金子雅和監督作品「アルビノの木」が7月16日(土)よりテアトル新宿にてレイトショー公開。美術家の会田誠や画家の山口晃、作家で民俗学者の畑中章宏ら、各界の第一人者のコメントが続々到着中。公式HP(http://www.albinonoki.com)にて。

⬛会田誠氏(美術家)
金子監督の誠実な…もっと言ってしまえば愚直な人柄がひしひしと感じられました。
僕は何度か「放射能」を連想しながら観ていましたが、それは観客の自由ですよね?

⬛畑中章宏氏(作家・民俗学者)
日本列島に住む人びとは、「社会」を構成するものが人間だけだなんて、ずっと思ってはいなかった。
動物や樹木や草花、雨風といった気象などが相互に交流し合い、人間も含めた社会が成り立っていると考えるのがふつうだった。
そんな暗黙のルールを破り、人間だけがそこからはずれたつもりでいても、勝手にはできない。
動物や植物や気象にも、彼らの歴史があり、事情があるのだ。
こういった、いまもっとも大変で意識されるべき「構造」が、この映画には描かれていると思う。

⬛山口晃氏(画家)
あれは何だったのか、うまく言えないのですが、スクリーンの中で話が進んでゆくうち、突如映画でも物語でもない何者かがこちら側に現れる瞬間が幾度かあったのです。
無理に言葉にしてみれば、拙なさを怖れず既存の文法を放り出す様な時が、その瞬間であったのかと思われます。
それは、丁寧に映像を彫琢するうち、期せずして何か新しい型に達してしまったという風で、これ見よがしの感がなく、この映画独特の語り口になっていました。

⬛片岡礼子さん (俳優『函館珈琲』『続・深夜食堂』ほか)
人間も動物も その行為には理由(わけ)がある。
害獣って言葉を考えながら観て 人害について考える自分がいた。
人間を嫌いになりたい訳じゃない 真摯に生きるってなんだろう。

⬛乙一氏(作家)
これは暗殺者の物語だ。銃を隠し、相手の土地に潜り込む。このシチュエーションを日本で成立させたことに驚かされる。エンターテインメント性を保ちながら、映画は具象と抽象の間をゆれうごく。やがて観客は、神話的な世界と通過儀礼を観るだろう。

⬛瀬々敬久氏(映画監督『64-ロクヨン-』ほか)
自然と人間の鮮烈なコントラスト。生かされていることを感じさせられる映画体験。

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執筆者

Yasuhiro Togawa