演劇史に名を残す偉大な演出家ピーター・ブルックの稽古場を初めて映像化したドキュメンタリー映画『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』 が、9月20日(土)より公開となります。
本作のテーマは「基準を上げる」。ピーター・ブルックの語る、一つ一つの言霊が、演劇論を超え、人生論として心地よく耳に響きます。
今回、本作をより有意義なものにしていただくために、ピーター・ブルックの語る至言の一部をご紹介します。

■芝居とは、普通を演じることだ
 演技は判断やコメントを加える作業とは違う。
 常に自分自身の中でリアリティを追求する作業なんだ。

■感動は長く続かない
 役者が動き出せば装飾は邪魔になる。
 人はなにか意味を“匂わされる”方が展開を期待し興味を持ち続けられる。
 幕が開いた瞬間あとの展開は見えてはダメだ。ワクワクさせるんだ。

■インスピレーションとはどういう意味だろう?
 懸命に試しても降りてこない。それがやってくるのは、ほんの一瞬のモーメントだ。
 一瞬だけ動く「沈黙」の時だよ。

【レビュー】

■池端俊策(脚本家/映画監督)
ピーター・ブルックは想像上の綱の上を俳優に歩かせ、演技はイマジネーションの産物だと説くが、同時に綱の上に立つ不安な状態から生きることの真理を掴み自由になれとも言う。
綱の上の自由とは何かを考えなければならない。考え、演技する俳優たちが、一瞬静寂につつまれ、いい表情を見せる瞬間がある。 
そういう俳優たちに、”それだ”といった風に頷いてみせるブルックのまなざしが素晴らしい。
ブルックは、演技論を通して、自分の人生観を語っているように見える。

【試写室より】

「ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古」は“演技とは?”“演出とは?”をめぐる禅問答的ドキュメンタリーとして面白いけど、同時に“自己啓発映画”として興味深かった。
作り手の意図を理解したり読み解いたりするのではなく、啓発され、気付きを得る映画。こういうのはめったにない」
(門間雄介・編集者/ライター。「CUT」元副編集長)

「自分と同等かそれ以下」みたいな意識が蔓延するなかで、圧倒的にレベルの上のもの(人)がこの世に存在する」 ということを感得できる、ある種の宗教的な体験でした。
(30代 出版社編集者)

公式サイト:http://www.peterbrook.jp/
予告動画:https://www.youtube.com/watch?v=2nu8Zq0DWLk

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執筆者

Yasuhiro Togawa