各国の映画祭で話題をあつめた驚きと感動。
“五体投地”で聖地へ歩く、世界初のチベット巡礼ロード・ムービーラサへの歩き方〜祈りの2400km

キリスト教はサンティアゴ・デ・コンポステーラ、イスラム教はメッカ。
日本で言えば四国のお遍路さん。巡礼はいつの時代にも人の心を捉えるけれど、チベット仏教の巡礼は聖地ラサへの旅。チベットには、この聖地巡礼をいまだに“五体投地”という最も丁寧な礼拝方法で進んでいく人たちがいる。
 映画『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』は、チベットの小さな村から聖地ラサ、そしてカイラス山へ。はるか2400kmを、両手・両膝・額(五体)を地面に投げ伏して祈る“五体投地”でほぼ1年かけて歩く11人の村人の巡礼旅を描く世界初のチベット巡礼ロード・ムービー。
 ドキュメンタリーのようだが、本作はフィクション。死ぬ前にラサへ行きたいという年老いた叔父の願いを叶えるために村人たちが巡礼に出るというストーリーがあるが、出演者はすべて実際の村人で、彼らが自分自身を演じ、実際に“五体投地”の巡礼を行い、ドキュメンタリー的な手法がとられている。
 監督は、『こころの湯』『胡同のひまわり』のチャン・ヤン。長年のチベットへの憧れをついに映画化し、トロントやロッテルダム、ニューヨークなど世界各国の映画祭で絶賛され、中国での公開も決定した。

では、“五体投地”とはどんなものか。言葉で説明するよりも、まずは映像で見て欲しい。北海道—鹿児島間の直線距離が約1900kmなので、それより長い距離をこの動きでいくとは信じられないかもしれない。歩くだけでも大変なのに、運動不足の人なら5分でも辛そうな動きなのに、これで2400kmを約1年もかけていくなんて、どれほどの信仰心があればできるのだろう。
この度vineに公開した映像は、映画の中で“五体投地”をするチベットの村人たちの姿を切り取ったもの。雪の日でも、トラックが走る道やごつごつの岩山も、巨大な水たまりがあっても、幼い少女や赤ちゃんを背負った女性さえも“五体投地”する。
なんて過酷なと思うかもしれないが、彼らにとって巡礼は喜びなのだという。
なぜチベットの人たちはこんなに大変な巡礼をするのか。その答えは映画の中にある。

ムヴィオラvine URL⇒ https://vine.co/u/1367742562361913344

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執筆者

Yasuhiro Togawa