『50年後のボクたちは』 <本編映像> 渚のアデリーヌなんて今さら…!? ダサカッコいい主人公×懐メロで最高にクールな青春
この度、ドイツの大ベストセラー小説を、『ソウル・キッチン』『消えた声が、その名を呼ぶ』の名匠ファティ・アキンが実写化した『50年後のボクたちは』がいよいよ今月16日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開となります。
あの夏の日を、大人になってもずっと忘れない――
かつて14歳だったすべての大人たちへ贈る、疾走感と切なさがつまったロードムービー
14歳のマイクはクラスのはみだし者。同級生からは変人(=サイコ)扱い、両親の仲もうまくいっていない。
そんなある日、チックというちょっと風変わりな転校生がやって来た。夏休み、2人は無断で借用したオンボロ車“ラーダ・ニーヴァ”に乗って南へと走り出す。旅の途中で訪れる、いくつもの出会いと別れ。
やがて無鉄砲で考えなしの旅は、マイクとチックにとって一生忘れることのできないものになっていく――。
原作は、ドイツ国内で220万部以上を売り上げる大ベストセラーとなった国民的小説「14歳、ぼくらの疾走」(ヴォルフガング・ヘルンドルフ著/小峰書店)。世界26カ国で翻訳され、ドイツ児童文学賞をはじめ数々の賞を総なめにした。メガホンを執ったのは、ベルリン国際映画祭金熊賞(『愛より強く』)、カンヌ国際映画祭脚本賞(『そして、私たちは愛に帰る』)、ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞(『ソウル・キッチン』)と、世界三大国際映画祭の全てで主要賞を受賞し、今年開催された第70回カンヌ国際映画祭でダイアン・クルーガーに主演女優賞をもたらし、第90回アカデミー賞Rドイツ代表に選出された最新作「In The Fade」でも注目を集める名匠ファティ・アキン。
★「渚のアデリーヌ」大熱唱!
本作は原作から音楽とは切っても切れない関係がある。
無断借用したオンボロ車の中から見つけた古ぼけたカセットテープ。「…(・・・・・)リシャール・クレイダーマン」。
カセットデッキにセットして流れ始めたピアノの緩やかな音色にチックは絶句!
その一方でマイクは「サイコーだな」と満足気。
2人の旅の始まりから幾度となく流れてくるのはリチャード・クレイダーマンの「渚のアデリーヌ」(原題:Ballade pour Adeline)。1976年にリチャード・クレイダーマンの演奏で発売されたこの曲は、世界各国で大ヒット、日本でも78年に「渚のアデリーヌ」という邦題が付き今までに何度も発売されている。
原作本でも同じように登場するこの曲を、現代っ子のマイクとチックは知る由もなく、でも旅の友に聞くものも他になく、何度も聞いているうちに最後は車内で大熱唱!
さらに、本作のメガホンを執ったファティ・アキン監督は、DJとしての顔を持ち、選曲のセンスも抜群!
「渚のアデリーヌ」だけ古ぼけて浮いてしまわないように劇中に忍ばせたのはトム・トム・クラブの「悪魔のラヴ・ソング」(原題:Genius of Love)!1991年に活動を休止したトーキング・ヘッズのメンバーの中でリズム隊を担当していたティナ・ウェイマス(B)とクリス・フランツ(Ds)夫妻が組んでいた派生バンドが81年に発表した曲。
当時ビルボードのホットダンスクラブプレイチャートの1位を獲得した。ポスト・ディスコの軽快なリズムと電子音が特徴のこの曲は、昔を思い出す一曲!
★僕のマイクはカート・コバーン風に!
劇中で使用される曲は古めかしいものだけじゃない。
主人公マイクが庭仕事をしながら聴く曲はザ・ホワイト・ストライプス。エッジの効いたロックにノリノリで身体をゆらす。
そしてビヨンセ。マイクは本当はビヨンセを聞きたい訳じゃないけれど、学校一番の美女で恋するタチアナが好きなので聞いている。
そんなマイクの外見について監督は「私は彼がオルタナ系ロックにはまっていると思いました。今90年代のリバイバルがファッションやヘアスタイルの分野であって、コムチュームとメーキャップのチームに『僕のマイクはグランジ・ロッカーのようにしてくれ。フランネル地の服を着て、カート・コバーン風のヘアカットに』と言いました」と語り、オタクではなくロッカーを追求したという。
そんなロッカー風の少年は、大好きなタチアナが来ているドラゴン柄の入ったタンクトップに合わせて、ドラゴン柄のスカジャンを着たり、粋な誕生日プレゼントしようと思いついたのは彼女の自画像。
果たしてそれがセンスがあるのかないのかは人ぞれぞれだとしても、映画の中では少々的外れな、他とは違う感覚を持った少年に映る。
★スペシャル映像!カセットテープを発見!
前出の「渚のアデリーヌ」のカセットテープを発見するシーンを本邦初公開!名前にピンと来なくても、聞いてみたらきっと「あ!この曲知ってる!」と思うはず。
このシーン以外にもどこで使用されているかは劇場でチェックしてほしい。
<視聴リンク>
現代の物語でありながら「渚のアデリーヌ」や「悪魔のラヴ・ソング」が登場しどこか懐かしさを感じさせる。
その一方でビヨンセやメーガン・トレイナーなど今の世代にも大人気の曲を散りばめている。
そして主人公たちは変わり者でちょっとダサいのに、観ているとなぜかカッコよく愛おしく見えてくる。
一見ミスマッチなように感じる昔懐かしさと現代を生きる登場人物たちが、本作を最高にクールな一本に仕立て上げた。