“花コリ”の愛称で親しまれ、名古屋での開催は 9 回目となる「花開くコリア・アニメーション 2018+アジア」。今年も韓国のインディーズ・アニメーション映画祭「インディ・アニフェスト」最新上映作から厳選した韓国短編 29 本を、テーマごとに分け「場+幻想」「記憶+時間」「心+体」の 3 プログラムで、また同映画祭のアジアコンペ部門上映作から 9 本の秀作短編をアジア短編プログラム「アジアへの扉」としてお届けします。韓国からのゲストは、脱北した若い女性 2 人の現在の思いを綴ったドキュメンタリー『花咲く手紙』のカン・ヒジン監督です。また、米アカデミー賞にノミネートされた話題作『Negative Space』のマックス・ポーター、桑畑かほる監督の短編 3 作品を特別上映し、桑畑監督をよく知る伊藤裕美さんによるトークを開催します。本年は愛知淑徳大学と協同し、字幕翻訳など学生参加プロジェクトもスタート。日韓の若き才能が集う空間“花コリ”にご期待下さい。

■概要
会期:2018 年 8 月 4 日(土)・8 月 5 日(日)
会場:愛知芸術文化センター 12 階 アートスペースEF(地下鉄・東山線または名城線「栄」
駅下車、徒歩 3 分/TEL 052-971-5511)
料金:1 プログラム 一般 1,000 円 高大生 500 円 中学生以下無料 ※ 当日券のみ
公式サイト:http://anikr.com/
問い合わせ:シネマコリア(西村)TEL 090-1863-7855
主催:韓国インディペンデント・アニメーション協会(KIAFA)、シネマコリア、愛知県美術館
後援:大韓民国文化体育観光部、駐日韓国大使館 韓国文化院、愛知淑徳大学 全学韓国・朝鮮語教育運営
委員会 / 交流文化学部、日本アニメーション学会、日本アニメーション協会、日本映像学会中部支部
協力:ANIMATION TAPES、新千歳空港国際アニメーション映画祭、韓国コンテンツ振興院(KOCCA)

《見どころ1 韓国・アジアのアニメーションで観る世界》
選りすぐりの韓国とアジアの短編インディーズ・アニメーションを 38 本上映。多彩な表現技法と巧みな脚本、ボーダーレスな制作スタイル、喜怒哀楽の感情、そして社会性を備えた多様な作品群からは現在の世界のありようが見えてきます。女性の問題を描いた『華麗なる外出』、子どもの世界をビビッドに描いた『シーソー』、南北分断の物語『The River』、セウォル号事件をモチーフにした『BIG FISH』、躍動感あふれる鼻炎アニメーション『(OO)』、就活整形を描いた『鼻』などからは“韓国社会の今”を垣間見ることができます。一方、アジア短編プログラムの『黒』は、ポーランド人監督がレジデンスで日本滞在中に制作した日本語作品。『Tough』では母親が中国語で、娘が英語で文化大革命について語ります。そして、NHK「100 分 de 名著」の映像を手がけるアートユニット「ケシュ#203」の初自主制作作品『FLOAT TALK』は、親友だった少女たちに起きた変化を切り絵のようなタッチで描きます

『花咲く手紙』(カン・ヒジン監督/2016 年/韓国)

《見どころ2 脱北者に取材したドキュメンタリーと監督トーク》

韓国からのゲストは、脱北した女性の日常と思いを綴った『花咲く手紙』のカン・ヒジン監督です。『花咲く手紙』は、北朝鮮で生まれ育ち、現在は韓国で暮らす若い女性 2 人が、北での思い出や南での生活について語ったドキュメンタリー・アニメーション。社会派ともいえる内容ですが、カン監督の柔らかいタッチの絵が、観客をアニメーションの世界に没入させ、2 人の体験を「わがこと」のように感じさせてくれます。上映&トーク「カン・ヒジンの世界」では、監督の過去作品『お婆の海』(済州島の海女にインタビューしたドキュメンタリー・アニメーション)、最新作『お守りの意味』(韓国の民間信仰を紹介したアニメーション)を上映し、監督ご自身にその作品世界について語っていただきます。

『お婆の海』(カン・ヒジン、ハン・アリョム監督/2012 年/韓国)

《見どころ3 学生参加プロジェクト始動》

本年より、愛知淑徳大学と協同した「学生参加プロジェクト」がスタート。ゲストのカン・ヒジン監督作品『お婆の海』『お守りの意味』の字幕翻訳、トークの司会や通訳補助などで、大学生の皆さんにご活躍いただきます。なお、愛知淑徳大学は 2016 年度、交流文化学部に言語分野専攻プログラム「コリアン・エクスパート」を開設。プロが使用する字幕制作ソフトを導入した講義を開講するなど、韓国・朝鮮語のエクスパート養成に力を入れています。ドラマによる第 1 次韓流ブーム、K-POP 中心の第 2 次韓流ブームに続き、現在、コスメやファッション、グルメも楽しむ第 3 次韓流ブームが起こっているといわれています。
これら全てをリアルタイムに体験した若い世代の“力”にご注目下さい。

『Negative Space』(マックス・ポーター、桑畑かほる監督/2017 年/日本、アメリカ、フランス) © Ikki Films / Manuel Cam Studio

《見どころ4 米アカデミー賞にノミネートされた桑畑かほる監督の作品と活動を紹介》

アジア短編プログラム「アジアへの扉」では、今年の米アカデミー賞にノミネートされた『Negative Space』を上映します。この作品は、アメリカ人と日本人の監督、そしてフランスのプロデューサーによって生み出されたアニメーション。上映&トーク「ボーダーを越える作家たち」では、『Negative Space』のマックス・ポーター、桑畑かほる監督がこれまで自主制作した短編『サムシングレフト・サムシングテイクン』『ビトイーン・タイムズ』『Perfect Houseguest』を特別上映し、ボーダーレスに活躍する両監督の活動を中心に、アニメーションのインディ系制作最前線を、配給事業のほか作家の支援活動もされている伊藤裕美さんに伺います