フランスにて開催中の第69回カンヌ国際映画祭にて、現地時間21日(土)夜の「ある視点」部門受賞式にて映画『淵に立つ』が審査員賞を受賞。初のカンヌ参加となる深田監督作品が、合計18本の選出作品のなかから選ばれました。

【受賞コメント】
深田監督
すみません。フランス語の勉強が間に合わなかったので日本語で話します(笑)。
本当にとてもうれしいです。いろんな人に感謝を言わなくてはいけません。わたしの映画は本当に多くの人に支えられてきました。まずは、この映画のキャスト、スタッフにお礼を言いたいと思います。
日本には優れた監督が本当にたくさんいます。日本人はフランス映画が大好きで、フランス人は日本映画が大好きです。でも日本とフランスの映画の結びつきはまだまだ弱いと思います。今後、ふたつの国の結びつきがより強くなることを期待します。ありがとうございました。

【受賞後の現地・囲み取材にて】
深田監督
今回の映画は、スタッフ・俳優の総力で作った映画なので、私自身も含めてその力を認められた、ということが何よりもうれしいです。あの、これで運を使い果たしたかなと思っています(笑)。
カンヌで海外メディアの取材をたくさん受けたのですが、よく言われたのは、俳優の演技が素晴らしい、ということです。そして、この作品の家族の描き方が、これまでに描かれてきたものに比べると異質で、それが新鮮に映ったようです。
(壇上でのスピーチについて—)
緊張もあったのでたいぶ端折って話しました。いまちょっと落ち着いたので話しますと、
「日本は優秀な監督は私だけでなくたくさんいます。ただ彼らが海外を目指すための制度は、まだ不十分で未熟だと思います。日本はこれだけフランス映画が好きで、フランス人もこれだけ日本映画を愛してくれているのに、残念ながら両者の間には一緒に映画を作るための制度がありません。例えば韓国とフランスの間には結ばれているのに、なぜ日本は結べないのだろう……。新しい才能がより外へ出て行くための制度、自由に映画を作るための制度が日本には不足しています」
ということを言おうと。いまこの瞬間が人生の中で、私の言う事を皆さんが聞いてくれる機会だと思うので(笑)、言ってみようと思ったのですが、あまりにも他の皆さん(受賞者)のスピーチが思ったより短かったので、端折ってあんな感じになりました。
今後の目標は、いま準備中の映画があるので、それに全力で向かいたいです。

古舘寛治
こういった場での感想は難しいですね。こうゆう喜ばしいことにほぼ接点がない人生を送ってきましたので、どうゆう気持ちになればいいのか、わからない体がビンビンと反応しているんだと思うのですが、とにかく、発表の日まで(カンヌ国際映画祭に)残っていて本当によかったです。ここに座っていることだけでもとても誇らしい機会をいただいているのに、それでもここまできて、何も貰わなかったら寂しいだろうな、とか思ってしまう、人間はどれだけ欲深いのだろうかと。でもこの際なので、もっと欲深くいきたいなと思います。

筒井真理子
受賞してもしなくても最後まで残って、もし何か監督が受賞したら一緒にお祝いしたいと思っていたので、ここに残って本当に良かった、嬉しいです。さっきお話しを聞いたら、本当に作品が最後まで競った末の銀メダル※だったそうです。銀メダルという気持ちで、充分嬉しいです。 ※審査員賞はある視点部門の最高賞に次ぐ賞

【受賞の知らせを受けて、浅野忠信さんよりコメント】(浅野さんはカンヌから一足先に帰国されていました)
我々は妥協なくこの映画に挑みました、そしてこんなに素晴らしいところにたどり着けました!
皆様のおかげです!!!
ありがとうございます!
最高です!
浅野忠信

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=54883

執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa