ついに地域を立て直した住人たちがいた—。実在した穀田屋十三郎ら庶民9人が、藩にまとまった金を貸し、毎年の利子を全住民に配る「宿場救済計画」を立て、奔走する姿が、現代によみがえります。

 造り酒屋を営むかたわら、宿場町の行く末を心から憂える主人公・穀田屋十三郎(こくだや・じゅうざぶろう)を演じるのは、阿部サダヲ。町一番の知恵者である茶師・菅原屋篤平治(すがわらや・とくへいじ)に瑛太。そして十三郎の弟で、吉岡宿一の大店・造り酒屋の浅野屋の主・浅野屋甚内(あさのや・じんない)には妻夫木聡。才能あふれる多種多彩な豪華キャストの競演も見どころです。

 山本舞香さんの役どころは、瑛太さん演じる篤平治の新妻・なつ。京で茶を売ったお金で、日本最北の茶栽培をはじめようとする篤平治につき従い、京から嫁いだその地は、極めてビンボーな宿場町!篤平治の話とは大きくかけ離れ、最初は戸惑うばかりのなつでしたが、そこはふたりの信じ合う愛で、軽々と乗り越えます。そんな新婚夫婦の年の差はなんと14歳! 「町一番の“自称“キレ者」として宿場町の救済に励もうとする夫を、年下ながら叱咤激励し、しっかりと支える若妻を演じます。

 山本舞香さんの時代劇映画への出演は初めて。今回、劇中のスチール写真を初公開致します。阿部サダヲさん、瑛太さんをはじめベテラン俳優陣との共演にあたり、期待と喜びのコメントが届きました。

■山本舞香

こんなに緊張感のある現場は初めてで、今回とても貴重な経験をさせて頂きました。
中村監督は、普段とてもニコニコして優しい方なのですが、
いざ撮影現場に入ると、厳しい面もお持ちの方で、作品に対しての強い想いを感じました。
今回なつを演じるにあたっては、衣装合わせの時に中村監督から
「篤平治となつは、実際に同じお墓に入るくらい仲がよかったんだよ」と聞きました。
夫婦で同じお墓にはいるということが、当時は珍しかったと聞いて驚きましたが、
すごく仲がよかった夫婦と伝わるように心がけて演じました。

■中村義洋 監督

舞香ちゃんの演じた「なつ」の役も実在の記録に散見できて、お墓も残っています。瑛太くん演じる茶師・菅原屋篤平治の年の離れた奥様で、どうやら気が強く、頭脳明晰な篤平治も頭が上がらなかったらしい。きっと、とんでもなくかわいい奥さんなんだろうな、と思って舞香ちゃんをキャスティングしました。現場では、あまりにかわいいもんですから「オッケー!」の代わりに「うん! かわいい!」を連発してたら旦那役の瑛太に変な目で見られて困りました。しかし、いい女優さんというのはかわいいだけじゃ勿論ダメなわけで、舞香ちゃんの魅力といえば、周りを飲み込むパワーを持つ明るさでしょうか。これはもう、本人も気づいてない「パワー」としか言いようのないものです。とにかく、いろんな意味で、強い。ちなみに空手が黒帯だそうで、試しに手のひらに正拳突きをお願いしたら、肘が2、3日おかしくなりました。

■池田史嗣 (松竹)プロデューサー

稀に、現場にいるだけで全体の雰囲気が明るくなるような華やかさを持った女優さんに出会うことがあります。山本舞香さんは、まさにそういうタイプ。周囲を笑顔にするオーラは天性のもの。加えて確かな芯の強さがある頼もしい女優さんで(劇中では)夫の瑛太さんを完全に尻に敷いています。すぐ調子に乗る旦那の手綱を取る、しっかり者の年下女房。そんな、現代でも周りにいそうな二人の微笑ましいカップルぶり、この映画の見どころの一つです。 

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執筆者

Yasuhiro Togawa