この度、鶴岡慧子監督作品『うつろいの標本箱』が 10 月下旬より渋谷ユーロスペースにて劇場公開することが決定しました。本作は、今期待のミュージシャン黒木渚のアルバム「標本箱」に着想を得た作品となっております。

映画『うつろいの標本箱』を楽しませて頂きました。
私が 2014 年に出したアルバム『標本箱』に収録されている曲が、作品の至るところに散り
ばめられていました。
自分の創作作品が、私自身の範疇を超えて他分野のクリエイターの作品に繋がるという
のはとても嬉しいことです。本当にありがとうございます。
映像と音楽の掛け合わせで、皆様の心に素敵な解釈が産まれますように。 —黒木渚

孤高のミュージシャン“黒木渚”のファーストアルバム「標本箱」をモチーフに、期待の若手監督が作り上げた、6人の女性をめぐる、もうひとつの「標本箱」 まるで映画のような、舞台のような音楽と評され、独特の文学的歌詞で、女性の強さや心理を生々しく歌い上げるシンガーソングライター、黒木渚。ソロ始動後初の新作となるフルアルバム「標本箱」は、‘14年 4 月に発表されるやいなや、各方面で話題となり一躍認知を広めた。
その「標本箱」をモチーフに、映画化に挑んだのは、新進気鋭の映画監督、鶴岡慧子。長編第一作『くじらのまち』がベルリン国際映画祭をはじめ、世界 10 ヶ国以上で上映され好評を博し、続く『過ぐる日のやまねこ』(2015)が第 15 回マラケシュ映画祭で審査員賞を受賞するなど今まさに活躍を期待される若手監督のひとり。
鶴岡監督が「標本箱」の楽曲群から連想する形で脚本を書いた本作は、歌詞で描かれる女性の強さや揺れる想いを、6人の登場人物に託し、ささいな日常の中で生まれる様々な感情や出来事を点描のように描き、アルバムとは異なるもうひとつの、<うつろいの>標本箱として完成させた。
本作の主演に抜擢されたのは、7 月 10 日の新木場 STUDIO COAST で行われるワンマンライブを最後に、グループを卒業するアイドルグループ<ゆるめるモ!>の”もね”こと、櫻木百。劇中で多感な大学生を演じてみせた櫻木は、これがグループ卒業後、初の主演作となる。なお、本作の出演については、同日のライブでも発表される予定だ。

●監督の言葉
黒木渚さんのライブを聴きに行き、細い身体・長い手足の全部をつかって歌う彼女の姿を見て、決して特別であろうとしない、恥ずかしさやかっこ悪さも全てひっくるめた「そのもの」を肯定しようとする、そんな姿勢に感銘を受けて私なりに紡いだのが『うつろいの標本箱』です。決して特別な日々を生きているわけではない人物たちが、どこかでただすれ違ったり、すれ違う中で出会ったり、それが最後だとは知らずにすれ違ったりする、そんな日々の暮らしに当たり前にある瞬間を、15 人の俳優たちと描いてみようと試みました。

主演 櫻木百 さくらぎ・もね
幼少の頃よりダンスに親しみ、2012 年結成のアイドルグループ「ゆるめるモ!」のエースとして活躍。ほぼ全曲の振付も担当した。2016 年7 月 10 日、新木場 STUDIO COAST でのライブを最後にグループを卒業。
グループ在籍時から女優業にも意欲的に取り組んでおり、『家族ごっこ「父の愛人たち」』(2015 年/内田英治監督)、『深夜カフェ 「長いお別れの台詞」』(2016 年/佐々木友紀 監督)、ゆるめるモ!主演映画『女の子よ死体と踊れ』(2015 年/朝倉加葉子監督)などに出演。グループ卒業後、今作が初めての劇場公開作品となる。
「ゆるめるモ!」は 2012 年 10 月に結成。アイドルファンだけでなくニューウェイブを軸にさまざまなジャンルを取り入れた楽曲が音楽ファンにも支持されている。また、パワフルなライブパフォーマンスやメンバーの放つ個性も評判。
2014年7月に初のフルアルバム「Unforgettable Final Odyssey」、2015年11月に2ndアルバム「YOU ARE THE WORLD」をリリース。
2014 年 8 月に恵比寿リキッドルーム、2015 年 5 月に赤坂 BLITZ、12 月 Zepp DiverCity TOKYO、2016 年 7 月の新木場 STUDIO COAST でのワンマンライブを成功させた。

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執筆者

Yasuhiro Togawa