俺たちに明日なんかいらない!
北野武が贈る、世代を超えて楽しめるジジイ大暴れエンタテインメント!

 2012年、今までのヤクザ映画の常識を大きく飛び越え大ヒットを記録した『アウトレイジ ビヨンド』。その北野武監督が世に放つ新たな作品の主人公は、なんと引退した元ヤクザの個性豊かなジジイたち!金も居場所も失った彼らだったが、普通のジジイになれるはずもなく毎日くすぶっていた。ある日オレオレ詐欺に引っかかってしまう元組長。若い者に勝手な真似はさせられねえと、昔の仲間を呼び寄せ、世直しに立ち上がった!龍三と七人の子分を演じる、平均年齢72歳の超ベテラン俳優たちがスクリーン狭しと暴れまくる。

 オレオレ詐欺や食品偽装問題、超高齢化社会などの時事ネタを盛り込みながらも決してシリアスに着地しない本作は、世の中への不平不満をネタにして笑い飛ばし、観ている人に元気を与えてくれる。元ヤクザのジジイたちが意地とプライドをもって頑固なまでに自分を貫いて生きる姿はユーモラスでチャーミングだし、ジジイたちが繰り広げる世間ズレした会話も吹き出さずにはいられない。その必死な演技につい声を出して笑ってしまうのは本作の大きな特徴だ。本編完成後に行われた試写アンケートの結果では、20代以下の若者からの満足度がどの世代よりも高い80%以上を記録!『アウトレイジ』が怖くて観られなかった女性層からも高い支持を得ている。
 ヤクザものでもなければ、コメディでもない。ヒューマンドラマでもなければ、アート映画でもない。『龍三と七人の子分たち』は、過去の北野映画どれ一つとしてかぶることのない、それでいて北野武にしか作れない、新境地となるエンタテインメントに仕上がった。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=53202

執筆者

Yasuhiro Togawa