キム・ギドク監督の映画『殺されたミンジュ』(原題/One on One)が2016年1月より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開することが決定致しました!本作(原題/One on One)は、第71回ヴェネチア国際映画祭の「ヴェニス・デイズ」部門においてオープニング上映&作品賞を受賞。第15回東京フィルメックス(2014)、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015にて特別招待作品として上映された。

ある夜、女子高生が男たちに無残にも殺害される。しばらくの後、その事件に関わった一人の男が武装した謎の集団に誘拐される。集団は男を拷問し、自分が起こした事の告白を強要する。やがて7人組のその集団は事件に関わった7人の容疑者たちを次々と誘拐し、拷問してゆく…。奇想天外な設定の中に韓国社会に対する様々な批評を込めたキム・ギドクの最新作。娯楽映画でも幅広く活躍するマ・ドンソク演じるリーダーに率いられた謎の集団が軍隊、警察、清掃員など出てくるたびに異なる制服を着用している点が興味深い。一人8役を演じるキム・ヨンミンの熱演も見どころ。第71回ヴェネチア映画祭「ヴェニス・デイズ」部門のオープニングを飾り、作品賞を受賞。

—今、キム・ギドクは満身の力を込め、憤怒の河を渡る—

『嘆きのピエタ』(12)、『メビウス』(13)など立て続けに韓国でのタブーを描き、独自の美学を貫く問題作を発表してきたキム・ギドクが、監督・脚本・製作総指揮を務めた最新作。これまでは家族を通して人間の欲や暴力による痛みと葛藤を描いてきたが、本作では7人の容疑者と7人のテロ集団による暴力の連鎖によって、人々が抱える個人の痛みを真っ向から描き、現代の韓国を痛烈に批判している。複雑な心情を抱えるテロ集団のリーダーを演じたのは「悪いやつら」(13)のマ・ドンソク。『春夏秋冬そして春』(03)以来11年ぶりにキム・ギドク作品に出演のキム・ヨンミンは、人間群像によるサスペンスから本作の重要なテーマへと導く1人8役を見事に演じた。他には、イ・イギョン、チョ・ドンイン、テオ、アン・ジヘ、キム・ジュンギ、チョ・ジェリョンなどが出演。

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執筆者

Yasuhiro Togawa