本作は、6才の少年が成長する12年間を、実際に12年間の歳月をかけて撮影した『6才のボクが、大人になるまで。』で2014年の映画賞を総なめにしたリチャード・リンクレイター監督の最新作。
リンクレイター監督が「あの12年間の続きになるような、大人の扉を開けるひと時を描いている。」と語る、『6才のボクが、大人になるまで。』の続編といえる作品です。

本作で描かれるのは、『6才〜』の12年間とはがらりと変わって、大学入学直前の3日間。誰しも感じる新生活が始まる直前のワクワク感、何にも縛られない大人の自由を満喫しつつも、大人としての責任を同時に気付き始める微妙な心情を眩しいくらいに清々しく描く本作は、『ビフォア〜』シリーズを始めとする、これまでのリンクレイター作品同様、永遠には続かないが、決して色あせることのない青春の断片を見事に切り取った、リンクレイターの集大成と言える作品であるとともに、『アメリカン・グラフィティ』、『スタンド・バイ・ミー』、『ブレックファスト・クラブ』などに連なる”青春グラフィティー・ムービー”の傑作!

本作のもう一つの主役といえるのが、豪華な音楽のラインナップ。舞台となる80年にヒットしたロック、パンク、ディスコ、ニューウェーブ、ヒップホップの名曲がこれでもかとばかりふんだんに散りばめられています。物語のはじまりで使われるのは、ザ・ナックのメガヒット曲「マイ・シャローナ」。野球推薦で大学に入学することになった本作の主人公・ジェイクは、カーステレオでこの曲を聞きながら、新生活が始まる野球部の寮に向かいます。予告編ではジェイクが野球部の個性豊かで騒々しいチームメイトたちと、野球はもちろん、女の子、お気に入りの曲、パーティ、お下劣なジョーク等・・・あらゆることに全力で打ち込み、新たな出会いと恋を経験し少しづつ大人になる様が描かれます。
「死ぬ時に公開するのはやった事じゃない。やり残した事さ。」「今を楽しめ。永くは続かないんだ。」という印象的なセリフ、そしてヒロイン・ビバリー(ゾーイ・ドゥイッチ)との恋・・・。

そして予告編の音楽が本作のタイトルにもなったヴァン・ヘイレンの「エブリバディ・ウォンツ・サム!!」に変わると、青春グラフィティ度数はMAXに!「恋も友情も、すべての青春がここにある!」「あれかこれかより、あれもこれもの人生を選びたい!!」というフレーズとともに、”青春グラフィティ・ムービー”の傑作を期待させる映像になっております。

予告編::https://www.youtube.com/watch?v=lZ3spTFIiow&feature=youtu.be

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執筆者

Yasuhiro Togawa