国際交流基金(ジャパンファウンデーション)アジアセンターでは、10月25日(火)に開幕する第29回東京国際映画祭(Tokyo Internatinal Film Festival:以下、TIFF)にて、アジア映画特集シリーズ「国際交流基金アジアセンターpresents CROSSCUT ASIA」の第3弾として、「カラフル!インドネシア」と題し、インドネシア映画を大特集します。

世界一のイスラム教人口を有する一方、1万を超える島々を領し、地域ごとに異なる文化をもつ「究極の多様性の国」、
インドネシア。東京国際映画祭では、同国の多様性を反映した個性的な作品を、1980年代から継続的に紹介してきましたが、今回はベテラン監督の最新作に加えて、今後の活躍が期待される新世代の個性光るラインナップにて11本10プログラムをお届けします。中でも注目するべきは、男娼の父親とイスラム教徒の娘の再会や、敬虔な信仰をもつ傍らAVに夢中になる孤独な青年の純愛など、挑発的なテーマに取り組む国際派監督、テディ・スリアアトマジャの「“親密”3部作」。また、LGBT映画の先駆者ニア・ディナタや『鏡は嘘をつかない』のカミラ・アンディニら躍進する女性監督たちによる本邦初公開作など、インドネシア新世代の描く様々な愛のかたちにご注目ください。会期中には各作品の監督や出演者なども来日し、Q&Aのほかシンポジウムも予定しています。

■特集タイトル: 国際交流基金アジアセンターpresents「CROSSCUT ASIA #03 カラフル!インドネシア」
 
■概要: アジアの国、監督、俳優、テーマなどに焦点を当て、アジア映画の特集上映を行う「CROSSCUT ASIA」(クロスカット・アジア)は、2014年、TIFFの一部門として新設立された部門。アジアの現在(いま)を鋭く切り取った珠玉の映画を紹介していきます。第3弾は、究極の多様性を内包する国ともいわれる「インドネシア」を大特集。本年度の上映作品の詳細につきましては、順次ウェブサイト等でお知らせします。

■ 第29回東京国際映画祭 開催概要
【開催期間】 2016年10月25日(火)〜11月3日(木・祝)
【会場】 六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区)ほか 都内の各劇場および施設・ホールを使用
【オフィシャルウェブサイト】 http://www.tiff-jp.net
【チケット発売】 10月15日(土)より発売開始

『アバウト・ア・ウーマン』(2014年/76分)
監督:テディ・スリアアトマジャ
キャスト:トゥティ・キラナ、レンディ・アハマド、アネク・ジョディ、リンゴ・アグス・ラフマン
未亡人の淑女に訪れた、突然の恋。 艶やかに世界は色づき始める—。
大邸宅に暮らす65歳の未亡人ダユのもとに、メイドの後任として少年アビが雇われる。やがて淡い想いが互いに芽生えはじめるが…。年齢差や立場を越えた新しい愛のかたちを示す、3部作の完結編。

『タクシードライバー日誌』(2013年/89分)
監督:テディ・スリアアトマジャ
キャスト:レザ・ラハディアン、ラトゥ・フェリシャ
都会の孤独な青年の「聖と俗」を描き、タブーに切り込む野心作
ジャカルタのタクシー運転手アハマドは敬虔なムスリムだが、家に帰ればアダルトビデオに浸る無為の日々。そんな彼が知り合いの娼婦を助けるために黒社会に突入していく。アジアフォーカス・福岡国際映画祭2013出品。

『ラブリー・マン』(2011年/75分)
監督:テディ・スリアアトマジャ  
キャスト:ドニー・ダマラ、ライハアヌン・スリアアトマジャ、ヤユ・アウ・ウンル
「一夜かぎりの父と娘」 衝撃と感動に圧倒されるインドネシア映画の表現を広げた傑作テディ監督(東京生まれ!)の3部作を一挙上映!——失踪した父を探してジャカルタに出た娘は女装して働く父を発見。一夜限りの再会の果てに和解は訪れるのか…。インドネシア映画の表現を広げた傑作。大阪アジアン映画祭2012出品。

『三人姉妹(2016年版)』(2016年/124分)
監督:ニア・ディナタ
キャスト:シャンティ・パレデス、タラ・バスロ、タティアナ・アクマン
美しい三姉妹のそれぞれの恋のゆくえー50’s名作ミュージカルが華麗に現代に甦る!
『分かち合う愛』(TIFF2006出品)などで知られる女性監督ニア・ディナタが、1956年の名作『三人姉妹』を現代に置きかえて描く華麗なミュージカル。個性の異なる美しい三姉妹の結婚話が快活に展開する。

