映画『自由が丘で』「タモリ倶楽部」でお馴染みソラミミスト、イラストレーター安齋肇さんのオリジナルイラスト到着!
本作は、年上のかつての恋人を探しにソウルへとやってくる日本人のお話。彼女を探してソウルの街をいったりきたりする、加瀬亮演じる主人公のモリ。年上の恋人を探し、待つ間に立ち寄ることになるカフェ〈自由が丘〉。ムン・ソリ演じる、カフェのオーナー、ヨンソンが飼っている犬、クミ。クミとは韓国語で“夢”という意味。ある日、いなくなってしまったクミを散歩中のモリが偶然見つけて連れ帰ったことで、ヨンソンと急接近。本作のテーマのひとつとなっている“時間”にしばられない、まるで“夢”のようなストーリー。
その登場人物たちを繋げる役割を演じる、クミ(夢)という犬。ホン監督が、製作スタッフが飼っている犬の中から“大抜擢”しました。その物語が動くきっかけともなる犬、クミのイラストを、「タモリ倶楽部」でお馴染みの安齋肇さんが、日本公開のために書き下ろし!現実と夢のはざまで揺れるモリを投影したような犬、クミ。まさに安齋タッチの不思議な愛くるしいイラストになっております。
また安齋さんのほかに、女優・モデルの菊池亜希子さん、ミュージシャンの坂本美雨さん、本年度の芥川賞を受賞した作家、柴崎友香など、各界の著名な方々の『自由が丘で』へのコメントも到着しました。
(各界の方々のコメント)
●空耳という現象は、聴き取れなかった部分を補おうとする脳ミソの仕業だと聞いた事がある。
その脳ミソは、時間は流れているという概念も作り出したんだ。
『自由が丘で』は、時間が自由に煙草をくゆらせワインを傾ける。
補おうとする脳ミソの屁理屈など聞いちゃくれない。
ここは愛と直感の世界JIYUGAOKA8丁目。
JIGOKUNO3丁目ではございません。恐る恐る未来へ歩く旅人たちのゲストハウス。
夢みるヤツらは、よく眠るのだ。
ーーー安齋肇(イラストレーター)
●バラバラになったものは、
ふつう順番に並べ直すものでしょ。
でも、その『ふつう』をやめたとたん、
ココロとカラダがふわりと軽くなった。
それはとても不思議で幸福な体験でした。
ーーー菊池亜希子(女優・モデル)
●この映画の後味はとても不思議だ。
移り変わる時にすこしとまどいながらも、かけらを埋めていくうちに、
それは人と人の思いの地図をみごとに浮き上がらせていく。そ
して見終わったあとも、この人たちが今はどうしているかと、ふとした時に考えてしまう。
ーーー坂本美雨(ミュージシャン)
●おもしろい!と言ってまわりたい!なんでこんな映画が撮れるんだろう。
坂の多い、迷路のようなこの街で、わたしもずっと迷い続けたい。
ーーー柴崎友香(作家)
●時間の錯綜を、大げさな試行や、幻想めいたそれではなく、
ごく普通の世界として心地よく感じさせる。鮮やかな手つきだ。
ーーー宮沢章夫(劇作家・演出家・作家)
●登場人物全員が変人で魅力的。
しかも、作中の時間がシャッフルされているから、
次のシーンで何が起こるのか、まったく予測できない。
「いなくなった犬がみつかる」んじゃなくて「先にみつかってからいなくなる」なんて!
そんな異次元の恋愛はあまりにもスリリングだ。
ーーー穂村弘(歌人)
●限定された空間で繰り返される、シンプルな出来事。
だが、時系列のシャッフルによって意味を事後的に増幅し、異文化の街角で出会う日常の豊かさを反芻する作品だ。
ーーー五十嵐太郎(建築評論家)
●気さくな語らいは気まずい喜劇に転じ、日々の散歩は不条理な停滞へ移ろい、酒を飲んで煙草を吸って手紙を書いて。
そんな主人公を見ていたら心持ちよくなった。役者、加瀬亮の代表作の一本だと思う。
ーーー渡邊琢磨(音楽家)
●何度も読もうとして断念していた吉田健一の「時間」にもう一度トライしてみたくなりました。
ーーーホンマタカシ(写真家)
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執筆者
Yasuhiro Togawa