イタリアの名匠ジャンニ・アメリオ監督の最新作「La Tenerezza」(イタリア映画祭 2018 上映題「世情」)の正式邦題が、『ナポリの隣人』に決定、2019 年 2 月 9 日(土)より岩波ホールほか全国順次にて公開が決定いたしました。

養護施設へ向かう幼い姉弟の旅を描き、カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ、ヨーロッパ映画賞最優秀作品賞を受賞した『小さな旅人』(‘92)、障碍を持つ実の息子と 15 年ぶりに対峙する父親を描き、ヴェネチア国際映画祭で 3 つの賞を受賞した『家の鍵』(‘04)、アルベール・カミュ未完の自伝的遺作を映画化した『最初の人間』(’11)等、人と人との繋がりを、時に冷徹に、時にやさしさを込めて描いてきた、ジャンニ・アメリオ監督。
35 年以上のキャリアで長編作品 12 作と寡作で知られるが、国内はもちろん国際的にも受賞歴を誇り、ヨーロッパ映画賞で最優秀作品賞を 3 度にわたり受賞するなど、イタリアのみならずヨーロッパを代表する名匠と言えるアメリオ監督が最新作で描いたのは、ミステリアスな事件を背景にした、父と娘の相剋の物語。

舞台は南イタリアのナポリ。かつて家族と暮らしたアパートに独り暮らす元弁護士のロレンツォ。娘のエレナは、アラビア語の法廷通訳で生計を立てるシングルマザーだ。母の死の原因が父の裏切りによるものと信じ、父を許せないでいた。気難しいところのあるロレンツォだが、向いの家に引っ越してきた若い夫婦ファビオとミケーラ、二人の子どもたちと親しくなり、お互いの家を行き来し合う疑似家族のような関係になる。しかしその平穏な日々は、幸せに見えた一家に起こった思いがけない事件で、突然幕を閉じることになる。
分かり合えず、すれ違う家族の心情、他者との繋がりが希薄になった地域社会…。“家族主義の国イタリア”、“人情溢れる下町ナポリ”というイメージを覆す、現代に生きる人々の心の闇を容赦なく描き切り、観る者の心をゆさぶる“21 世紀のネオリアリズモ”ともいうべき作品が誕生した。

主演の名優レナート・カルペンティエーリは、本作でダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞(イタリア・アカデミー賞)、イタリア・ゴールデングローブ賞、ナストロ・ダルジェント賞というイタリアの国内主要映画賞で主演男優賞三冠を達成。ジョヴァンナ・メッゾジョルノ(『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』)、ミカエラ・ラマッツォッティ (『歓びのトスカーナ』)という、現代イタリア映画界を代表する二人の女優も、各映画賞にノミネートされる名演を見せ、国際派女優グレタ・スカッキ(『三人姉妹』)も陰影に富んだ印象深い役どころで出演している。撮影は『グレート・ビューティー/追憶のローマ』の名手ルカ・ビガッツィが務め、イタリアを代表するベストセラー作家ロレンツォ・マローネの「La tentazione di essere felci」(幸せであることの誘惑)を原作としている。

今回解禁されたビジュアルは、複雑な表情を浮かべるロレンツォが映し出された場面写真を中心に、「血の繋がりだけで、心は繋げない。」というキャッ
チコピーが添えられた、サスペンスフルな雰囲気を醸し出すものが完成。また、予告編では、娘エレナとわかりあえないでいるロレンツォが、隣人の家族と仲良くなり、共に過ごす穏やかな時間から一転、隣家にある事件が起き、ロレンツォと実の子供たちとの関係にも影響を及ぼしていく様子が映し出され
ており、アメリオ監督の力強い筆致が感じられる予告編となっている。

監督・原案・脚本:ジャンニ・アメリオ / 原作:ロレンツォ・マローネ 「La tentazione de essere felci」/ 原案:アルベルト・タラッリョ、キアラ・ヴァレリオ / 脚本:アルベルト・タラッリョ / 撮影:ルガ・ビガッツィ / 音楽:フランコ・ピエルサンティ
出演:レナート・カルペンティエーリ / ジョヴァンナ・メッゾジョルノ / エリオ・ジェルマーノ /グレタ・スカッキ / ミカエラ・ラマッツォッティ
原題:LA TENEREZZA (イタリア映画祭 2018 上映題「世情」) / 2017 年 / イタリア / イタリア語 / 108 分 / シネマスコープ / Dolby digital / 字幕翻訳:岡本太郎 提供:ザジフィル
ムズ、朝日新聞社 / 配給:ザジフィルムズ © 2016 Pepito Produzioni 公式サイト:www.zaziefilms.com/napoli/