ポレポレ東中野では、2008年より行っている毎年恒例の企画<29年目のチェルノブイリ>を開催します。4月26日は1986年にチェルノブイリ原子力発電所でレベル7の事故が起きた日です。この日に立ち留まり、原発とは何なのか、電力とは何なのか、核とは人類にとって何なのかということを考えてみよう、と2008年から続けてきました。

本年は、5月に新作『アラヤシキの住人たち』の公開を控える『ナージャの村』『アレクセイと泉』の本橋成一監督の、監督作・プロデュース作を、<世界はたくさん、人類はみな他人>というテーマのもと、一挙上映します。

原発事故の汚染地区に住み続ける人々、沖縄の辛い過去をも明るく歌い飛ばすおばあ、ダムに沈む村に最後まで住み続ける人々、大樹と支え合いながら生を堪能するアフリカの人々、対岸の原発建設に反対し続けながら海や山の恵みとともに暮らす人々、そして命と向き合い続けてきたある精肉店の家族—。本橋作品の登場人物はみな、人間や文明のしがらみを超えて、人間以外の生物たちを尊重しながら懸命に暮らしを全うしています。
そんな人々の暮らしを見つめながら、原発や核という「便利」や「効率」の象徴ともいえる存在とは生きものとしての人間にとってどんなものなのか、と考えてみる機会にしていただければと企画しました。

また、本上映では豪華ゲストを招いてトークイベントを行います。『祝の島』では、元西武百貨店社長・元参議院議員で現在原発について各所で言及されている水野誠一さん、『水になった村』では、『「フクシマ』論』『漂白される社会』などで現代に深く切り込む社会学者の開沼博さん、『バオバブの記憶』では、アフリカの地域研究、開発経済学を専門とされセネガルにも長く滞在経験のある経済学者の勝俣誠さんがそれぞれ監督と対談します。

※上映作品
35mmフィルム上映!
『ナージャの村』(1997年|118分)
監督:本橋成一|ナレーション:小沢昭一
35mmフィルム上映!
『アレクセイと泉』(2002年|104分)
監督:本橋成一|音楽:坂本龍一
『ナミイと唄えば』(2006年|98分)
監督:本橋成一|撮影:一之瀬正史
『水になった村』(2007年|92分)
監督・撮影:大西暢夫|製作:本橋成一
35mmフィルム上映!
『バオバブの記憶』(2009年|102分)
監督:本橋成一|語り:橋爪功
『祝の島』(2010年|105分)
監督:纐纈あや|プロデューサー:本橋成一
『ある精肉店のはなし』(2013年|108分)
監督:纐纈あや|プロデューサー:本橋成一

※トークイベント
4/25(土)15:00『祝の島』上映後
水野誠一(元西武百貨店社長、元参議院議員)
×纐纈あや(本作監督)
4/26(日)12:30『水になった村』上映後
開沼博(社会学者)
×大西暢夫(本作監督)
4/26(日)15:00『ナージャの村』上映前
本橋成一(監督)
4/28(火)17:30『バオバブの記憶』上映後
勝俣誠(経済学者)
×本橋成一(監督)
4/29(水祝)12:30『ある精肉店のはなし』上映後
纐纈あや(監督)
4/29(水祝)15:00『アレクセイと泉』上映後
本橋成一(監督)

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執筆者

Yasuhiro Togawa