『Cado Cado(ルビ:チャドチャド)〜研修医のトホホ日記』
(2016年/103分)
監督: イファ・イスファンシャー 
キャスト: アディパティ・ドルケン、ティカ・ブラファニ、アウレリー・ムーレマンス
若き研修医たちの奮闘と恋をコミカルに描いた青春映画!
『聖なる踊子』『黄金杖秘聞』で知られるイファ・イスファンシャーが人気小説をもとに撮り上げた、見習いドクターの目線で描く病院コメディ。東南アジアに進出する韓国の大手CJエンタテインメントが製作に参加。

『Emma’ マザー』(2016年/77分)
監督:リリ・リザ
キャスト:チュッ・ミニ、クリストファー・ネルワン、ヤヤン・C・ヌール、アルマン・デワル,
ティ、インダー・プルマタ・サリ
一夫多妻制の現実。「妻」として「母」として力強く生きた女性を描いた物語。
今年『再会の時〜ビューティフル・デイズ2〜』が本国でメガヒットを飛ばしているリリ・リザが早くも最新作を発表。元副大統領ユスフ・カッラの母親の自伝を原作とした、スラウェシ島を舞台にした強く生き抜く母と子の物語。

『珈琲哲學−恋と人生の味わい方−(仮題)』
(2015年/117分)
監督:アンガ・ドゥイマス・サソンコ
キャスト:チコ・ジェリコ、リオ・デワント、ジュリー・エステル
世界有数のコーヒー産地インドネシア発!
「一杯の珈琲」にすべてを賭けるバリスタのビタースイートな青春ドラマ
カフェ「フィロソフィ・コピ」を舞台に、オーナーとバリスタの青年コンビが一攫千金を狙って完璧なコーヒー作りに邁進するが…。期待の若手監督アンガ・ドゥイマス・サソンコが描くビタースイートな青春ドラマ。

『ディアナを見つめて』(2015年/39分) 
監督:カミラ・アンディニ 
キャスト:ライハアヌン、タンタ・ギンティン、パンジ・ラフェンダ・プトラ
夫からの突然の「第2夫人を娶る宣告」。インドネシア社会に問いかける結婚の形。
家事に追われるディアナは、ある日、夫から「第2夫人を娶ることにした」と告げられて困惑するが…。『鏡は嘘をつかない』(TIFF2011出品)が公開された女性監督カミラ・アンディニがインドネシア社会に問いかけるメッセージ。

『舟の上、だれかの妻、だれかの夫』 (2013年/55分)
監督:エドウィン
キャスト:マリアナ・レナタ 、ニコラス・サプトラ 
美しい島々を舞台に、100年前の悲恋のルーツを探る物語。
『動物園からのポストカード』(TIFF2012出品)のエドウィン監督による全州国際映画祭製作の中編。インドネシア東部のマルク諸島を舞台に、100年前の悲恋伝説をなぞるかのように男と女が出会う、トロピカルなおとぎ話。

『フィクション。』(2008年/110分)
監督:モーリー・スリヤ
キャスト:ラディア・シェリル、ドニー・アラムシャ、キナヨシ
夢見る少女か、サイコパスか。現実が虚構の闇に引きずり込まれる異色ファンタジー。
『愛を語るときに、語らないこと』(TIFF2013出品)で注目された新鋭女性監督モーリー・スリヤのデビュー作。複雑な家庭に暮らす少女の孤独な内面に寄り添うファンタジー。エドウィン作品のミューズ、ラディア・シェリル主演。

『戒厳令のあとで[デジタル・リストア版]』(1954年/101分)
監督:ウスマル・イスマイル
キャスト:アン・アルカフ、ネッティー・ヘラワティ、バンバン・ヘルマント、ダリア、
リド・イスマイル、アワルディン
巨匠の不朽の名作をデジタル修復版で上映!この貴重な機会を見逃さずに!
“インドネシア映画の父”と称される巨匠ウスマル・イスマイルの代表作をデジタル修復で上映。対オランダ独立戦争とその後の激動の時代を描く、熱気に満ちた男たちのドラマ。ウスマルの従軍体験が作品をリアルにしている。

執筆者

Yasuhiro Togawa