この度、アメリカを代表する文芸誌「ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス」の50年の歴史と半世紀にわたって貫かれた編集者の信念、そして、次の50年に向かって前進していく姿を描いたドキュメンタリーが10月25日に第27回東京国際映画祭の特別招待作品として上映される運びとなり、この、マーティン・スコセッシが監督を務めた作品の日本語版ナレーターに渡辺謙が決定いたしました。

本作は、WOWOWオリジナルドキュメンタリー国際共同制作プロジェクトの記念すべき初放送作品で、アメリカの有料放送局・HBO、イギリスの公共放送局・BBCが制作プロジェクトに参加している。
名だたる文豪が寄稿してきた「ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス」は1963年に創刊。書評の枠を超え、編集者のロバート・シルヴァースが興味を持つ題材を取り上げてきており、他の雑誌や新聞の論調に流されず、“真実”を発信する雑誌として定評がある。作品を試写したアメリカの「The New York Times」紙は、「あまりビジュアル的ではない文芸雑誌のドキュメンタリーを作るのは大変だっただろうが、戦争やデモなど歴史的な映像をテンポよく挟み込む演出のおかげでまとまっている」と、スコセッシの演出意図の成功を批評している。
 そのスコセッシだが、日本語版のナレーションを渡辺謙が務めることに対しコメントを発表。渡辺について「彼は存在感があり、動作が美しく的確で繊細。声もいいですよね」と絶賛し、「彼の声はこの作品の日本語版ナレーションにぴったりで、引き受けてくれたことを嬉しく思っています」と期待を表明している。
 一方、渡辺もナレーション収録後に「スコセッシ監督とは、映画『ラストサムライ』以来十数年、一緒に作品を作りたいと話しており、今回ナレーションでの参加が実現できたことを嬉しく思います。克明に淡々と主張を抑えて作っている作風に敬意を表すと共に、日本もこのようなインテリジェンスを失ってはいけないと感じました。痛みも含めて真実を伝えることは大切なことであり、今の時代の日本にも必要なことではないでしょうか。」とコメントを寄せた。
本作は、今月行われる第27回東京国際映画祭の特別招待作品となっており、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて、10月25日(土)17:45から上映が決定している。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=53169

執筆者

Yasuhiro Togawa