町を歩けばあちこちで目にする光景——散歩中の犬や、路地裏でくつろぐ野良猫たち。しかし、全ての犬と猫が幸せな一生を送れるわけではありません。空前のペットブームの影で、日本で処分される犬と猫は年間30万頭以上。一日に1000匹近くが殺されている現実があります。あなたは、犬と猫たちのことをほんとうに知ってますか?

捨てられた犬と猫をめぐる旅が始まります
一人の猫好きのおばあさんの「不幸な犬猫を減らしたい」という思いから、この映画は生まれました。
そのあばあさんは言います。「人も好きですけど、人間よりマシみたい、動物の方が」
そして、犬と猫をめぐる旅が始まります。完成までには、4年が費やされました。監督は、ドキュメンタリー映画『あしがらさん』で路上にいきる人々に寄り添った飯田基晴。大上段にふりかぶらず、犬と猫が歩くような低い視点から、人と犬猫の関係をしっかり見つめます。
犬と猫をとおして見えてくる人間の姿映し出されるのは、鉄柵の向こうから悲しげな目で見つめる犬、行政施設に持ち込まれる生まれたばかりの子猫たち。更には、動物愛護先進国・イギリスの姿。動物たちのほのかなユーモアや、捨てられた命を救うため奮闘する人々の苦悩。繰り返し登場するのが、しろえもんという一匹の犬。そのしろえもんをめぐる“しつけ”の様子は、動物と人間の関係を考えさせられます。
そんな知られざる多くの現実の先にあるのは、感傷を乗り超える、ささやかな希望に違いありません。

ドキュメンタリー映画『犬と猫と人間と』は、10月より渋谷ユーロスペースにて公開

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執筆者

Yasuhiro Togawa