『岸辺の旅』で2015年カンヌ国際映画祭ある視点部門監督賞を受賞、先日行われたベルリン国際映画祭では『クリーピー 偽りの隣人』が正式出品され、好評を博すなど、世界中に熱狂的な支持者を持つ黒沢清監督が、初めてオール外国人キャス ト、全編フランス語で撮りあげた最新作『ダゲレオタイプの女』が10月15日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開となります。

本作で黒沢監督が描き出すのは、世界最古の写真撮影方法である「ダゲレオタイプ」が引き寄せる愛と死。
クラシカルで端正な、これまでにないホラー・ラブロマンスです。
本作の公開を記念して、アンスティチュ・フランセ東京にて<フランス幻想怪奇映画特集>が開催される運びとなりました。

オールフランスロケ、外国人キャスト、全編フランス語のオリジナルストーリーで挑んだ、黒沢清監督の初めての海外進出作品となる『ダゲレオタイプの女』。
芸術と愛情を混同したアーティストである写真家のエゴイスティックさ、父を慕いながらも拘束され続ける撮影と家を離れ自らの人生をつかみたいマリーの思い、撮影に魅了されながらもただマリーとともに生きたいジャンの願い、そして自ら命を絶っていたステファンの妻の幻影…。
ホラーでいてヒューマンドラマ、 ジャンルも、生死も、国境も超えた、まぎれもない黒沢印の新たな傑作が誕生しました。

フランスでの黒沢監督人気は、『CURE キュア』以降の作品がすべて劇場公開されるほどのもの。
今回の撮影も、スタッフらが黒沢組に参加することを自ら希望したフランスの “キヨシスト”が集結しました。
フランスでの本作の公開直前には、劇中に使用した衣装などを展示する「シネマテーク フランセーズ」なども行われる予定。
日本では、<フランス幻想怪奇映画特集>〜『ダゲレオタイプの女』公開記念〜が開催決定!

フランスには怪奇映画というジャンルは存在しているでしょうか?存在しているとしたら、それはいつから始まり、どのように開拓されてきたのでしょう。
メリエスからジョルジュ・フランジュ、コクトー、シャブロル…。恐怖や幻想的なテーマをもつ作品を特集します。
『ダゲレオタイプの女』ができるきっかけとなったかもしれない、黒沢監督自らセレクトしたフランス怪奇映画もスクリーンで堪能することができます。会期中、黒沢監督によるトークイベントも開催予定。この機会、お見逃しなく。

【開催概要】 開催名:フランス幻想怪奇映画特集 〜『ダゲレオタイプの女』公開記念〜

日程: 9 月 24(土)〜10 月 28 日(金):アンスティチュ・フランセ東京  10 月 15 日(土): 東京藝術大学馬車道校舎

上映予定作品: ・チューブ博士の狂気(アベル・ガンス、1915年)
・アッシャー家の末裔(ジャン・エプシュテイン、)
・美女と野獣(ジャン・コクトー、1946年)
・顔のない眼(ジョルジュ・フランジュ、1948年)
・パリ廃兵院(ジョルジュ・フランジュ、1951年)
・偉大なるメリエス(ジョルジュ・フランジュ、1952年)
・悪魔のような女(アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、1955年)
・悪魔の呪い/悪魔の眼(ジャック・ターナー、1957年)
・世にも怪奇な物語(ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェリコ・フェリーニ、1968年)
・嵐が丘(ジャック・リヴェット、1985年)
・ガーゴイル(クレール・ドゥニ、2002年)
・まぼろし(フランソワ・オゾン、2002年) 他

※会期中に、黒沢監督の登壇イベントを予定。
※このほか、アンスティチュ・フランセ東京では、映画批評家、廣瀬純による「フランス幻想怪奇映画」について の映画の授業も10月より開講します。
詳細はこちら http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cinema1609241028/

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執筆者

Yasuhiro Togawa