ジャングルの動物たちに育てられた人間の少年モーグリを主人公に、自然の掟と共に雄々しく生きる者たちの愛や憎しみ、喜びや悲しみを謳いあげる感動の生命の讃歌『ジャングル・ブック』。この夏、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のディズニーが贈る、“生きる力”があふれ出す奇跡のエンターテイメント巨編が、8月11日(木)日本公開となります。

本作の主人公・少年モーグリ役に抜擢されたのは、2000人ものオーディションから選ばれた12歳の新人ニール・セディ。そして、メガホンをとるのは、「アイアンマン」シリーズの大ヒット・メーカー、ジョン・ファヴロー。実写もアニメーションも超えた最先端の映像テクノロジーによって、モーグリ以外は動物も大自然もすべてがCGで表現され、現実以上にリアルでありながら、現実世界には決して存在しえない“人間味”あふれる動物たちや、息をのむほど美しいジャングルが広がり、驚きと感動もって観客をその世界に誘います。

4月15日(金)に全米で公開され、公開3日間で興行収入約1億356万7000ドル(約149億237万円)の初登場第1位スタートを切り、その後3週連続第1位を獲得。公開から5週を経ても未だ勢いは衰えず、既に世界興収8億3,098万5,487ドルに達しており、(全てBOX OFFICE MOJO調べ、1ドル=110円換算。5/19現在) 圧倒的な映像美で映し出される力強い生命の物語に世界中で絶賛の声が相次いでいます。そして、アメリカ版ではハリウッドを代表する主役級の名優達が、動物たちに命を吹き込んでいることも話題となっている『ジャングル・ブック』。このたび、日本語吹替え版で、主人公の少年・モーグリを優しく、そして時に厳しく導く黒ヒョウのバギーラを、歌舞伎界を代表する名優・松本幸四郎さん(73歳)が演じることが決定致しました。

「歌舞伎界を牽引する一人としてご活躍されている松本幸四郎さんのイメージと人生の“師”や“指南役”としてモーグリを導くバギーラの役がピッタリと合致した」というディズニーからのオファーに、中学生の頃「黒ヒョウ」という愛称で呼ばれていたということもあり、「黒ヒョウ」役にも驚きはしたが、違和感はなかったと快諾。しかし、『アナと雪の女王』でエルサを演じた娘の松たか子さんからも「ディズニー作品の吹き替えは大変」と聞いてはいたものの、予想通り初の実写吹き替えは「すごかった」と一言。ナレーション経験はあるが、実写キャラクターの吹替えは73歳にして初の経験。声で表現することは、非常に難しかったが、役者にとってこれは必要なことと感じたそう。今回、バギーラの声と、作品中のナレーションも務めており、「大変難しかったが、心に残る素晴らしいいい仕事をさせてもらった」としみじみと語っていました。

ジャングルの中で描かれる動物たちの調和やふれあいに、「明日からまた頑張ろう」という活力を与えられた、ウォルト・ディズニーの遺作と言われるアニメーションも観ていたが、今回のフルCGで描かれたリアルな映像美には、オープニングのシーンから総毛立つほど驚きを覚え、今回の『ジャングル・ブック』は完璧だと感じたという松本幸四郎さんが、モーグリに生きる術を教え、愛情を持って見守る黒ヒョウのバギーラに、どんな命を吹き込むのか。ご注目下さい。

●松本幸四郎インタビュー

中学校の頃には「黒ヒョウ」という愛称で呼ばれていたということもあり、今回の「黒ヒョウ バギーラ」役にも驚きはしたが、違和感なく受け入れられました。『アナと雪の女王』でエルサを演じた松たか子からも「ディズニー作品の吹き替えは大変よ」と聞いてはいたものの、すごかったですね。声で表現することは、非常に難しかったですが、役者にとってこれは必要なことと感じました。中学生の頃ラジオドラマをやっていたのですが、役者としての原点であるその経験が活かされました。これまで、ナレーションはありますが、実写キャラクターの吹替えは73歳にして初の経験。今回、バギーラの声と、作品中のナレーションも務めさせていただき、大変難しかったですが、心に残る素晴らしいいい仕事をさせてもらいました。
 
ジャングルの中で描かれる動物たちの調和やふれあいを観ていると、「明日からまた頑張ろう」という活力を与えられます。ウォルト・ディズニーの遺作と言われるアニメーションも観ていますが、今回のフルCGで描かれたリアルな映像美には、オープニングのシーンから、総毛立つほど驚きを覚えました。今回の『ジャングル・ブック』は完璧です。僕はこの『ジャングル・ブック』を観て原作や、ディズニーのアニメーションも思い出したんですが、でも今回の『ジャングル・ブック』は、ほぼ完成品じゃないかなと思います。

私が演じるバギーラは、モーグリを見つけたというか見つけられたというか、運命的な出会いを果たした、モーグリにとって恩師とか親とか先輩とか教師である存在です。バギーラにとっても、モーグリはただの人間の子供ではなく、出会うべくして出会った特別な存在。描かれてはいないですが、もしかしたらバギーラもかつて自身の子供を亡くしていて、モーグリにその姿を重ね、愛情を注いでいたのではないか?と解釈し、役作りの参考にしました。そう思うと、自然とモーグリに対する愛情が溢れてくるんです。バギーラ自身も、後半は年老いて傷ついて、老いたる黒ヒョウになっていく。そういうところが、とっても悲しいのだけれども、何か、やっぱり命っていいものだなと感じました。

ブルーバックでの演技は経験がありますが、CGの中でたった一人で演じきったモーグリ役のニール・セディ君は、本当に大変だったと思います。でも、子供ならではの素直さや、演技経験が初ということは、かえって想像力を必要とする今回の演技には効を奏したのではないでしょうか。それでも、大人でも難しいことに挑戦し、悔しい思いをして泣いたこともたくさんあっただろうと思います。子供は皆、モーグリ。ジャングルに住んでいるか、都会に住んでいるかの違いはあるが、好奇心にあふれ、純粋なものをもっている。そんなモーグリが狼に育てられる姿を見ていると、「人間は自然の一部なんだな」とニール君の名演で、改めて我々に感じさせてくれます。

僕も黒ヒョウと呼ばれてはいましたが、僕はバギーラのような立派な黒ヒョウではないです、映画の中には僕にそっくりなちょっとダメな動物もたくさんいました。ただ、この映画で色々な動物たちを観ていると、ダメはダメなりに、生きていることは素晴らしいんだなと思いますね。人間は、幸せな楽しいときだけじゃなくて、辛い時もあれば、苦しいときも悲しいときもあります。人間として生まれた以上は、そういう辛さを勇気に、悲しみを悲しみのまま終わらせるのではなくて、悲しみをなんとか希望に変えていく。それが、人生じゃないかなと思いました。『ジャングル・ブック』は、我々が、息をして、光を浴びて、空気を吸って、風に吹かれている、自分たち人間もひょっとしたらそんな自然界の掟の中に生かされているのかもしれない、と、我々が忘れかけていることをひしひしと感じさせてくれる映画です。

お子さん方、学生さん、若い方々、みなさんに観てほしいですが、僕らと同年代、あるいは50代60代のお父様、お母様方にもぜひ、お子さん、ご家族連れで観ていただきたいですね。ディズニーのアニメーションをご覧になった方、『ジャングル・ブック』を読んだ方、そういう方もお子さんと一緒になってご覧になると、親が子供を育てるのではなく、先生が生徒を教えるというのではなく、子供ができて、親が子供によって親にさせてもらうんだなと、生徒に教えられるんだなという大事なことを気づかせてくれると思います。

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執筆者

Yasuhiro Togawa