本年10月に公開となるオランダの自然保護区を追ったドキュメンタリー『あたらしい野生の地—リワイルディング』に各著名人より応援のコメントが到着いたしました。
日本版予告とビジュアルが完成し、公開にむけて益々盛り上がってきています。

【コメント】
生命のすごさがていね いな映像で満ち溢れているのだろう、そんな予想をはるかに超える内容だ。 野生は生々しい、汚い、怖い、稚拙だ。私たちはそんなイメージを植えつけられているが、ここに映るものは全てあまりにも美しく、神々しく、繊細で、優しい ものだった。 なにもなかった場所にこれだけの宇宙が誕生するのであれば、この世の命あるどんなものも自らを再生する力を持っているのだと確信できた。 きっと人間だけがおかしくなってしまっているのだろう。 

吉本ばなな(作家)

生きることと 死ぬこと、食べることと 食べられることが分けがたくひとつである世界を信じられないほど美しい映像で伝えてくれる映画。個の生きのこりより 集団の存続の方がはるかに重要である世界にあって しかし 個々の動物は生きのびようと必死に力をつくす——そのことが見ていていちばん うれしかった。
柴田元幸(翻訳家、アメリカ文学者、東京大学名誉教授)

生きることは本当に大変だけれど、結局、誰かの命は誰かの命で、誰かの命は誰かの命で、、、、、、 つまるところ、自然は大きな力で巡っているのだな、とつくづく感じました。
鶴田真由(女優)

 もしかしたら、これは奇跡なのかもしれない。人間が放ったらかしにした干拓地、しかもオランダの首都アムステルダムから五十キロのところに、わずか四十五年で、野生の王国が出現したのだもの。 
 奇跡というのは、めったに起きないことが「起こる」こと。つまり、まぎれもない現実ってことだ。捨てられた土地で新しい生命の可能性が示された。それは人間の想像を超えた想定外のことだった。考えてみよう「捨てる」ことの積極的な意味を。認識を変えたとたん、それは新しい思想になる。
 「リワイルディング・再野生化」はこれからの思想、何が始まるのかは未知数だ。地雷に埋め尽くされて踏み込むことのできないカンボジアのジャングルが、蝶の楽園となるかもしれない。二十世紀の愚行で人間が捨てた土地、見放した土地、それらの土地に再び野生が戻るのだとしたら、それは、母なる大地ガイアの慈しみと許しに思える。
 起きた現実をありのままに見てください。この奇跡の土地で生きている動物たち、特に人間によって実験的に放たれた馬・コニックたちが自力で大地に適応し、闊歩する姿の美しさを。彼らの不屈の忍耐と強さによって、いかに生と死を越えた生態系が結び合わされているかを。
疑り深い人たちのために、この映画はただ「真実」のみを撮っている。
 リワイルディングを実感したら、心はもうわくわくしてくる。
 できる限り「なにもしない」。私たちにはまだ、その道が残っていたんだ。

田口ランディ(作家)


『あたらしい野生の地—リワイルディング』

【日本版予告篇youtube】
https://www.youtube.com/watch?v=T4SXJybYE70

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執筆者

Yasuhiro Togawa