昨年、『わたしはロランス』の日本公開で一気に映画ファンの注目を集め、最新作『Mommy(原題)』が第87回アカデミー賞外国語映画賞のカナダ代表に選出されたことが発表された、グザヴィエ・ドラン。
現在、海外でいくつもの雑誌の表紙を飾り、日本でも表紙・巻頭特集が組まれたりなど、今や世界中の注目の的となる。

監督4作目となる本作『トム・アット・ザ・ファーム』の公開がいよいよ1ヶ月を切りましたが、アラーキーこと、写真家の荒木経惟さんやモデルの栗原類さんなど著名人からの絶賛コメントが、続々と到着。
また、漫画家のえすとえむさんからはティーザーチラシのビジュアルにも使用した印象的、且つ官能的なタンゴシーンの描き下ろしイラストが到着いたしました。

<著名人コメント>
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ドランの天才能、官能に圧倒され
左眼球がけいれんした。
(最近右眼を失明暗したのだ)
明朝目覚めたら左眼も失明暗してるかもしれない。
ああ、愛は怖い。
ドランの映画は怖い。
__荒木経惟(写真家)

グザヴィエ・ドランの映画は初めて観たのですが、主演の彼が脚本、監督、制作、編集、衣装、
そして英語版字幕の担当をすべてやった事を知って吃驚しました。
この映画のカメラワークはかなり独特で斜めのショットが多いけど、
同時に周りの背景がはっきり観えるカメラワークが素晴らしいです。
この映画のジャンルはサイコホラーですが少し笑いの要素が入っていたり、
テーマが友情と愛となっているので、全然ジャンルだけで見たら結構想像できない内容のお話です。
そして、最後のスタッフロールにルーファス・ウェインライトの曲が最高にあっていました。
彼の歌声が画面全体に響いていて素晴らしかったです。この映画は劇場で観ないと損します。
__栗原類(モデル)

僕の2013年のベストムービーは『わたしはロランス』でした。そして今作ーー。
結論:やっぱりドランは天才でした。
サスペンス、不在証明、エモーショナル、そして逃れられない自意識。
本作も全カットが圧倒的に「正しい」。
映画界の希望の星、その名はグザヴィエ・ドラン。
__樋口毅宏(作家)

枯れたトウモロコシ畑、薄暗いキッチン、主人公トムの褪せた金髪……
くすんだ色調の風景にドラン監督の才気が炸裂する、恐ろしく端正で危険な作品。
嘘を重ねるほどにむきだしになっていく登場人物たちの孤独と絶望に、
心の薄皮を切り剥がされるような思いがした。
__青山七恵(作家)

時折覗く官能の色が緊張感を煽り、
息のつまるような緊張感から解放された後で、
じわりと、青インクがにじむような淋しさがある。
__えすとえむ(漫画家/『IPPO』『Golondrina-ゴロンドリーナ-』『うどんの女』)

私は美しいものが好き、そして怖いものが大の苦手。
だから、美しくて怖いものに対峙すると、息の仕方を忘れてしまう。
秘密のタンゴ、音のしない暴力、自分が自分を奪われていく感覚。
逃げられるのに逃げなかったトムと同じように。
嫌悪や恐怖と紙一重のところで、この映画に魅せられる。
不安を煽るのは閉塞した田舎の農場風景だと思って観ていたけれど、
一番おそろしかったのは、トムが歯を見せて笑ってみせるところだ。
偽りの言葉はかくも簡単に人々の心を支配してしまう。
きっとそうだと信じていたいものが、その人にとっての真実となる。
__岡田育(編集者・文筆家)

グザヴィエ・ドランはリバー・フェニックスの再来か、それを超えた。
__熊谷隆志(スタイリスト)

あーゆー田舎は怖いですね。
やることないから思い詰めちゃうんだね。
思い詰めちゃう事の綺麗さってあるけどそこが純粋に撮れていると思います。
こびりつく映画。次の日の朝までゾワッとしますよ。
最後の音楽が今もリフレインしています。
綺麗な車窓。綺麗な事と怖い事は同じなのです。
__佐内正史(写真家)

この農場から逃げたい!恋人の実家だろうがすみません!おいとまさせてください!
今日来たばかりで恐縮ですが明日始発のバスで帰ります!———…歓迎される感想ではないだろうが、
私の頭は「もしも私の彼女の実家がこんな陰鬱な農場なら?」という心配事でいっぱいだ。
どうしたら受け止められるだろう、こんなに心の調子が狂っちゃった人たちを。
どこまで彼らの悲嘆や愛情や鬱憤を感知し同調し納得できるか。映画に器を試される。
__中村珍(漫画家/『羣青』・ライター・イラストレーター)

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執筆者

Yasuhiro Togawa