放送作家、脚本家としてテレビを知り尽くした君塚良一監督(『踊る大捜査線』シリーズ、『誰も守ってくれない』)が最新作の映画の題材に選んだのは、朝の情報番組である「ワイドショー」。報道、スポーツ、芸能、さらにファッションのトレンドやグルメ情報から人気動画まで、視聴者が興味を持つものなら何でもネタにするワイドショー。そのワイドショーの顔であるキャスター澄田真吾が本作の主人公。澄田は生放送中にアシスタントの美人アナウンサーから二人の交際関係をバラすと脅され、プロデューサーから番組打ち切りの危機を告げられ、更に突然起こった立てこもり事件に巻き込まれて犯人との直接交渉をする羽目になってしまう・・・。本作は、そんなキャスター澄田の災難だらけの一日の模様を描く超一級のコメディ・エンターテインメント映画!!その最悪なキャスターを演じるのはシリアスな役からコミカルな役まで演じ分ける実力派俳優・中井貴一。思い込みが激しい勘違いキャスターに長澤まさみ。新人アナウンサー役を志田未来が演じます。

その本作がこの度、「第40回モントリオール世界映画祭」(8月25日〜9月5日)の“ワールド・コンペティション”部門に出品され、公式上映が行われました。モントリオール世界映画祭は1977年に設立されたカナダ最古の国際映画祭の1つであり、国際映画製作者連盟(FIAPF)によって認められたコンペティション映画祭。毎年80を超える国と地域から集められた映画を上映し、三大映画祭(カンヌ・ベルリン・ベネチア)に次ぐ、北米最大の映画祭です。

9月4日(現地時間)に、ワールド・コンペティション部門23作品の最後を飾る作品として、『グッドモーニングショー』の公式上映が、映画祭のメイン会場であるシネマ・インペリアル(819席)にて行われました。上映に先駆けて、初めてモントリオールを訪れたキャスト3人と、『誰も守ってくれない』『遺体 明日への十日間』とモントリオール映画祭の常連とも言える君塚監督とで、市内を周りました。カナダの民放最大手・CTV(カナダテレビ)や、旧市街最大の観光スポットであるノートルダム大聖堂、モントリオール市街地全貌を見下ろすことが出来る見晴らし抜群のモン・ロワイヤル公園と、『グッドモーニングショー』のマイクを片手にモントリオールの名所にてお出かけレポート?を実施。モントリオール各所をレポートし終えた中井貴一は、この時期の過ごしやすい天候や、市街地から少し離れると緑に溢れているモントリオールを、住みやすい街だと感想を語りました。

そして、いよいよ公式上映。17時30分の上映開始前には会場の外に200人を越える観客が列を作り、そこにモントリオール名物である“馬車”に乗って、中井貴一、長澤まさみ、志田未来、君塚良一監督が登場!!40回を数えるモントリオール世界映画祭史上、初となる馬車での登場に、会場前の観客のボルテージは最高潮に。普段はモントリオール旧市街しか走らない馬車が、本作の為に特別に旧市街を飛び出して、映画祭会場に駆けつけました。そして、公式上映には、映画ファンを中心に700人を越える幅広い年代の老若男女が客席を埋めて大盛況となりました。

上映前の舞台挨拶では、中井貴一が
「Bonsoir tout le monde. Je m’appelle Kiichi Nakai.(みなさん、こんばんは、中井貴一です)
C’est la premiere fois que je participe a votre festival.(モントリオール映画祭に参加するのは初めてです。)
Je suis tres content d’etre ici avec vous dans cette salle. (今、この会場で、みなさんとご一緒出来る事をとても嬉しく思います。)
Notre film Good Morning Show est une comedie a 100 % japonaise. (私たちの映画『グッドモーニング
ショー』は100%日本製のコメディです。)
J’espere qu’il va vous detendre et vous amuser enormement(リラックスしてたっぷり楽しんで頂ければ
と願っています。)」
と流暢なフランス語で挨拶をすると、場内からはどよめきと大拍手が沸き起こりました。初の海外映画祭参加とは思えない堂々の挨拶ぶりは流石でした。
 続けて長澤まさみも
「Bonjour, je m’appelle Masami Nagasawa, enchantée.(こんにちは、初めまして長澤まさみです。)
Je joue dans ce film une fille folle dingue.(今回私が演じた役はとんでもない勘違い女です。)
J’espère que vous allez passez un bon moment(楽しんで見て下さい。)」
とフランス語で挨拶し場内を沸かせました。
最後の挨拶となった志田未来は、緊張しながらも
「Bonsoir. Je suis Milai Shida.(こんばんは。志田未来です。)
J’espere que le “matin typique japonais” different de celui du Canada, va vous plaire!
(カナダの女子アナウンサーとは違った「日本の朝」を楽しんで下さい。)」
と明るく挨拶を行い温かい拍手に包まれました。
続けて上映では、中井貴一演じる澄田に起こる災難に、声を上げての笑いが連続して場内に響きわたったり、追い込まれる澄田の姿に「Oh、My GOD!!」と感情移入する観客もいて、すっかり映画に入り込んでいる様子でした。エンドロールが始まると自然と場内から拍手が沸き起こり、『グッドモーニングショー』が確かに海外でも受け入れられたのを実感した監督、キャストが笑みを浮かべて立ち上がると、更に大きな拍手で包まれました。
日本映画として、「おくりびと」(2008年)以来のワールド・コンペティション部門“最優秀作品賞”が期待できる上映となりました。
尚、第40回モントリオール世界映画祭の授賞式は、現地時間9月5日の20時から開始予定となっています。

モントリオール世界映画祭の公式上映を終えてのコメント
★中井貴一
(映画を鑑賞して)緊張していたのですが、思った以上に現地の方が笑って下さったので日本の方よりも素直に笑ってくれたイメージがあります。日本でも面白いと思ってもらえたら嬉しいです。
(フランス語による舞台挨拶については)第二外国語がフランス語だったんです。フランス語は棒読みだと伝わらないので、伝わっているか不安でした。他の国の言葉を使うのも楽しいですね。とても良い経験をしました。
映画祭っていいですね。出演者として日々、現場で苦労していますが、映画祭に来るとその苦労が報われた気がします。そういう意味ではとても幸せな時間だなぁと思います。モントリオール含め世界の映画祭がますます繁栄してくれると嬉しいし、私たちも日本で映画祭を盛り上げていかなきゃいけないなと思います。

★長澤まさみ
たくさん笑ってもらえたのでとても嬉しかったです。舞台挨拶については、直前まで全く緊張してなかったんですが、中井さんが完璧に挨拶されていたので、すごく緊張してしまいました。面白いことを言おうと狙っていたのですが、案外ウケなくて。通じなかった事にしておこうと思います(笑)

★志田未来
観客の皆さんがみんな笑ってくれてすごく楽しんで観られました。何度も一緒に笑ってしまいました。舞台挨拶は、始まる前はものすごく緊張していました。“Bonsoir”(こんばんは)を笑顔で言えば大丈夫だと言われていたので、そこを意識して緊張しながらも笑顔だけは忘れないで頑張りました。

★君塚良一監督
観客の皆さんがよく笑って頂き、よく理解して頂いていたので、狙ったところで笑って下さった。非常に嬉しかったです。海外の方々は作品を率直にとらえて下さっていると感じました。(舞台挨拶を行った)この3人は撮影現場では台詞を全然間違えないんですけど、今回はえらい緊張していて、ギリギリまで楽屋で練習をしていましたね(笑)

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執筆者

Yasuhiro Togawa