「連続ドラマW イアリー 見えない顔」原作者が語るキャストの魅力!
オダギリジョーを主演に迎えた新・都市型スリラー「連続ドラマW イアリー 見えない顔」をWOWOWが8月4日(土)よる10時より放送する。
描かれるのは、日常生活がじわじわと侵食されていく恐怖…。原作は映画化された「クリーピー」でも隣家に住み着いた脅威を描いた前川裕の同名小説。本作もオダギリジョー演じる大学教授・広川誠司の家の周囲で起きる不審な近隣トラブルが、やがて一見、何の関係もないはずの大学総長選挙の暗闘に絡みついていくという異色の展開だ。そして、広川の妻の妹で広川と深い関係に陥る大学の人気講師・水島麗役に仲里依紗、ホストクラブにはまり借金を負ってしまう看護師・六道菜々美役に黒島結菜、カリスマ性を帯びた弁護士・土田律子役に元宝塚のトップスター真琴つばさ、広川の冴えない同僚教授・仏上健治郎役にイッセー尾形、他にも映画『ミスミソウ』(内藤瑛亮監督)主演で注目の若手・山田杏奈、田中要次、猫背椿、筧利夫ら個性あふれるキャストがそろった。従来の「ジャパニーズホラー」でも「スプラッター」でもない、WOWOW発、アーバンスリラーの世界をぜひお楽しみに。
そしてこの度、ドラマの特設サイトが本サイトへとリニューアルし、原作を手掛ける前川裕からも本作のキャストに込める期待感や、現役大学教授ならではのリアルなコメントが到着!
前川は2011年に「クリーピー」が第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。2016年には「クリーピー 偽りの隣人」のタイトルで鬼才・黒沢清監督が映画化した衝撃のサスペンス・スリラーとして大きな話題をさらった。同年に「イアリー 見えない顔」を小説化。妻の葬儀があった夜に、見知らぬ女の訪問で幕を開ける本作は、主人公の大学教授の身の回りで起きる不審な出来事と、やがて巻き込まれる大学総長選挙を現役の大学教授でもある前川氏がリアリティと日常を侵食される恐怖を織り交ぜて描いている。文庫はドラマの放送に合わせて6月15日(金)に角川文庫より発売される。ドラマを視聴前にまずは原作の世界観に浸ってみてはいかがだろう。
<ストーリー>
「奥様、ご在宅でしょうか?」。妻を病で亡くした数日後の夜。私立大学文学部教授・広川誠司(オダギリジョー)の家を見知らぬ女性が訪れた。玄関のドアを開けるとそこには誰もいなかった…。そのころ、大学では総長が急死。学生も参加する新スタイルの総長選挙が行なわれることに。広川の同僚・石田(筧利夫)は多数派工作を主導、仏上(イッセー尾形)ら他の教授たちは互いに疑心暗鬼となり怪文書が飛び交うなど、学内には不穏な空気が漂い始める。広川は妻の実妹で同じ大学の講師・麗(仲里依紗)と妻の生前から深い関係に陥っており、その後ろめたさが、近隣や選挙に対する漠然とした不安をかき立てていく。やがて、近所で変死体が発見され…。ホストにはまる看護師・菜々美(黒島結菜)、敏腕弁護士・律子(真琴つばさ)、不審な住民・久子(猫背椿)。広川はいつしかあまりに危険な人間たちの欲望の闇に足を踏み入れていくのだった。
原作:前川裕(『イアリー 見えない顔』角川文庫刊)
監督:森淳一(「ミス・シャーロック/Miss Sherlock」『重力ピエロ』)
脚本:武井彩
音楽:大間々昂(『愚行録』)
出演:オダギリジョー 仲里依紗 黒島結菜 真琴つばさ 田中要次 山田杏奈 猫背椿 / 筧 利夫 イッセー尾形 ほか
プロデューサー:井上衛(WOWOW) 橘佑香里(WOWOW) 森井輝(ROBOT)
制作協力:ROBOT 製作著作:WOWOW
特設サイト:http://www.wowow.co.jp/dramaw/eerie/
「連続ドラマW イアリー 見えない顔」
8月4日(土) WOWOWプライムにて放送スタート
毎週土曜よる10時~(全6話) 第1話無料放送
WOWOW「連続ドラマW イアリー 見えない顔」
原作者コメント
原作・前川裕
