市場原理主義による貧困と格差は広がり、教育危機は深刻さを増しています。そのため、学校だけでも、家庭だけでも解決できない子供たちとの問題が多く増えている気がします。この映画は場面緘黙症の心の悩みを抱えた少女、貧困から様々な問題を起こす少年の絶望と苦しみなど、子ども達の困難に寄り添い、子ども達に愛情を貫いた女性教師の熱い感動の物語です。
今なおざりにされている熱く強い教師が学校だけでなく、家庭や子供たちに真摯にぶつかっていき、現代教育の在り方にひとつの疑問を投げかけます。私たち観客はこの映画を見てどんな答えを出すのでしょう?

9年ぶりの映画主演を果たす沢口靖子が情熱的な教師を演じる「校庭に東風吹いて」の公開日が2016年9月17日(土)よりポレポレ東中野・大阪シネヌーヴォ・宇都宮ヒカリ座に決定いたしました(9/3 京都イオンシネマ高の原、9/10 京都みなみ会館にて先行ロードショーほか全国順次公開)。

柴垣文子渾身の小説「校庭に東風吹いて」をもとに、脚本を担当するのは気鋭の長津晴子。監督は「アンダンテ稲の旋律」の金田敬。企画・製作は「ひまわり〜沖縄は忘れないあの日の空を〜」の桂壮三郎。主演の女性教師・三木知世役には9年ぶりの映画出演となる沢口靖子、知世の理解ある夫には村田雄浩、場面緘黙症の少女の母に遠藤久美子、知世の母には星由里子を配し2016年春、大阪および京都府下の南山城村を舞台に撮影は敢行されました。

<主演・沢口靖子さんのコメント>
場面緘黙の症状をもった子どもたちがいるということを私自身も初めて知りました。家では話せるのに幼稚園や学校では話したくても話せない。なんと辛いことでしょう。作品を通して、多くの方々に知っていただく機会になることを願います。

<原作者・柴垣文子さんのコメント>

学校では話せない場面緘黙症の子どもの悲しみ、貧しさにあえぐ子どもの苦しみ。渦巻いている子どもたちの声なき声を聴き、『いつか、きっと』という心の奥の希望を掘り起こしたい。そんな待望の映画の完成が嬉しい。多くの方に見ていただき、未来へのまなざしをともにしたいと願っています。

*場面緘黙症とは?
家庭などでは話すことができるのに、社会不安(社会的状況における不安)のために、学校や幼稚園といったある特定の場面、状況では全く話すことができなくなる現象を言う。幼児期に発症するケースが多い。
注)本作は、この映画の場面緘黙症児の場合を描いたフィクションです。

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執筆者

Yasuhiro Togawa