この度、知られざる沖縄返還の裏面史を伝える映画『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』が6月30日ポレポレ東中野、7月7日桜坂劇場ほか全国順次公開いたします。
今まで語られることのなかった実在の外交官千葉一夫を演じるのは井浦新。米軍の理不尽な圧政に泣き、沖縄の現状に泣いたという人間味溢れる千葉の奮闘を演じきった撮影現場で垣間見れるリラックスした井浦新の表情をおさえた2枚の写真が解禁!また、本作に寄せられた追加、柳川監督が以前、NHK連続テレビ小説でタッグを組んだ脚本家脚本家・中園ミホをはじめとしジャーナリスト・堀潤、三上智恵監督、そして大林信彦監督などそうそうたる著名人からもメッセージが届きました。

主演・井浦新が返還交渉の知られざる立役者を熱演!!
沖縄に人生をかけた男の生き様を知れば、本当の戦後史が見えてくる。
主人公の千葉を演じるのは、40代に入り益々活躍の場を広げる井浦新。撮影前に単身沖縄に渡り、基地の在り様や文物を見学し「千葉さんの“怒り”を腹の底に溜め込んだ」という井浦は、“鬼の交渉人”を見事に演じきり、新境地を見せている。戸田菜穂は、妻・惠子の知的で上品な美貌に隠された“情熱”を体現した。又、当時の外務官僚、沖縄主席を演じる尾美としのり、佐野史郎、大杉漣、石橋蓮司といった映画界の名優たちの演技合戦は本作に重厚感とリアリティーを与えている。音楽は「あまちゃん」などの大友良英、語りは沖縄戦を描いた岡本喜八監督の傑作『激動の昭和史 沖縄決戦』にも出演している、日本映画界の至宝である仲代達矢が担当。
2010年の外務省の“密約問題”調査により、72年の沖縄返還当時の外交資料がほぼ全て公開された。資料を読み解くと、対米交渉・対沖縄折衝の両面で1人の外交官が大きな役割を担ってきた事が初めて判った。本作は、黒衣の外交官である千葉の存在を非公開資料や遺族への丹念な取材から掘り起こした、宮川徹志の「僕は沖縄を取り戻したい 異色の外交官・千葉一夫」を原案にして、沖縄返還交渉の裏面史を骨太に描き昨年放送されたNHKドラマに、新たな映像を加え再編集した劇場版として上映が実現しました!
 

「虚(ウソ)・実(ホント)の狭間に真実(マコト)を焙(あぶ)り出す」のが戯映画の作法だが、「狂気」の歴史を見据えつつ、そこに明日(あした)の穏やかな日日を手繰り寄せようと願うなら、権力よりも弱者の極みたる個人の「正気」を信じ、称え、伝えゆくしかない。柳川監督の「哲理(フィロソフィ)」に寄り添い結束したチーム総員が、奇蹟を生んだ。「平和」なるこの世の大嘘が、心のマコトとして信じ得る。さあ皆、映画と一体化して、「人間」を誇り、「勇気」を持とう!
-―大林宣彦(映画作家)
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この男がいなかったら、沖縄はどうなっていたのか!?
一人の外交官のまっすぐな情熱が歴史を動かしていることを初めて知りました。
支える妻の凛とした美しさにも心を打たれました。これぞ昭和の夫婦愛!
――中園ミホ(脚本家)
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生前、大田昌秀元沖縄県知事は私の取材にこう語った。「日本本土の国益の名において、沖縄は絶えずモノ扱いされ、政治的取引に利用され続けてきました」。そしてこの映画は伝える。米国のみならず日本政府とも闘った外交官が本土にいたことを。
――堀 潤(ジャーナリスト)
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立派な外交官がいたのですね。
辺野古ゲート前で排除されてもされても坐りこみ続けている沖縄県民の方々。県民を守らず米軍を守って立ちはだかる機動隊員。こんなことがいつまで続くのと悲しい。
この国のトップは嘘つきで恥知らずが多く、毎日のニュースが辛い。そんな中で、権力や圧力に抗った外交官・千葉一夫さんを知りました。
「諦めたら負けだ」との彼の言葉に勇気づけられます。
それにしても、俳優・井浦 新さんの見事なこと!
映画にしてくれた西脇順一郎プロデューサーと柳川 強監督に拍手を贈りたいです。
――木内みどり(俳優)
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「理想を追い求めずに何が外交か」。異色の外交官千葉とその妻の「沖縄を取り戻す」という情熱と信念を貫いた人生を前に、「正義とは何か」と改めて自らに問いかける。誰もが、自国の歴史の中を生きているのだ。
――増田ユリヤ(ジャーナリスト)
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沖縄返還のために主人公・千葉一夫が奔走した50年前と今。核兵器持ち込み。アメリカのベトナムなどの交戦国への自由出撃。これらは今だにアメリカの「政治的配慮」に委ねられたままである。
アメリカの「地位協定」の世界標準では、自由出撃は、その概念すら存在しない。アメリカが何を持ち込むか、何をするかは、全て、受け入れ国の「許可制」である。なぜか? それが「主権」だからである。
――伊勢崎賢治(「主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿」著者/東京外国語大学 教授)
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「いつになったらアメリカと対等に物が言える国になるのかー」千葉一夫はそう呻きながら、得意の英語と鋼の信念で沖縄の返還交渉に体当たりで臨む。今、冷徹な態度で政府に突き放され続けている沖縄から見れば、彼のような外交官の存在を知るだけで胸が熱くなる。しかし戦後、優に千人を超える日本の外交官たちがみな千葉一夫のように「アメリカと対等」を揺るがぬ信念として国を牽引してくれていたら、千葉はヒーローとして描かれることはなかったのだ。千葉の発掘は、千葉のような外交官の不在がこの国に長らく続いていることを照射している。
――三上智恵(映画監督)
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千葉は沖縄返還交渉の詳細な記録を残していた。
これらの公文書からは、外務省が米国と厳しいやり取りを重ねていた様子がよくわかる。昨今の公文書改ざん問題もあり、千葉の歴史に対する責任感の強さに頭の下がる思いである
――中島琢磨(「沖縄返還と日米安保体制」著者/ 龍谷大学法学部教授)
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強大な力に対して、正義感をもって戦いを挑む者の苦しさ、切なさ、そして少しの達成感に共感を覚える。それは原発、原子力ムラに厳しい戦いを挑んでいる私のそれと同じだ。
――河合弘之(脱原発弁護団全国連絡会共同代表・映画監督)
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「沖縄返還に奔走する外交官・千葉を演じた井浦新が美しい。
 大きな力に押しつぶされながらも、信念と理想を貫き通す外交官・千葉の姿にシビれる。こういう男はもういない。
映画の中だけでも出会っておいた方がいいと思う」
――大石静(脚本家)
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井浦新 戸田菜穂 尾美としのり 中島歩 みのすけ チャールズ・グラバー 吉田妙子 平良進 津波信一 佐野史郎 大杉漣 石橋蓮司
脚本:西岡琢也 音楽:大友良英 語り:仲代達矢 原案:宮川徹志「僕は沖縄を取り戻したい 異色の外交官・千葉一夫」(岩波書店刊)
プロデューサー:西脇順一郎 監督:柳川強 資料提供:那覇出版社、那覇市歴史博物館、沖縄県公文書館  制作・著作:NHK  配給:太秦
【2018年/100分/DCP/16:9/日本】 ©NHK   公式サイトwww.henkan-movie.com