李朝最大の謎とも言われ、18世紀の朝鮮王朝において王権争いが激化した時代を舞台に、王と王位継承者である実の息子との確執により起きたとされる衝撃の史実を基に描く『王の運命—歴史を変えた八日間—』(6月4日よりシネマート新宿ほか全国にて順次公開)の公開致します。

良質な韓流映画の上映を中心に多くの映画ファンを楽しませてきた映画館「シネマート新宿」が今年で10周年を迎え、それを記念して5月9日に、韓流大衆文化ジャーナリストの古家正亨氏(ふるやまさゆき)をゲストに招きトークイベントが開催されました。7月16日に公開する『暗殺』とともに、10周年記念の注目作である本作の魅力を語ってくれました。

『王の運命-歴史を変えた八日間-』の魅力は?

古家正亨:「歴史ドラマではおなじみの米びつ事件を父と子の葛藤のドラマとして映画化したものです。描き方が深いんですよ。ゾクゾクさせる。映画ならではの描き方ですよね。ソン・ガンホ、ユ・アイン、この二人のアンサンブルはとにかく凄くて、猟奇的とも言えるその事件を、悲しみの協奏曲へと昇華させていますよね。短い時間ですけど、ソ・ジソブの切ない表情が、父、・思悼の悲劇を、より深く、悲しいものに導いているところは見逃せないと思います。」

シネマート番組編成:「『暗殺』とともに、10周年を記念した作品なので、楽しんでもらえると思います。」

どのような人に観てもらいたいですか?

古家正亨:「映画『王の涙 イ・サンの決断』やドラマ「トンイ」「イ・サン」などを観て、この事件(米びつ事件)に詳しい方にとっても、新たな米びつ事件の描き方としても楽しんでもらえると思います。作品タイトルに入っている“運命”はうんめいとは読まず“さだめ”と読むんです。観ていくうちに、なぜ、そう読むのか?また“さだめ”という言葉の意味も考えさせられるはずです。」

10周年を迎えるにあたって

古家正亨:「10周年おめでとうございます。本当にシネマートさんにはお世話になっています。少しでも韓国映画がこれからも盛り上がって欲しいので、是非劇場に多く足を運んでもらえればと思います。」

シネマート番組編成:「ありがとうございます。折角なので、これからも是非多くのジャンルを上映していきたいです。」

本作は朝鮮王朝における王権争いが激化した時代を舞台に、朝鮮第21代目の王・英祖(ヨンジョ)と、実の息子・思悼(サド)、そして思悼の子として朝鮮後期最高の聖君となる第22代イ・サンの誕生まで、56年間にわたる歴史に存在した人々の心情を丁寧にひもとき、韓流時代劇ファンには広く知られている1762年の「米びつ事件(壬午士禍)」を中心とした史実を忠実に映画化。韓国映画界を代表する国民俳優ソン・ガンホが演じる非情な王であり父である英祖と数々のドラマや映画で活躍中のユ・アインが演じる悲運の王子・思悼世子の痛ましいまでの対立の様子が描かれる。
「2016年アカデミー賞®外国語映画賞 韓国代表作品」という快挙を成し遂げ、まさに1年間を代表する「顔」となる作品となった本作。残酷な運命に引き裂かれた王と王子。その複雑な人間描写が胸を打ち、緊張感に心が震える。現代にも通じる普遍的なテーマと李朝最大の謎と呼ばれる史実を大胆に解釈した宮廷歴史大作である。

映画『王の運命—歴史を変えた八日間—』は6月4日(土)より、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー。

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執筆者

Yasuhiro Togawa