1951年東京生まれ。一橋大学法学部卒。東京大学大学院人文科学研究科(比較文学比較文化専門課程)修士課程修了。スタンフォード大学客員教授などを経て、法政大学国際文化学部教授。専門は比較文学、アメリカ文学。『クリーピー』が第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビュー。同作は2016年に映画化され、大きな話題を呼んだ。主な著書に、『アトロシティー』『アパリション』『酷 ハーシュ』『死屍累々の夜』『イン・ザ・ダーク』『クリーピー スクリーチ』『深く、濃い闇の中に沈んでいる』『アンタッチャブル 不可触領域』などがある。
① キャストについて
私がオダギリさんに、撮影現場で初めてお会いしたときに感じたものは、なんとも言えない独特のオーラでした。それは、世間的に言えば、「かっこいい」という単純な表現になってしまうのでしょうが、私はそれ以上の「知的香り」のようなものを感じました。その雰囲気は今度の大学教授という役柄にとても合っているような気がしています。外見的な格好の良さだけでなく、繊細な内面性をも表現できる方ですから、今回の演技を見るのは本当に楽しみです。
仲さんが大学の教室で講義をする場面を見学させていただきましたが、その講義口調には自然な知性が滲み出ていて、いかにも本物の大学の先生が喋っているという感じが出ているんです。長年、大学教授をしてきた私がそう感じるのだから、これは本当にすごいことなんです。少しお話しする機会がありましたが、他の映像で見た強烈な個性とは異なり、物静かで、知的で、謙虚な方という印象でした。やはり、ああいう方が内に秘めている質の高い内面性が、演技という濾過(ろか)装置を通して、表に現われて来るのでしょう。
黒島さんは大変美しい方ですが、原作中の菜々美は必ずしも美しい人物には描かれていません。むしろ、内面的な不安を抱え、自分の容姿にも劣等感を抱いている女性として登場しています。しかし、私は映像化する場合は、演出上の工夫を凝らした上で、正統派の美人女優に演じてもらったほうが面白いのではないかと考えていました。私のそういう思いが森監督やプロデューサーのキャストの選択と一致していたことに驚いています。私はこういう点にも注目して、映像を見てみたいと思っています。
尾形さんとは年齢的にも近く、彼の役者としての活動には以前から関心を抱いておりました。尾形さんは「一人芝居」というジャンルを確立した第一人者ですが、「一人芝居」の本質は、「ユーモア」であると同時に「不気味さ」でもあります。
この「不気味さ」とはまさに本作の「イアリー」(eerie)という概念に近いものですので、それを尾形さんがどう表現するか、私はワクワクして、映像の中の彼の姿を見ることができる瞬間を待ち望んでおります。
② 本作を通してみる大学について
今、学生スポーツ界でとんでもない事件が起こっていて、それは私立大学のガバナンスの問題にまで発展してきていますよね。この作品でも、背景として私立大学の総長選挙が描かれており、総長選挙は大学の運営を巡る主導権争いの象徴的な姿とも言えますので、ある意味ではタイムリーな話題です。一般論で言えば、教員組織である教授会よりも、理事会が強い大学は、ワンマン経営になりがちで、総長や理事を選挙ではなく、別のシステムで選ぶところもあるようです。その意味では、総長選挙がまだ存在している大学は、民主主義的な運営実態があるわけで、仮に総長選挙がかなりえげつないものでも、それなりの自浄能力を持っている健全な大学とは言えると思います。もちろん、私が原作の中で描いた総長選挙には、虚実が織り交ぜられており、一つ一つのエピソードも誇張されたものではあります。エンタメ系の小説として描く以上、あまり地味なエピソードには読者は耳を傾けてはくれませんからね。(笑)ただ、学問の世界の人間と言っても、大学教授が人並み以上の世俗的な欲望、つまりは権力欲や金銭欲を持っているのは確かです。
それが普段の禁欲的な学究生活から弾(はじ)けて、妙に滑稽で、不気味でさえある姿となって、総長選挙や理事選挙に反映されることはあるようです。