フランスで100万人を動員したハートウォーミング映画『愛しき人生のつくりかた』が2016年1月23日(土)よりBunkamuraル・シネマほかにて全国ロードショーとなります。

2015年は『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』や『ジュラシック・ワールド』、『007 スペクター』、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』といった洋画超大作映画が次々と公開され、多くの映画ファンが劇場に足を運んだ。CG多用した派手なアクションやSF、アメコミヒーローを大スクリーンで堪能するのも映画の楽しみだが、しっかりと地に足ついた脚本に、落ち着いたカメラワークで丁寧に撮られた俳優たちの名演が光る人間ドラマを楽しむのもまた映画の楽しみ。一年で一番寒いといわれる時期だからこそ見たい、心がほっこり温まるフランス映画『愛しき人生のつくりかた』が、2016年1月23日に公開となる。

まず何と言っても本作の魅力は、愛すべき登場人物たちだ。本作は、パリに住む3世代の家族にスポットライトを当て、人生の岐路や普遍的な家族愛を描き出していく物語。主人公の心優しきおばあちゃん・マドレーヌは最愛の夫を看取り、独り身になっては初めて自分の人生を振り返る。孫のロマンは、そんなマドレーヌを気遣い、会いに行っては椅子を並べて話し込み、誕生日にはサプライズを仕掛けたりと、まるで親友のよう。お互いを思いやり、言葉にせずとも心を通い合わせる姿は、何とも心が温まる。マドレーヌの息子でロマンの父でもあるミシェルと妻・ナタリーは、あわや熟年離婚か?とこちらをひやひやさせるが、実際には深い絆で結ばれている夫婦。妻の習うスペイン語の先生に出くわし嫉妬する夫、夫との出会いと愛の告白のエピソードを幾度となく息子に話して聞かせる妻—。相手を想いながらも、素直に愛情を表現できない不器用な2人は、まるで付き合い始めの恋人のよう。いくつになっても男と女であることを忘れないフランス人カップルらしい光景に思わず微笑んでしまう!

そして、本作を彩る名曲「残されし恋には」にもぜひ注目してほしい。往年の名シャンソン歌手にして作詞家シャルル・トレネの代表曲で、巨匠トリュフォー監督作『夜霧の恋人たち』(’68)の主題歌としても知られる。劇中で流れるこの曲は、別れた恋人を想いながら幸せだった日々や、二人で訪れた場所を思い返していくといった内容の歌詞だが、本作ではその「失恋」の枠組みを超えて、家族の愛情や人の一生へのまなざしまで感じさせる。物語の中盤、突如家族の前から姿を消してしまうマドレーヌと、祖母を探す旅に出るロマンの心情に寄り添いながら、この歌詞の世界をじっくり味わってみてほしい。

映画『愛しき人生のつくりかた』は2016年1月23日Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー。

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執筆者

Yasuhiro Togawa