第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞。国家による国民の監視を暴露した衝撃のスクープとその真相を記録した歴史的ドキュメンタリー『シチズンフォー スノーデンの暴露』の公開が、6月11日(土)に決定致しました。

2013年6月、ある内部告発で全世界に衝撃を走らせた“スノーデン事件”。それは米国の二大情報機関、CIA(中央情報局)、NSA(国家安全保障局)に属した若者が、国家がテロ対策の大義名分のもとに、世界のIT企業のサーバーに直接アクセス、さらに米最大の通信会社から個人情報を“盗む”という、行き過ぎた管理体制の実態を暴露した上、自ら実名で名乗り出るという、かつて類を見ない大事件だった。本作は、スノーデンの口から語られる米国の恐るべき野望、膨大な証拠資料と共に世界を駆け巡るスクープ、その一部始終を克明に記録する。遂に6月11日、その全貌が明らかになる。

「内部告発」に関連するホットなトピックスとしては、「パナマ文書」が挙げられるだろう。共同通信も参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は、タックスヘイブン(租税回避地)に関わるパナマ文書にある回避地法人名や、関連する企業・個人名、住所などを日本時間5月10日(火)午前3時にホームページで公表することを発表した。21の回避地に設立された20万社以上、関連する37万人が、関係する国ごとに整理され、名前からの検索も可能となる見通しだ。ICIJは、秘密法人とその背後にいる人物たちに関する史上最大の公表だと位置づける。どれだけ多くの日系企業が関与しているのか、そして日本の政治家や官僚たちにまで追求の手が及ぶのか——続報を待ちたい。

さらに、「スノーデン」絡みとしては、オリバー・スノーデン監督による伝記映画『SNOWDEN(スノーデン)』の予告編が解禁となった。2016年9月16日公開予定だが、これまで2度にわたり公開延期が行われ、日本での公開は未定となっている。予告編公開に際し、スノーデンは自身のTwitterで「2分29秒の間、全てのNSA職員は仕事の手を止めた」と賛辞を送った。『SNOWDEN』の見どころは、史実を基にしたスパイ映画さながらのドラマティックな演出だろう。「スノーデン」という類い稀なる人物が起こした事件を、2人の鬼才がどう表現したか、是非とも2作品ともチェックして見比べたい。

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』は6月、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー。

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執筆者

Yasuhiro Togawa