名古屋で6回目の開催となる「花開くコリア・アニメーション」。今回は、昨年第10回を迎えた韓国唯一のインディーズ・アニメーション映画祭「インディ・アニフェスト」上映作から、選りすぐりの短編23本を、Aプロ「円の世界」、Bプロ「三角のバランス」、Cプロ「四角のフレーム」の3プログラムでお届けします。アヌシー国際アニメーション映画祭で韓国初の短編部門グランプリを受賞した『椅子の上の男』はじめ哲学的・観念的・実験的なアート作から、お子様にもお楽しみいただけるポップでキュートな作品、そして時事問題に鋭く切り込んだ社会派作品まで、豊穣な韓国アニメーションの世界をお楽しみ下さい。また、インディーズ出身監督による長編デビュー作で韓流スターの声優出演でも話題の『ウリビョル1号とまだら牛』も特別上映。来日ゲストによる多彩なトークも開催いたします。

《見どころ1 国際映画祭受賞作と韓日米合作リレーアニメーション》
人間の実存性について哲学的に語るチョン・ダヒ監督『椅子の上の男』(短編Cプロ)はアヌシー国際アニメーション映画祭グランプリのほか、広島国際アニメーションフェスティバル、文化庁メディア芸術祭でも受賞した韓国を代表する1本。同監督の新作で本年アヌシー招待作『One thousand Buddhas』は短編プロ冒頭でトレーラーとして上映。断片化された人間の記憶をハードディスクに模したファンボ・セビョル監督『デフラグ』(短編Bプロ)は難解であるが故に知的好奇心を刺激する。こちらは広島でコンペインしたほか、インディ・アニフェストで大賞を受賞。韓日米のアニメーション作家35名によるリレー作品『Peace Dream』(短編Aプロ)は、新時代の国際共同制作のあり方に一石を投じる。日本からは水江未来、トーチカらが参加。

《見どころ2 ザ・社会派アニメーション》
社会問題をエンターテイメントにまで昇華させるのは韓国映画の大きな特徴のひとつ。それはアニメーションにも引き継がれている。学校における問題をハードに描いたジン・ソンミン監督『かたつむり』(短編Bプロ)は、『トガニ 幼き瞳の告発』『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』『豚の王』に匹敵する衝撃的な問題作。「いのちの電話」にかかってきた1本の電話が究極の葛藤を呼ぶアン・ヨンヘ監督『亀裂』(短編Cプロ)は、映画的快楽にあふれた秀作。本年のゲスト、ジン・ソンミン監督とアン・ヨンヘ監督は、ポン・ジュノはじめ著名な監督を輩出している韓国映画アカデミー出身。同校では『マリといた夏』『悪心(アクシム)』のイ・ソンガン監督に師事している。

《見どころ3 インディーズ出身監督による長編デビュー作》
広島国際アニメーションフェスティバル2006でヒロシマ賞を受賞した短編『ウルフ・ダディ』のチャン・ヒョンユン監督が、資金調達も含め6年の歳月をかけて制作した長編デビュー作『ウリビョル1号とまだら牛』を特別上映。女の子になった人工衛星と、牛になったミュージシャン志望の男子大学生が主人公という、摩訶不思議な世界観が魅力のラブストーリー。著名なスター、ユ・アインとチョン・ユミが声優を務めたことでも話題となった。ちなみに、チャン・ヒョンユン監督も韓国映画アカデミー出身。自主制作出身監督が自力で劇場公開作を作り、韓流スターも協力するという、韓国アニメーションの新潮流を体感していただきたい。

■日程&会場
 7月4日(土)・7月5日(日)
 愛知芸術文化センター 12階 アートスペースEF
 TEL 052-971-5511
 地下鉄・東山線または名城線「栄」駅下車、徒歩3分
(オアシス21から地下連絡通路または2F連絡橋経由)

■プログラム
 短編Aプロ「円の世界」(8作品/86分)
 短編Bプロ「三角のバランス」(7作品/86分)
 短編Cプロ「四角のフレーム」(8作品/84分)
 長編『ウリビョル1号とまだら牛』(82分)

■ゲスト
 ジン・ソンミン(短編Bプロ『かたつむり』監督)
 アン・ヨンヘ(短編Cプロ『亀裂』監督)
 チェ・ユジン(インディ・アニフェスト事務局長)

■スケジュール
7月4日(土)
 13:00 長編『ウリビョル1号とまだら牛』
 14:45 短編Bプロ「三角のバランス」
    ※ 終映後、ジン・ソンミン監督のトーク
 17:00 記念トーク「インディ・アニフェスト10年の歩み」(60分/入場無料)
    講演者:チェ・ユジン(インディ・アニフェスト事務局長)
 18:15 短編Cプロ「四角のフレーム」
    ※ 終映後、アン・ヨンヘ監督のトーク
7月5日(日)
 13:00 長編『ウリビョル1号とまだら牛』
 14:45 短編Aプロ「円の世界」

※ 7月4日(土)21:00より交流会を予定。詳細はお問合せ下さい。

■記念トーク「インディ・アニフェスト10年の歩み」 7月4日(土)17:00 入場無料
昨年、韓国唯一のインディーズ・アニメーション映画祭「インディ・アニフェスト」が記念すべき第10回を迎えました。韓国インディーズ・アニメーションと共に成長してきた同映画祭は、毎年変化し続ける一方で、変わることなく保持してきた理念があります。10年に渡る歴史と、その中で守り続けてきた「志」について、インディ・アニフェスト事務局長チェ・ユジンさんにお話しいただきます。

■チケット(当日券のみ)
 1プログラム 一般 1,000円 学生500円

■問合せ
 シネマコリア(西村)TEL 090-1863-7855

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=53984

執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa