60代で世界に見いだされた奇跡のピアニスト、フジコ・ヘミング。
いくつになっても夢を追い求める、彼女の今、そして未来を解き明かす――。

コンサートを開けば即完売、チケットがとれないと言われるピアニスト フジコ・ヘミング。その情感あふれるダイナミックな演奏は多くの人の心をとらえ、“魂のピアニスト”と呼ばれており、現在、ヨーロッパをはじめ、北米、南米、ロシアなど世界中からリサイタルのオファーが絶えない。本作では、スウェーデン人の父との別離、母からの厳しいレッスン、ハーフへの差別、貧しい留学生活、聴力の喪失など苦難を乗り越え、どんな時も夢をあきらめなかった彼女の人間性と音楽を見つめる。数奇な人生を歩む彼女の“今”には、生きるヒントがたくさんつまっている。
パリ~NY~アルゼンチン~ベルリン~京都――。世界を巡るフジコに密着した初のドキュメンタリー映画となる本作。心震えるワールドツアーでの演奏、自宅で愛する猫たちに囲まれて暮らすプライベートに迫っていく。

フジコ・ヘミング プロフィール
日本人ピアニストの母と若きロシア系スウェーデン人デザイナーの父を両親としてベルリンに生まれる(年齢非公表)。父と別れ、東京で母の手ひとつで育ち、5歳から母の手ほどきでピアノを始める。東京芸術大学を経て、NHK毎日コンクール入賞、文化放送音楽賞など多数受賞。その後30歳でドイツへ留学。ベルリン音楽学校を優秀な成績で卒業。その後長年にわたりヨーロッパに在住し、演奏家としてのキャリアを積む中、レナード・バーンスタインほか世界的音楽家からの支持を獲た。しかし「一流の証」となるはずのリサイタル直前に風邪をこじらせ、聴力を失うというアクシデントに見舞われる。失意の中、ストックホルムに移住。耳の治療の傍ら、音楽学校の教師の資格を取得し、以後はピアノ教師をしながら、欧州各地でコンサート活動を続ける。1999年リサイタルとNHKのドキュメント番組が大反響を呼び、デビューCD「奇蹟のカンパネラ」をリリース。クラシック界異例の大ヒットを記録した。これまで2枚のCDで日本ゴールドディスク大賞、4度にわたる各賞のクラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞。モスクワ・フィル、ロイヤル・フィルなど世界各地の著名オーケストラと共演。現在、ヨーロッパをはじめ、北米、南米、ロシアなど世界中からリサイタルのオファーが絶えない。年間70本近くの公演活動で多忙を極める中、猫や犬をはじめ動物愛護への関心も深く、長年チャリティー活動も続けている。

小松莊一良(こまつそういちろう)監督 コメント&プロフィール

●小松莊一良監督 コメント●
「一音一音に込められた演奏者の想いに、僕たちは夢を見る。どんなジャンルの音楽も奏でるのは人間だ。だからこそ「音楽」は愚直に暖かい。
数奇な運命に翻弄された孤高のピアニスト・フジコ・ヘミング― 少女の様な純粋性と少年の様な痛快さで、彼女はアカデミックなクラシック界に新風を吹き込んだ。僕は彼女が持つチャーミングでファンタジックな魅力に惹かれている。
今や時代はデジタルに支配されてしまった。だが、こんな時代だからアナログな感受性を彼女から学びたい。僕たちの大切な心や感情を守るために。」

1964年ロサンゼルス生まれ、広島県呉市で育つ。大阪芸大映像学科在学中より自主映画製作で注目され、東映Vシネマ『ハートブレイカー 弾丸より愛を込めて』(1992年)で映画監督としてデビュー。おもに音楽やストリートダンスをモチーフにした作品を好み、ドラマの他にもドキュメンタリー、ミュージックビデオ、ライブDVD、ステージなど 幅広いフィールドで活動を続ける。
これまでに、吉川晃司、VAMPS、湘南乃風、東京スカパラダイスオーケストラ、藤あや子、手嶌葵、コンパイ・セグンド(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ)など、MVやドキュメンタリーで存在感の強いアーティストたちと向き合ってきた。WOWOWの大型LIVE番組「氣志團万博」では総合演出も務める。

映画『フジコ・ヘミングの時間』
出演:フジコ・ヘミング  監督:小松莊一良
配給:日活 ©2018「フジコ・ヘミングの時間」フィルムパートナーズ   fuzjko-movie.com

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