第 15 回東京フィルメックスのクロージング作品および、2つの特集上映が決定しました。

1、デビュー作『ステレオ』&2作目『クライム・オブ・ザ・フューチャー』から、最新作『マップ・トゥ・ザ・スターズ』まで……デヴィッド・クローネンバーグの軌跡をたどる!
クロージング作品がデヴィッド・クローネンバーグ監督『マップ・トゥ・ザ・スターズ』に決定しました。

本作は今年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、ジュリアン・ムーアが最優秀女優賞を受賞した話題作。実際にハリウッドでリムジン運転手だった脚本家ブルース・ワ
ーグナーの実体験に基づく物語を、クローネンバーグが初めてアメリカ・ハリウッドでの撮影を実施し映画化しています。豪華キャストを迎えてハリウッドセレブを風刺とユーモアを交えて描いた本作は、賞レースの有力候補の1本とされ期待されています。

また東京フィルメックスでは、同監督のデビュー作『ステレオ/均衡の遺失』と、2作目『クライム・オブ・ザ・フューチャー/未来犯罪の確立』を特集上映いたします。クローネンバーグ監督の才能と魅力は、学生時代に自主製作した、この2本の中に既に刻み込まれていることがはっきりとわかります。
現代の鬼才が歩んだ軌跡を凝縮して体験する機会です。
<作品概要>
『マップ・トゥ・ザ・スターズ』
Maps to the Stars / カナダ、アメリカ、ドイツ、フランス
/ 2014 / 112 分
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ、ジョン・キューザック、ロバート・パティンソン、オリヴィア・ウィリアムズ
配給:プレシディオ
*12 月 20 日(土)新宿武蔵野館他全国ロードショー

ハリウッドのセレブたちの人間模様を豪華スター競演で描いたクローネンバーグの最新作。一見すると何不自由ない華やかな生活を送る人々の心に潜む闇が次々と暴き出されてゆく。そして驚愕の秘密が明らかになる!女優ハバナ役を演じたジュリアン・ムーアが見事にカンヌ映画祭女優賞を獲得した。

『ステレオ/均衡の遺失』
Stereo / カナダ / 1969 / 63 分
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
ルーサー教授は脳手術で言語能力を失った男女を共同生活させ、彼らがいかにコミュニケーション手段を確立するかを実験する。最初はテレパシー能力を覚醒させる実験だったが、やがてそれは意外な方向に向かう。クローネンバーグ初の 35mm 映画であり長編デビュー作。

『クライム・オブ・ザ・フューチャー/
未来犯罪の確立』
Crimes of the Future / カナダ / 1970 / 63 分
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
近未来、思春期後の女性の口や鼻、耳から泡のような分泌液が流れ出る奇妙な病気が流行り出す。とある化粧品が原因で引き起こされたその分泌液はやがて猛毒へと変貌するのだったが、人々は次第にそれに魅了されていくようになる。長編第 2 作。

2、今年のカンヌやヴェネチアで注目を集めた日本クラシックの傑作が凱旋上映。

1960 年に松竹で製作された3本の傑作を英語字幕付き特集上映でご紹介します。また、ヒューマントラストシネマ有楽町では、連動上映として同じく 1960 年製作の6作品を加えてレイトショー上映いたします。
「1960 年」という特別な年に、大きなうねりとなって押し寄せた傑作の数々…。今年のカンヌ映画祭クラシック部門では『青春残酷物語』、ヴェネチア映画祭クラシック部門では『彼女だけが知っている』が上映され、大きな注目を集めました。情動ほとばしる全9作品により、1960 年の熱気を現代に蘇らせます。
※ 『彼女だけが知っている』と『武士道無残』の英語字幕付きデジタル素材は、松竹および東京フィルメックスにより作成されました。
<作品概要>
『青春残酷物語』
Cruel Story of Youth / 1960 年 / 97 分
監督:大島渚
出演:桑野みゆき、川津祐介、久我美子、渡辺文雄、田中晋二
中年男にホテルに連れ込まれそうになった真琴を救った清。惹かれあう二人は、生きるために中年男から金をまきあげる危ない遊びを繰り返していく。“松竹ヌーヴェルヴァーグ”の言葉を生んだ伝説的作品。デジタル 4K 修復版が今年のカンヌ映画祭でワールドプレミア上映。

『青春残酷物語』は聴覚障がい者向け日本語字幕付きバリアフリー上映として実施します。
この字幕付き上映に対して、クラウドファンディングも予定しております(詳細は後日発表)。

『彼女だけが知っている』
Only She Knows / 1960 年 / 63 分 / 監督:高橋治
出演:小山明子、渡辺文雄、笠智衆、水戸光子
四日ごとに起きる強姦殺人事件を追う捜査班。だが捜査に加わる刑事の恋人が次の犠牲者になった。かろうじて一命をとりとめた恋人に、刑事は四日後の捜査協力を依頼するのだが……。今年の第 71 回ヴェネチア映画祭クラシック部門に招待された。初デジタル化。

『武士道無残』
The Tragedy of Bushido / 1960 年 / 74 分
監督:森川英太朗
出演: 森美樹、高千穂ひづる、山下洵一郎、渡辺文雄
主家を救うため殉死を命じられた 16 歳の少年。彼を実の子同様に育てた兄嫁は、せめて生の悦びを教えたいと母親のような思いで義弟と一夜を共にする。だが翌日、殉死罷りならぬとの上意書が届き…。松竹ヌーヴェルヴァーグの時代劇第一弾となった野心作。初デジタル化。

ヒューマントラストシネマ有楽町での連動上映ラインナップ
『死者との結婚』1960 年/96 分/監督:高橋治
『悪人志願』1960 年/84 分/監督:田村孟
『太陽の墓場』1960 年/88 分/監督:大島渚
『血は渇いている』1960 年/87 分/監督:吉田喜重
『ろくでなし』1960 年/88 分/監督:吉田喜重
『乾いた湖』1960 年/87 分/監督:篠田正浩

(以上6作品は英語字幕なし)

<第15回東京フィルメックス>
2014 年 11 月 22 日(土)〜11 月 30 日(日) (全 9 日間)
会場 :有楽町朝日ホール(有楽町マリオン)、TOHOシネマズ 日劇
http://www.filmex.net

執筆者

Yasuhiro Togawa