第62回ベルリン国際映画祭パノラマ部門出品作
第14回ルション国際映画祭最優秀監督賞
第25回ベアリッツ国際映像祭最優秀男優賞
ドイツの名匠フォルカー・シュレンドルフ監督の映画『シャトーブリアンからの手紙』の予告篇が完成いたしましたので、是非ご紹介くださいますようお願いいたします。

映画史に刻まれる名作『ブリキの太鼓』のフォルカー・シュレンドルフ監督の13年ぶりの日本公開作として、注目が集まる『シャトーブリアンからの手紙』。既にマスコミ試写では“シュレンドルフ健在!”と前評判も高い。
1941年、ナチ占領下のフランスで、1人のドイツ将校が暗殺され、その報復として、ヒトラーが収容所にいるフランス人150名の死を要求したという実際の事件の映画化。シュレンドルフ監督はドイツ人だが、若き日にフランスに留学し、アラン・レネ、ジャン=ピエール・メルヴィル、ルイ・マルらフランスの名監督の助監督として映画のキャリアをスタートさせた人物であり、そのシュレンドルフ監督が、ドイツの過去の傷といえるこの史実をどのように映画化したのか、非常に興味深いところだ。

この度完成した予告編は、名匠シュレンドルフならではの重層的な人間ドラマと緊張感ある演出を感じさせる内容。ドイツ人でありながらもヒトラーからの命令に反対するドイツ将校や、占領下のフランスでドイツ協力をせざるを得ないフランスの行政官のジレンマ、理不尽な報復による死に直面した収容所の人質たち、それぞれの立場で葛藤しながら、刻一刻と迫りくるタイムリミットへ向けて緊迫した状況がひしひしと伝わってくる。果たして史実の裏には何があったのだろうか。

主な出演は、収容所の人質で、17歳という若さゆえにナチ抵抗の悲劇の象徴となり、その名がパリの地下鉄の駅の名前にもなった実在の少年ギィ・モケ役のレオ=ポール・サルマン(本作でベアリッツ国際映画祭最優秀男優賞を受賞)、人質たちのリーダー的存在を演じたマルク・バルベ(『最後のマイウェイ』)、本作の脚本に大きな影響を与えた作家で、占領下のパリでドイツ参謀本部に配属されていたエルンスト・ユンガーを演じるウルリッヒ・マテス(『ヒトラー 〜最期の12日間〜』)、そして神父役には今やフランス映画界には欠かせないジャン=ピエール・ダルッサン(『ル・アーヴルの靴磨き』)。予告編に登場する「あなたは何に従う?命令の奴隷になるな」という神父の言葉は、とても印象的だ。「ドイツとフランスの和解がなければ欧州はない」と明言するシュレンドルフ監督が、この映画で伝えようとしたことは何なのか?本編の公開が待ち遠しい。

予告編::http://youtu.be/hITWqdnuLOE

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執筆者

Yasuhiro Togawa