ヴェネチア国際映画祭審査員グランプリ(銀獅子賞)を受賞した『運命は踊る』が、
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか絶賛上映中です。
監督は、デビュー作『レバノン』で第66回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた、イスラエルの鬼才サミュエル・マオズ。
長編2本目となる本作で、再びヴェネチア国際映画祭で審査員グランプリを受賞。デビュー作に続き、
2作連続で主要賞を受賞する快挙を成し遂げ、その後も、各国の映画祭で数々の賞を受賞しました。

人は、運命を避けようとしてとった道で、しばしば運命に出会う。 —— ラ・フォンテーヌ
ミハエルとダフナ夫妻のもとに、息子ヨナタンの戦死を軍の役人が知らせにやって来る。悲しみに打ちひしがれるふたり。
そんな中、その報が誤りだったと分かる。安堵するダフナ。しかし、ミハエルは怒りをぶちまけ、息子を呼び戻すよう役人に要求する。
前哨基地の検問所。ヨナタンは戦場であり ながらどこか間延びした時間を過ごしている。
ある日、若者たちが乗った車がやって来る。いつもの簡単な取り調べのはずが・・・。

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イスラエルといえばどんなイメージがあるでしょうか?ユダヤ人の国、ハイテク発明大国、砂漠に囲まれている、
不安定な政情…等のイメージを持つ方が多いかもしれません。ですが、中東とヨーロッパ文化の交差点として、
様々な歴史や宗教、土地柄を背景に 持っているからこそ、イスラエルのカルチャー[食、アート、コンテンポラリーダンス、映画、音楽]は、
独自の発展を遂げてきました。面積は四国ほどの小さな国ですが、斬新でオリジナリティ溢れる発想で世界を魅了するイスラエルのカルチャーを解説します!

異色の傑作映画が生みだされ続けている国

中東とヨーロッパの歴史と文化が絡み合う地であるイスラエル。複雑な中東情勢を背景に、国際社会の注目を集めるイスラエルだからこそ、
シリアスなテーマを扱いながらもユーモアを交えたエンタテイメント作品の傑作が数多く生み出され続けています。
代表作として、世界の映画祭で大きな話題を呼び、第81回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートもされた、
アニメーションが印象的な異色のドキュメンタリー『戦場でワルツを』を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、
公開中のイスラエル映画『運命は踊る』でもアニメーションが印象的に使われています。
ミハエルとダフナ夫妻のもとに「息子ヨナタンの戦死」の誤報が届いたことをきっかけに、運命に翻弄される家族を描いた本作。
公開された映像は、息子ヨナタンのスケッチブックをアニメーションにしたもの。父ミハエルが抱えている過去が垣間見える映像となっています。
ミハエルが抱えるある秘密とは―?続きはぜひスクリーンでご覧ください。

◎本編映像

アニメーションのイラストを手掛けたのは、イスラエル出身の双子のアーティスト。一卵性双生児で、Asafはテルアビブ、
Tomerはニューヨークに在住し、活躍しています。Tomerは「the New Yorker」などの有名雑誌の表紙を手掛けたり、
『AKIRA』(大友克洋監督)や『ファイト・クラブ』(デヴィッド・フィンチャー監督)、『サイコ』(アルフレッド・ヒッチコック監督)
などのポスターアートを自身のHPで発表するなど、国境を越えて世界で活躍しているアーティストです。
ぜひ、彼のHPをチェックしてみてください。

Tomer HP
http://thanuka.com/

コンテンポラリーダンスの聖地
コンテンポラリーダンスが盛んで、世界中から一流のダンサーや演出家、振付家が集まり、高度な技術や表現力を競い合う国イスラエル。
俳優の森山未來さんが文化庁の文化交流使として派遣されたことで、日本でも知名度を一気に高めました。
世界で最も重要な振付師の一人という呼び声の高いオハッド・ナハリンが率いるバットシェバ舞踊団や、森山未來さんが参加していた
インバル・ピント&アブシャロム・ポラックカンパニー、キブツ・コンテンポラリーダンスカンパニーなど、勢いのあるカンパニーが数多くあります。
そして、『運命は踊る』劇中でマンボを踊る兵士役のイタイ・エクスロードも実はイスラエルのダンサーなのです。原題となった「フォックストロット」は
社交ダンスのステップで、劇中に幾度も登場人物らが口にする言葉。ダンスに馴染みのあるイスラエルだからこそ、
ダンスのステップに着想を得た作品が生み出されたのかもしれません。
日本でもアーティストが続々とミュージックビデオにコンテンポラリーダンスを起用したりと、じわじわと流行中である今、
コンテンポラリーダンスの聖地であるイスラエルに注目してはいかがでしょうか。

© Pola Pandora – Spiro Films – A.S.A.P. Films – Knm – Arte France Cinéma – 2017
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか大ヒット上映中!