正木基presents001<映像の中の炭鉱>8月3日(土)〜 一週間限定開催決定!!
ポレポレ東中野では、8月3日より戦後視覚芸術を長年研究・実践してこられた正木基氏企画による上映会を開催致します。一回目となる今回は、埼玉県東松山市の原爆の図丸木美術館で現在開催中の「坑夫・山本作兵衛の生きた時代」展に併せて、戦前・戦中の炭鉱が映像でどのように描かれているかを検証・考察する上映とトークを行います。また、本企画では、26,000字を超える正木氏による論考で全8ページにわたる異例のチラシを作成し、無料配布致します。なお、この正木氏による上映企画は第三弾まで開催が決定しております。
2009年、ポレポレ東中野では、炭鉱会社のPR映画、炭鉱の実体を記録したドキュメンタリーから、青春映画、任侠映画、文芸映画などまで、炭鉱をテーマにした、戦後のさまざまな記録映画、劇映画の特集上映を開催、大変なご好評をいただきました。
炭鉱文化を巡っては、その後、山本作兵衛翁の炭坑絵画の世界記憶遺産登録、浩瀚な炭鉱文学を検証した池田浩士の『石炭の文学史』刊行などがあり、炭坑・炭鉱文化への関心は産炭地からの広がりを伴いつつ、深められているといっていいでしょう。
そのうちの一つの試みとして、本年7月13日〜9月8日には、作兵衛(作たん)事務所とポレポレタイムス社の協力のもと、原爆の図丸木美術館が、山本作兵衛の作品をメインに、作兵衛翁以前の炭坑・炭鉱美術を探る展覧会が開催中です。
その趣旨に協賛し、ポレポレ東中野でも、前回の炭鉱映画特集プログラムを踏まえた<映像の中の炭鉱Part.2>を企画上映することといたしました。
今回は、戦後のTVでは炭鉱をテーマにした膨大な作品が制作されたこと、また、山本作兵衛翁以前、すなわち戦前・戦時に炭坑はどのように表現されたかを顧みる展覧会内容に合わせ、戦前映画の中で、炭鉱はどのように扱われたか、という視点を組み込みました。
前者の視点に対しては、テレビマンユニオンの今野勉氏がNHKと制作した『地の底の精霊歌』(1993年8月放映)が、今野氏のご尽力を仰ぎ、初の劇場公開とすることができました。第31回ギャラクシー賞も受賞した本作は、炭鉱生まれの今野氏の炭鉱鎮魂歌でもあり、従来の炭鉱記録映画とは趣きを異にした注目作です。
戦前の日本映画からは、流れ者としての炭坑夫と水商売の女性たちの人間模様を描いた、清水宏監督の『泣き濡れた春の女よ』を取り上げます。生涯で163作品を監督した清水宏の第86作、彼の初のトーキー映画という経歴中でどのように炭鉱が表現されたかをご覧いただければと思います
さらに、前回プログラムで上映した、亀井文雄監督の『女ひとり大地を行く』(1953年2月封切)は、ドキュメンタリーの手法を取り入れたドラマとして、炭鉱労働者の1929年から20年余にわたる生活と戦いを描いたもの。炭鉱労働者の朝鮮戦争下の現実を、労働者としての目線で描いた初の炭鉱映画と言える作品です。
作品数は少なくありますが、炭鉱表現を巡るテレビや映画の取り組みの一端をご覧いただきたく思います。
上映概要
上映作品:
『地の底への精霊歌 炭鉱に民話の生まれる時』(1993年/49分)監督:今野勉
『女ひとり大地を行く』(1953年/132分)監督:亀井文夫/脚本:新藤兼人、千明茂雄/出演:山田五十鈴、宇野重吉
『泣き濡れた春の女よ』(1933年/96分)監督:清水宏/原作:本間俊/脚本:陶山密/出演:岡田嘉子、大日方傳
上映日時:2013年8月3日(土)〜9日(金) 一週間限定開催 連日12:20〜 上映+トーク
会場:ポレポレ東中野 東京都中野区東中野4-4-1-地下 tel:03-3371-0088 http://www.mmjp.or.jp/pole2/
料金(当日券のみ):
一般1500円/シニア1300円/大・専・障害者1000円/高・中・小700円/未就学児無料
※半券割引:丸木美術館「坑夫・山本作兵衛の生きた時代」展の半券ご提示で1000円でご鑑賞頂けます。何度でもご使用可能!
執筆者
Yasuhiro Togawa