1993年10月31日に23歳の若さで他界した俳優、リヴァー・フェニックス。撮影中突然の訃報により、未完成のままお蔵入りとなり、世界中のファンがその完成を待ちわびていた遺作『ダーク・ブラッド(原題)』が、没後20年近い歳月を経て完成。日本では2014年の劇場公開が決定、東京・ユーロスペースほか全国ロードショー予定。若き日のリヴァー・フェニックスが遂にスクリーンに蘇る!

子役時代に主演した『スタンド・バイ・ミー』、アカデミー賞助演男優賞にノミネートした『旅立ちの時』、盟友キアヌ・リーブスと共演しベネチア国際映画祭男優賞受賞の『マイ・プライベート・アイダホ』など、実力と人気を兼ねた若手俳優として、輝かしい経歴を誇るリヴァー・フェニックス。わずか23歳にして薬物の過剰摂取で、ハリウッドの人気クラブ「ヴァイパー・ルーム」の入り口でリヴァーが急逝したのは、今からちょうど20年前の10月31日。それは、『ダーク・ブラッド(原題)』撮影の最中、クランクアップの10日前であった。突然の訃報は当時、リヴァーの親友たち、キアヌ・リーブス、ジョニー・デップ、イーサン・ホークなどハリウッドをはじめ、全世界中に大きな悲しみと衝撃が広がった。

 ジョルジュ・シュルイツァー監督(現在81歳/『ザ・バニシング‐消失‐』『マイセン幻影』)は、リヴァーの死後、保険会社に『ダーク・ブラッド(原題)』のフィルムを取りあげられることを恐れ、オランダに持ち帰り長らく保管していた。しかし、2008年に大病を患い死に直面した監督は、作品を完成させることを決意。フィルムの法的問題がクリアになり、資金確保の目途も立ったことから2009年より映画制作を再開し、撮影できなかったシーンは、ナレーションで補うなどの工夫でようやく完成した。2012年9月にシュルイツァー監督の地元であるオランダ映画祭でプレミア上映を実施、2013年第63回ベルリン国際映画祭出品され、世界的なニュースとなった。
 
 映画は、砂漠の荒れ地に住む青年ボーイ(リヴァー・フェニックス)の物語。ある日、青年ボーイの元に、ハリウッドからやってきた裕福な夫婦、ハリー(ジョナサン・プライス)とバフィー(ジュディ・デイヴィス)が車の故障のために助けを求めてやって来る。妻を亡くして以来、世界の終末を待ちわびる孤独な青年ボーイは、二人との出会いを契機にその内に秘めた本能が目覚めていく。美しいバフィーに好意を寄せるボーイ、彼の妖しく不思議な魅力にはまり込んでいくバフィー、ボーイとことある毎に衝突するハリー、三人の関係は次第に緊迫の度を深めてゆく。

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執筆者

Yasuhiro Togawa