◆本作の製作総指揮は、異国を旅行中のバックパッカーたちが拷問され、殺されていく怪作『ホステル』が高く評価されホラー映画界の新帝王となった監督イーライ・ロス。昨年公開された『グリーン・インフェルノ』では、意識高い系の若者たちが無慈悲なアマゾンの食人族に襲われる様を、そして最新作『ノック・ノック』(6/11公開)ではキアヌ・リーブスを主演に迎え、善意から自宅に女性2人を招き入れた男が狂気に巻き込まれる姿を描き、常に映画ファンに向けて新しい恐怖を生み出し続けている。そして今回は、自身の長編デビュー作『キャビン・フィーバー』のリブート版である本作の製作総指揮を務める。

◆オリジナル版『キャビン・フィーバー』は、19歳のときにロス監督自身が体験した皮膚病を基に描いた作品である。‘キャビン・フィーバー’とは「いらだち、疎外感、そして密室恐怖症」というような意味を持つ。オリジナル版のストーリーは、5人の若者が、休暇を楽しむために人里離れた湖畔の森にやってくるが、仲間の1人の男性が森の中で謎の感染症に侵された男と遭遇することから始まるスプラッターホラー映画である。150万ドルの低予算の自主映画作品でありながら、当時7つのスタジオが争奪戦に火花を散らし、その年の最高額でライオンズゲートが落札した。内容は、謎の病原菌や閉鎖された地域、わが身を守る為に徐々に狂気へと駆り立てられていく登場人物たちといった王道設定を詰め込んだ、ホラー映画大好きのロス監督ならではの愛溢れる作品であり、
02年にアメリカで公開されると、瞬く間に注目を集め、監督の出世作となった。

◆今回の『キャビン・フィーバー リブート』の監督は「超時空戦記 レヴェレーター」<未>のトラヴィス・ザルーニー。本作に関して
イーライ・ロスは「圧倒された。トラヴィス・ザルーニーは素晴らしい仕事をやってのけた」とべた褒め。また、山小屋で感染の恐怖に怯える若者役に海外ドラマ「リンガー 〜2つの顔〜」のゲイジ・ゴライトリー、「Glee」のダスティン・イングラムなどフレッシュな若手俳優達が出演する。

◆今回の『キャビン・フィーバー リブート』はオリジナル版との違いが注目ポイントである。オリジナル版を観た人ならば絶対に忘れられないであろう、ホラー映画史に強烈なインパクトを残す‘噛みつきパンケーキ少年’が更にパワーアップして登場。そして、田舎町特有のよそ者に排他的な住民達、若者たちの命運を握る頭のネジがゆるいお気楽保安官、そして衝撃のラストなどぜひオリジナル版と見比べて違いを楽しんでほしい。果たして若者たちは今度こそ感染の恐怖から逃れることが出来るのだろうか?

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執筆者

Yasuhiro Togawa