この度ギャガ配給にて、韓国の鬼才キム・ギドクがエグゼクティブ・プロデューサー・脚本・編集を務め、第26回東京国際映画祭観客賞を受賞した映画『レッド・ファミリー』が10月4日(土)より新宿武蔵野館他全国公開する運びとなりました。

公開に際して、各界のジャーナリストや研究者、大学教授、小説家をはじめとする大勢の知識人からのコメントが到着いたしました。幸せな一家として韓国に紛れ込んだ北朝鮮工作員のニセ家族。この衝撃的な設定で観客を引き付け、隣人のダメ一家とのやり取りをユーモラスに描きつつ、家族の《絆》に目覚めていくスパイ一家の姿に誰もが心を揺さぶられる作品となっております。

■田原総一朗(ジャーナリスト)
仲むつまじい家族に扮した北朝鮮のスパイの残酷過ぎる任務が滑稽にさえ見えるのは、日本が平和過ぎるためか。

■大谷昭宏(ジャーナリスト)
「家族を犠牲にしてまでやらなければならないことなんて、この地球上に何一つ存在しない」。私が常々言っていることを、痛快に言ってのけた映画に、初めて出合った。

■鳥越俊太郎(ジャーナリスト)
これが南北朝鮮の現実なのか?って笑いながら最後までみてしまう韓国に潜入した北工作員のニセ家族。隣家はケンカが絶えない韓国家族。両家の交流で心を開くニセ家族。がそこには苛酷な運命が…。

■長谷川幸洋(ジャーナリスト)
これが北朝鮮を隣国に抱えた韓国で起きている現実なのか?
愛する家族を人質にとられた北朝鮮スパイたちの絶望と自己犠牲が重苦しくも悲しい。

■綾戸智恵(ジャズシンガー)
家族と共に暮らしたい、この想い誰でも一緒。ハリウッドでも大作でもないからか北の一家がこっけいや、いやちゃう ギドクの凄さや切ない切な過ぎや、同民族でお隣さんの筈やのに、私泣きながら笑た、いや笑いながら泣いた。

■松江哲明(映画監督)
笑わせられると同時に背筋に寒いものを感じてしまう。あまりに滑稽な一家が突きつけるのは朝鮮半島の縮図だから。

■鈴木おさむ(放送作家)
もしも隣の家に北朝鮮のスパイ家族が住み始めたら。この究極のもしもの企画から生まれる物語、一瞬もだれることなく、ずっとおもしろい。本当にずっとおもしろい。すごい映画をありがとう。

■岩井志麻子(小説家)
良くも悪くもこんな普通の人達をスパイとして送り込むか?と思ったが、実はこれは現実でもあるのだ。どこの国の人も、みんな普通の幸せが欲しいのだ。

■崔洋一(映画監督) 
強いられた疑似家族のスパイたちは悲劇なのか、それとも滑稽な物語なのか。
国家という幻想に礫(つぶて)を投げるキム・ギドクとイ・ジュヒョンに拍手を送る。

■四方田犬彦(比較文学研究者)
70年代に韓国のTVで放映されていた、KCIA連続ドラマを想い出した。もっとも結末はだいぶ違う。いいじゃないの、幸せならば・・・という韓国の現在の気分を、皮肉っぽく突いている。南北分断までコメディにするのだから、たいしたものだ。

■中条省平(学習院大学教授)
荒唐無稽なコメディだと思って見ていると、まったく先の読めない展開に翻弄される。ラストに呆然とするか、感動させられるかは、あなた次第だ。

■梁石日(作家)
スパイは非情の世界を生きる人間だが、家族をよそおいながらスパイ行為を続けることは欺瞞の上に欺瞞を重ねることであり、北朝鮮の非人間性を反映していることになる。

■樋口毅宏(作家)
素晴らしい!北朝鮮スパイ役の俳優が誰ひとり甘い顔をしていない。日本でリメイクしても、演じられる日本人俳優がいるだろうか。始まって5分で「これ絶対面白いだろ」と思ったら想像以上の展開だった。しかもどんどん面白くなっていき、思いがけないラストが待っている。『JSA』、『シルミド』、そして『レッド・ファミリー』。ふたつに引き裂かれた祖国の悲劇を、韓国映画はまたしても傑作に昇華させた。

■金慶珠(キム・キョンジュ)(東海大学准教授)
イデオロギーを超えた人間の本能。その本能が家族に出会うとき、こんなにもおかしく、あたたかく、そして切ない愛が生まれる。荒唐無稽なこの家族は、壮絶なまでにリアルだ。

■黒田勝弘(産経新聞ソウル駐在客員論説委員)
家族の絆が北朝鮮を崩壊させることができるか?鬼才キム・キドクがこの魅力的テーマに挑戦した。映画は日本人拉致問題解決への希望と絶望も示唆する。

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa