このたび、黒沢清監督が初めてオール外国人キャスト、全編フランス語で撮りあげた最新作『ダゲレオタイプの女』が10月15日(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開となります。
本作は、日本のみならず、世界中に熱狂的な支持者“キヨシスト”を持つ黒沢清監督、期待の最新作にして、初海外進出作品!

世界最古の写真撮影方法ダゲレオタイプを軸に、芸術と愛情を混同した写真家の父と、“永遠”を求める父の犠牲になる娘、そして“撮影”を目撃しながらも娘に心を奪われる助手を主人公に置いた、美しくも儚い愛と悲劇の物語をオリジナル脚本で描き出しました。

また、今年は『クリーピー 偽りの隣人』が公開され、早くも黒沢清ファンの間では、「2016年は2本も黒沢清監督作品が観られる贅沢な年!」
「今年のベストは、邦画・洋画ともに、黒沢清監督作品になりそう!」などの声がSNS上で続々と上がっています。
また、現在行っているマスコミ試写会も連日ほぼ満席。映画評論家や映画ライター達も「まさに黒沢清監督の真骨頂」「フランスを舞台に、ここまで黒沢ワールドが展開できるなんて圧巻!」など期待を裏切らない内容に満足したとの声が上がっています。
また、昨年のカンヌで上映されて好評を博したドキュメンタリー映画「ヒッチコック/トリュフォー(原題)」が今年公開予定。
ヒッチコックを語る監督の一人として、マーティン・スコセッシやデヴィッド・フィンチャーらと共に黒沢清監督も出演しています。

そんな、世界が注目し、着々と“キヨシスト”を増やしてきた黒沢清監督の魅力とは!?そして、待望の最新作『ダゲレオタイプの女』について迫ります!

米・アカデミー会員にも選出!世界中に熱狂的な“キヨシスト”を持つ
カリスマ黒沢清監督。満を持しての初海外進出映画!

黒沢清監督は、『スウィートホーム』(88)で初めて一般商業映画を手掛けると、続く『CURE キュア』(97)をフランスの著名な映画批評家ジャン=ミシェル・フロドンがルモンド紙で大絶賛。北野武に続く日本の才能!と、一気に世界的な注目を集め、『回路』(00)では第54回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。
以降、第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された『アカルイミライ』(02)、第64回ヴェネチア国際映画祭に正式招待された『叫』、第61回カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞受賞の『トウキョウソナタ』(08)と、各国の映画祭で上映され、どのジャンルにも当てはまらないホラータッチの独自の世界観が絶賛されて、カルト的人気を博してきた。

また、浅野忠信、深津絵里を主演に迎え、「生」も「死」も超えた夫婦の関係を描いた『岸辺の旅』(14)は、第68回カンヌ国際映画祭ある視点部門監督賞をはじめ各国の映画祭で受賞を重ねたのも記憶に新しい。
続く、現在公開中の『クリーピー 偽りの隣人』(16)も第66回ベルリン国際映画祭に正式出品されるなど、作品が発表されるたび常に注目を集め、海外にも熱狂的なファンを増やしてきた。

そして、今年6月には、米アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーが、会員に黒沢清監督を選出!
北野武監督、是枝裕和監督など選出された13人のうち、監督部門としては黒沢清監督と、河?直美監督の2人だけ、と世界的にも日本を代表する映画監督として認知されている。(※黒沢監督は、現在申し入れを受諾し、会員になった)
先日、『ダゲレオタイプの女』が9月8日から開催の第41回トロント国際映画祭に正式出品、ワールドプレミア上映されることが決定!
同映画祭は、過去「Spotlight: Kiyoshi Kurosawa」(99)として、黒沢清監督の7作品を上映しており、海外における黒沢清人気の火付け役でもある。満を持しての初海外進出作品となる『ダゲレオタイプの女』について、同映画祭のアーティスティック・ディレクターも期待のコメントを寄せた。

なんて愛おしい映画なんだ!美しく、考え抜かれている。
ジャンル映画であり、映画の歴史への讃歌であり、そしてまぎれもない黒沢清作品だ。
—— キャメロン・ベイリー (トロント国際映画祭アーティスティック・ディレクター)

スタッフ、キャストは黒沢清作品を観て育った“キヨシスト”!
黒沢清監督のフランス映画に関わりたいと集結した、熱気溢れる現場

本作で、主役のジャンを演じるのは、ジャック・オディアール監督『預言者』など数々の名匠の作品への出演が続くタハール・ラヒム。
ジャンが想いを寄せるマリー役に『女っ気なし』の新星コンスタンス・ルソー、マリーの父であり、ダゲレオタイプの写真家をダルデンヌ兄弟作品で知られるオリヴィエ・グルメ。そして、デプレシャン作品常連のマチュー・アマルリックと、ヨーロッパを代表する名優の面々が名を連ねる。

そんなキャストも、実は黒沢監督作品に影響を受けた“キヨシスト”たち。主人公を演じたタハール・ラヒムは、大学の授業で黒沢清監督の作品を観て以来のファンで、その後映画祭で黒沢監督に出会うと、熱い想いを本人に打ち明け出演を懇願。
本作への出演が実現した。また、ヒロインを演じたフランスの新星コンスタンス・ルソーは、もともと映画の中でもホラーが好きで、黒沢作品に出演できるのが夢のよう!と明かしている。名優マチュー・アマルリックも今回、現地スタッフも監督作を観て育った世代が多く、何人もの車のシーンで「黒沢清のスクリーンプロセス(撮影方法)が見たい!」との声が上がり、野外撮影可能なシーンをスタジオ撮影に切り替えて撮影するなど、監督も粋な計らいをみせる、熱気溢れる撮影現場だった。

国境を越えて、黒沢清監督作品を愛するキャストとスタッフが作り上げた、初の海外進出作品『ダゲレオタイプの女』。
是非、この秋、黒沢監督の真骨頂をスクリーンで堪能してみてはいかがだろうか。

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執筆者

Yasuhiro Togawa